小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『ファンレター』折原一

2001年09月25日 | ミステリ感想
~あらすじ~
本にサインして送って下さい。写真送りますから、会って下さい――熱狂的読者の要求はエスカレートし、やがて悲劇が。
覆面作家・西村香を巡る怪事件の数々。

※文春文庫版は「愛読者 ファンレター」に改題


~感想~
連作短編集。
平板にして単調。確固たる結末がつかないのは、この物語としては正しいのか正しくないのか。
一息足りない。


01.9.25
評価:★★ 4
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ミステリ感想-『黒衣の女』折原一

2001年09月20日 | ミステリ感想
~あらすじ~
「わたしを探してほしいのです」と女は探偵社の男に言った。
記憶を失った彼女のアドレス帳には、見知らぬ三人の男の名前が記されていた。
一見、無関係なこの男達が次々殺される。いずれも殺害の手口が似ており、現場付近では喪服姿の女が目撃されていた。


~感想~
アンフェアな面は目に余る。
結末にもどうにも納得がいかない。
だが、眩暈を覚えるほどの、呆然とする真相は圧巻。
見るべきところがそこだけなのが残念である。


01.9.20
評価:★☆ 3
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ミステリ感想-『覆面作家』折原一

2001年09月18日 | ミステリ感想
~あらすじ~
顔に白頭巾をかぶってひたすらワープロを打ち続ける男。
行方不明だった推理作家・西田操は7年ぶりに帰還して、長編『覆面作家』の執筆にとりかかる。
それが、憎悪と殺意の渦巻く事件の発端だった。


~感想~
なぜにかくも「折原一」に拘泥するのか?
結末は冗長すぎるきらい。
全体として未完成の印象。もうすこし、どうにかなったよなあ。


01.9.18
評価:★☆ 3
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ミステリ感想-『六人の超音波科学者』森博嗣

2001年09月15日 | ミステリ感想
~あらすじ~
山深い超音波研究所へと通じる唯一の橋が爆破された。
一方研究所では、パーティ中に死体が発見され……。


~感想~
前作の解りやすすぎるトリックから一変、『魔剣天翔』を彷彿とさせる“ただそれだけのトリック”に唸る。
この清冽さこそ、氏の真骨頂。


01.12.24
評価:★★★★ 8
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ミステリ感想-『灰色の仮面』折原一

2001年09月13日 | ミステリ感想
~あらすじ~
満月の夜、白いマンションに住む美人が次々に殺される。
僕は悲鳴のあった部屋に飛びこみ、死体を発見したとたん、マンションの住人に目撃され、追われる身となった。
しかし、疑いを晴らすために犯人探しに乗り出した僕が気になるのは、満月の夜に記憶を失う僕自身のことだった。


~感想~
さて、どんな逆転を見せてくれるのかと期待していたら――まっさきに考えていたトリックでした。
暴行魔の正体もなんだかなぁで、期待はずれの感。
最大の謎は(ネタバレ→)どうやってよりを戻したんだろ。


01.9.13
評価:★☆ 3
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ミステリ感想-『仮面劇MASQUE』折原一

2001年09月10日 | ミステリ感想
~あらすじ~
妻に5000万円の生命保険を掛けた。額としては多すぎず少なすぎもしない。
疑われないような事故死に見せかけて、彼を妻を殺そうと思っていた。彼にはやりとげる自信があった。


~感想~
これは掘り出し物。最後の最後までどんな結末を迎えるのか想像できなかった。
網の目のように張りめぐらされた伏線。まったく予想だにしない真相。
「光●社の諸作は手抜きです」と言わんばかりの洗練された文体。
折原一の裏・代表作ここにあり。


01.9.10
評価:★★★☆ 7
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ミステリ感想-『九つの殺人メルヘン』鯨統一郎

2001年09月08日 | ミステリ感想
~収録作品~
ヘンゼルとグレーテルの秘密
赤ずきんの秘密
ブレーメンの音楽隊の秘密
シンデレラの秘密
白雪姫の秘密
長靴をはいた猫の秘密
いばら姫の秘密
狼と七匹の子ヤギの秘密
小人の靴屋の秘密


~感想~
有栖川有栖のアリバイ講義に挑戦しそれを成し遂げた――だけの作品。
どれもこれも似通った、フロイトばりのくだらない新解釈ばかりで飽きる。
トリックも小学生レベルに陳腐なものもちらほら。
なにより納得がいかないのは『赤ずきんの秘密』。
戦争映画で人が寝てるだけなわきゃねーだろ。仮にそんな障害があったとして並の思考力もないってか?
だいいち死体を扱いなれてる職に就いてるんだぞ。ただの障害者差別・偏見としか思えない。


01.9.8
評価:☆ 1
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ミステリ感想-『幸福荘の秘密』折原一

2001年09月07日 | ミステリ感想
~あらすじ~
幸福荘―推理作家小宮山泰三を慕う怪しい住人たちが、南野はるか争奪戦を繰り広げたアパートは瀟洒な三階建てのマンションに建てかわった。
その第二幸福荘の前で花束を捧げ泣いていた謎の女性。そして始まる九転十転の逆転劇。

※講談社文庫版は「天井裏の奇術師」に改題


~感想~
「天井裏の散歩者」の続編。つつけば山のように矛盾が見つかるだろう。
だが前作から数年、叙述の冴えは飛躍的に上がった。
でも(ネタバレ→)子供をまた使うのはどうかなあ。


01.9.7
評価:★★☆ 5
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ミステリ感想-『天井裏の散歩者』折原一

2001年09月05日 | ミステリ感想
~あらすじ~
大御所推理作家の小宮山泰三の二階建てアパート幸福荘に住むことは、作家志望者の憧れ。
だが怪しげな住人たちは美貌の人気少女小説家・南野はるかをめぐり、騒動を繰り広げる。


~感想~
〈文書6〉の展開で「来たか!」と思わせておいて肩すかし。
この結末もこれはこれでいいのだろうか。
なんともなあ……。


01.9.5
評価:★★ 4
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ミステリ感想-『丹波家殺人事件』折原一

2001年09月02日 | ミステリ感想
~あらすじ~
建設会社のワンマン会長・丹波竜造がヨット航海中に遭難した。
死体が見つからぬまま、葬儀が行われた当日、長男が厳重に鍵をかけられた密室状況の仏間で謎の死をとげる。
遺産相続を巡る悲劇に、ご存じ密室好きの黒星警部が挑む。


~感想~
黒星警部シリーズ。
叙述トリックは氏にしてはハンパな出来。
とはいえ入り乱れる思惑の糸を丁寧に編み上げている。あとすこし。もうすこし。
あの氏ならではの呆然とする結末さえあれば……。


01.9.2
評価:★★ 4
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