~あらすじ~
孤島に建つアリス・ミラー城に眠るアリス・ミラーを探す依頼を受け集まった、一癖も二癖もある探偵達。
チェス盤の黒の女王の進行に沿うように「不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」に彩られた不可能状況下で殺されていく彼ら。
犯人は、そして最後に生き残るのは誰?
~感想~
意欲作ではあるがいろいろと酷い問題作。
自分を名字で呼ぶかませ探偵、一人称がワシな老探偵、一人称が俺様な暴れん坊探偵、倒置法で話すフェミニン女探偵、イチャイチャするのに忙しい草食系探偵と失語症の女、カタコトハーフ美女、やられ役AとBなどなど個性的かつ厨二病な面々が、ハードルを天の高みまで上げてしまう物理トリック講義をする前半部分でもうお腹いっぱい。
密室で顔を溶かされ、鏡の中に消え、人形が微妙に動き、捨てても捨てても呪いのチェス盤が帰ってきて、死体がピタゴラスイッチし、上げたハードルの下をくぐる中盤を経て、最後に明かされるどんでん返しが……。
なんというか、これをやりたかったなら伏線や綱渡りがもっと必要なのに、あまりにお手軽に仕掛けて終わらせてしまったのが残念。
ネタバレしないと語れないので↓以下反転↓
まずこのトリックを成立させるには犯人が無口すぎ、出番が無さすぎるのが大問題。
チェス盤の駒の数を誤認させるのはあれだけがんばったのに、それこそアリスがしゃべるのは解決編だけ、そもそも同席しているのは自己紹介の場面くらいのもので、読み返してみてあまりの出番の無さに吹いた。
というか自己紹介が不自然すぎて、見えない登場人物がいるのかと目に付いたのだが、その後全くというほど場に出てこないので、単に描写が下手なだけなのかと納得してしまった。いくら見えないと言ってももう少し前に出てきて欲しいものである。
それに中盤で海上がおおあばれした時、はっきりと「アリスを見た」と言っているのに他の探偵はガン無視してアリスを放置するのも無理がある。マジックミラーのトリックが解けた時点であいつが犯人だとほぼ確定してるのに! 斧を振り回しヒャッハーしたからって発言まで無視しないであげて!
またトンデモ理論をかましつつ必要以上に残虐な動機や、たいていの密室がただの罠だったこと、物理トリックの六戒がだいたい置き去りで、失語症が道尾秀介る(※病気が脈絡もなく「実は嘘でした」と否定されること)のには目をつむるとしても、犯人探しとともにもう一つの主眼だったはずのアリス・ミラーの正体が「そんなもんねーよ!m9(^Д^)」とプギャーされたのはあんまりだ。何かしらの答えを付けろよ何かしらの!
趣向は面白いし目標も高く、本来やりたかったこともわかる。だがこの時点の作者にはそれを十全に表す力が無かったのだろう。
今回のW杯の日本代表のような惜しい作品である。
14.6.27
評価:★☆ 3
孤島に建つアリス・ミラー城に眠るアリス・ミラーを探す依頼を受け集まった、一癖も二癖もある探偵達。
チェス盤の黒の女王の進行に沿うように「不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」に彩られた不可能状況下で殺されていく彼ら。
犯人は、そして最後に生き残るのは誰?
~感想~
意欲作ではあるがいろいろと酷い問題作。
自分を名字で呼ぶかませ探偵、一人称がワシな老探偵、一人称が俺様な暴れん坊探偵、倒置法で話すフェミニン女探偵、イチャイチャするのに忙しい草食系探偵と失語症の女、カタコトハーフ美女、やられ役AとBなどなど個性的かつ厨二病な面々が、ハードルを天の高みまで上げてしまう物理トリック講義をする前半部分でもうお腹いっぱい。
密室で顔を溶かされ、鏡の中に消え、人形が微妙に動き、捨てても捨てても呪いのチェス盤が帰ってきて、死体がピタゴラスイッチし、上げたハードルの下をくぐる中盤を経て、最後に明かされるどんでん返しが……。
なんというか、これをやりたかったなら伏線や綱渡りがもっと必要なのに、あまりにお手軽に仕掛けて終わらせてしまったのが残念。
ネタバレしないと語れないので↓以下反転↓
まずこのトリックを成立させるには犯人が無口すぎ、出番が無さすぎるのが大問題。
チェス盤の駒の数を誤認させるのはあれだけがんばったのに、それこそアリスがしゃべるのは解決編だけ、そもそも同席しているのは自己紹介の場面くらいのもので、読み返してみてあまりの出番の無さに吹いた。
というか自己紹介が不自然すぎて、見えない登場人物がいるのかと目に付いたのだが、その後全くというほど場に出てこないので、単に描写が下手なだけなのかと納得してしまった。いくら見えないと言ってももう少し前に出てきて欲しいものである。
それに中盤で海上がおおあばれした時、はっきりと「アリスを見た」と言っているのに他の探偵はガン無視してアリスを放置するのも無理がある。マジックミラーのトリックが解けた時点であいつが犯人だとほぼ確定してるのに! 斧を振り回しヒャッハーしたからって発言まで無視しないであげて!
またトンデモ理論をかましつつ必要以上に残虐な動機や、たいていの密室がただの罠だったこと、物理トリックの六戒がだいたい置き去りで、失語症が道尾秀介る(※病気が脈絡もなく「実は嘘でした」と否定されること)のには目をつむるとしても、犯人探しとともにもう一つの主眼だったはずのアリス・ミラーの正体が「そんなもんねーよ!m9(^Д^)」とプギャーされたのはあんまりだ。何かしらの答えを付けろよ何かしらの!
趣向は面白いし目標も高く、本来やりたかったこともわかる。だがこの時点の作者にはそれを十全に表す力が無かったのだろう。
今回のW杯の日本代表のような惜しい作品である。
14.6.27
評価:★☆ 3