小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『7人の名探偵』

2017年09月30日 | ミステリ感想
~収録作品とあらすじと感想~
綾辻行人の「十角館の殺人」に端を発する新本格ミステリの勃興から30周年を記念し、新本格オリジナル・セブン(??)が一堂に会し書き下ろしの短編をものしたアンソロジー。


「水曜日と金曜日が嫌い」麻耶雄嵩
山で遭難しかけた美袋三条は、洋館にたどり着き助けを求める。
しかし今は亡き脳外科医が四人の孤児とともに暮らした館では恐るべき計画が進行していた。

長編向きではない探偵を名乗るメルカトル鮎が、本来なら長編で描かれるべき本格ミステリガジェット目白押しの連続殺人事件を短編の分量で解決する。
無理くり短編に押し込んだため、大抵の伏線や謎が放置され、それでも事件自体は解決するというパロディかメルカトル鮎シリーズでしか成立しない内容には笑うやら呆れるやら。
そもそも長編として考えたものを縮めたのか、はなから短編として考えていたのか気になるところである。


「毒饅頭怖い」山口雅也
名作落語「饅頭こわい」の後日談。
友人を騙し首尾よく饅頭をせしめた鷽吉は30年後、財を成したが四人の息子はいずれも放蕩三昧で、跡を継がせられずにいた。
そして四人に勘当を言い渡そうとした直前、毒饅頭によって殺されてしまう。

落語として描き、落ちも決まっているものの、ニコリの嘘つきパズルは耳で聞いて理解できるものではない。
そんな細かいツッコミはおいとくとしても、せっかくの30周年にふさわしい題材・内容とも思えず、不満が残る。
普通にキッド・ピストルズか垂里冴子を見たかったんだけどなあ。


「プロジェクト:シャーロック」我孫子武丸
事務畑で20年歩んできた警官の木崎は、AIで事件を解決するプログラム「シャーロック」を開発。
基礎を作り匿名掲示板に上げ、世界中の有志によってブラッシュアップされたシャーロックの性能は実際の捜査にも使われるほどに向上するが、生みの親の木崎が何者かに殺されてしまう。

原稿を依頼した編集者か作者本人が21世紀本格アンソロジーと間違えたのかな? という疑問を覚える一編。以上。


「船長が死んだ夜」有栖川有栖
取材の帰り道に付近で起こった事件をかぎつけた火村英生と有栖川有栖。
元船長の男が刺殺され、彼が浮き名を流した二人の女と、その夫が容疑者に上がっていた。

そのまま2時間サスペンスに流用できそうな厳密に言えば新でも本格でもないミステリ。
すげえ普通の事件が、パロディのようなご都合主義でとんとん拍子に証拠が集まり、すげえ普通に解決される。
これが30周年記念アンソロジーへ提出する作品で本当にいいのかという疑問は残るが、少なくとも期待通りに火村英生を出してくれたことは素直に賞賛したい。


「あべこべの遺書」法月綸太郎
かつて恋敵だった二人の男が、互いの自宅で互いの遺書を持ち変死した。
憎み合っていた二人が心中するわけも無く、あべこべの事件に頭を悩ませる父に法月綸太郎が知恵を貸す。

こういうのが読みたかったんだよ!と快哉を叫びたくなる導入部からどんどんしぼんで行く期待感。
いつもなら親父さんの捜査を挟むところで、なぜか間を置かずに一夜での解決にこだわり状況証拠だけで推論を進め、最後には無理やり状況に沿うだけの空論をひねり出した印象で、とても読者を納得させられる水準には達していない。たぶん翌日の親父さんの調査で前提条件がいろいろ崩れ推理がぶち壊しになるんじゃないだろうか。
ひょっとして続きがあり、短編ではなく長編として数年内に発表する気ではなかろうかと疑いたくなる。


「天才少年の見た夢は」歌野晶午
戦争が始まり、地下シェルターに逃げ込んだハッカー、超能力者ら様々な能力に秀でた少年少女たち。
見ることのできない外の世界の状況に怯える中、シェルター内では一人また一人と死者が出てしまい……。

