~あらすじ~
信州の名家、新羽家の先代、堂市が変死した。東京から葬儀に訪れた孫の桂木優二は、自殺と判断されたその死に、不審感を抱く。
さらに葬儀の直後、遠縁の画家、滝見伸彦が転落死する。生前の滝見が白昼夢のように見ていた「妖精」に、連続する事件解決の鍵があると考えた桂木は、米国ボストンに暮らす心理学者のトーマ・セラに、調査への協力を依頼した。
~感想~
「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」を受賞した作者の第二作。
巻末に記された恐ろしいほどの数の参考文献が示唆しているわけではないが、とにかく話がごちゃついた。
カバー見返しで「トリックや「意外な犯人」ではなく、真実に迫っていく過程を楽しんでいただく」と作者自ら言っている通り、デビュー作同様にどんでん返しは連発されるものの、目立ったトリックやフーダニットの妙などは無い。だが過程を楽しむにしろ、事件の何が焦点で、何が謎なのかという見せ場の作り方がいまいち拙い。
解決編も実に80ページ以上に渡るものの、どこから始まって、いま何を議論しているのか終始ぼやけており、同時進行する物語も間延びしてしまい、冗長に過ぎる。
まだ第二作だという点を差し引いても、もっと上手く、わかりやすい解決編や、事件の見せ方が出来たろうにと思えてならない。
まあ、単に作者との相性が悪く、僕に読解力が足りないだけなのかもしれないが。
筆力は丁寧すぎるきらいはあるが十分だし、豊富な知識と心理学を絡めた謎解きも個性的なので、見せ方が下手という欠点さえ解消すれば、必ず飛躍を遂げるだろう。
良い素材を持った作者なので、まだまだ注目して行きたい。
13.6.24
評価:★★☆ 5
信州の名家、新羽家の先代、堂市が変死した。東京から葬儀に訪れた孫の桂木優二は、自殺と判断されたその死に、不審感を抱く。
さらに葬儀の直後、遠縁の画家、滝見伸彦が転落死する。生前の滝見が白昼夢のように見ていた「妖精」に、連続する事件解決の鍵があると考えた桂木は、米国ボストンに暮らす心理学者のトーマ・セラに、調査への協力を依頼した。
~感想~
「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」を受賞した作者の第二作。
巻末に記された恐ろしいほどの数の参考文献が示唆しているわけではないが、とにかく話がごちゃついた。
カバー見返しで「トリックや「意外な犯人」ではなく、真実に迫っていく過程を楽しんでいただく」と作者自ら言っている通り、デビュー作同様にどんでん返しは連発されるものの、目立ったトリックやフーダニットの妙などは無い。だが過程を楽しむにしろ、事件の何が焦点で、何が謎なのかという見せ場の作り方がいまいち拙い。
解決編も実に80ページ以上に渡るものの、どこから始まって、いま何を議論しているのか終始ぼやけており、同時進行する物語も間延びしてしまい、冗長に過ぎる。
まだ第二作だという点を差し引いても、もっと上手く、わかりやすい解決編や、事件の見せ方が出来たろうにと思えてならない。
まあ、単に作者との相性が悪く、僕に読解力が足りないだけなのかもしれないが。
筆力は丁寧すぎるきらいはあるが十分だし、豊富な知識と心理学を絡めた謎解きも個性的なので、見せ方が下手という欠点さえ解消すれば、必ず飛躍を遂げるだろう。
良い素材を持った作者なので、まだまだ注目して行きたい。
13.6.24
評価:★★☆ 5