~あらすじ~
小学六年生の陽太と、変わり者の叔父・夜之介。大改築される東京駅を夏休みの自由研究のテーマに選んだ二人は、駅構内にある幻の霊安室で、血まみれの切断死体を発見してしまう。さらに宿泊していたステーション・ホテルの一室でも、奇妙な密室事件が起こる。迷宮のごとき東京駅に潜んでいるものはいったいなんなのか……。
~感想~
密室事件が起きた時点で「こういう方向に飛んだら嫌だなあ」と思った方向に飛んでいった。
トンデモ要素と硬質な推理が同居した作品で、ジュヴナイルながら本格ミステリとして妥協しないのはさすが山口雅也といったところ。
トリック自体は子供向けとあって簡易に済ませ、突飛な方向に飛ぶ物語や、事件やトリックよりもむしろその物語の飛躍のほうに伏線を凝らし、驚きは少ないが豊富かつさりげない伏線の数々には感心させられるだろう。
ジュヴナイルとしていたって正しい少年の成長と自立も描き、きっちりとまとめ上げた、このレーベルの理念(かつて子どもだったあなた(大人)と少年少女のための本)にふさわしい佳作である。
10.1.31
評価:★★☆ 5
小学六年生の陽太と、変わり者の叔父・夜之介。大改築される東京駅を夏休みの自由研究のテーマに選んだ二人は、駅構内にある幻の霊安室で、血まみれの切断死体を発見してしまう。さらに宿泊していたステーション・ホテルの一室でも、奇妙な密室事件が起こる。迷宮のごとき東京駅に潜んでいるものはいったいなんなのか……。
~感想~
密室事件が起きた時点で「こういう方向に飛んだら嫌だなあ」と思った方向に飛んでいった。
トンデモ要素と硬質な推理が同居した作品で、ジュヴナイルながら本格ミステリとして妥協しないのはさすが山口雅也といったところ。
トリック自体は子供向けとあって簡易に済ませ、突飛な方向に飛ぶ物語や、事件やトリックよりもむしろその物語の飛躍のほうに伏線を凝らし、驚きは少ないが豊富かつさりげない伏線の数々には感心させられるだろう。
ジュヴナイルとしていたって正しい少年の成長と自立も描き、きっちりとまとめ上げた、このレーベルの理念(かつて子どもだったあなた(大人)と少年少女のための本)にふさわしい佳作である。
10.1.31
評価:★★☆ 5