21世紀本格2つ目。しかも派手にかぶった挙句に上回ってしまい我孫子の面目が丸つぶれに。


「仮題・ぬえの密室」綾辻行人
新本格30周年記念イベントのため集まった綾辻、法月、我孫子ら。我孫子は学生時代に聞いたという「幻の犯人当て」の話を思い出し、小野不由美を交えた4人で「ぬえ」にまつわる……はずの犯人当てについて語り合う。

ただの楽屋落ち。落ち以外の話自体は面白かった。


~総評~
新本格ミステリ30周年を記念し「7人の名探偵」と銘打ったからにはファンが期待したのは、
メルカトル鮎! キッド・ピストルズ! 速水三兄妹! 江神二郎! 法月綸太郎! 信濃譲二! 島田潔!
といったデビュー作の名探偵たちの競演であり、ジャンルもド本格だったはずだ。
しかし顔を出したのはメルカトル鮎と法月の2人だけに留まり、火村英生は文句無しとして、速水三兄妹や信濃譲二は流石に無理で、綾辻は最近ずっとこうだから別に構わないものの、キッド・ピストルズはどうにかならなかったものか。(結局個人攻撃になってしまった罠)

あの頃の名探偵の競演は望み過ぎとしても、そもそも本格ミステリに分類できるものが少なく、十全に期待に応えたのは、らしい変化球を放った麻耶と、質はどうあれ読者の期待する物を出した有栖川、法月の三人だけ。
それにしても綾辻が作中で我孫子に「久々に速水三兄妹が登場? 鞠小路鞠夫?」と尋ねているのは笑った。同アンソロジー内で2回も面目丸つぶれにされる我孫子ェ…。

ついでに言えば新本格オリジナル・セブン(??)とかいうパワーワードの人選も疑問が残り、オリジナルを冠するなら太田忠司や斎藤肇がいないのはおかしいし、セブンの中では後発の麻耶を含めるなら二階堂黎人や芦辺拓も絶対に欠かせないはずだ。この二人なら確実に二階堂蘭子と森江春策のド本格を出してくれただろうし。
ぶっちゃけた話、オリジナル・セブン(??)の一部の空気読めなさが浮き彫りとなった、少々がっかりな短編集である。


17.9.30
評価:★☆ 3
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SCP-1061~1070

2017年09月29日 | SCP紹介
SCP-1061 - The Accidental Car (事故車両)
事故車。運転席以外の場所に座ると、事故当日の風景が見える。運転席に触れた人物は事故死した所有者の精神に変わり、運転を始める幻覚が見える。死亡事故を再現し、同時に運転者の頭部が消失する。以上3つの現象を起こす。実験に参加したDクラス職員は、別次元のある存在が人間の頭部を手に入れるために、しかし他の手段を知らないため、この異常を引き起こしていると推測する

SCP-1062 - NS Magazine - Time (NSマガジン - 時間)
週刊科学雑誌「ニュー・サイエンティスト」の一冊。裏側に鉛筆で「11:48 - C」と書かれている他に、異常性の無い雑誌との区別は無い。特集や論説記事を読むと、知識や記憶の一部が変化する。刃物の概念を失ったり、信号機の青色を紫色と認識するようになった例がある

SCP-1063 - Freiherr von Schwarzwald (フライハー・フォン・シュヴァルツヴァルト)
「黒い森の男爵」を名乗る木製の人形。意志を持ちドイツ語とフランス語で筆談できる。ドイツの黒い森の植物を傷付ける者や、英語を話す者を左腕の異常な切れ味を持つ木の斧で両断する

SCP-1064 - Candle Ring (キャンドルリング)
小さな蝋燭を装着できる指輪。点火すると80%の着用者は蝋燭と寿命がリンクしていると感じ、必死に火を消そうとする。消火後も寿命を守るため常に蝋燭を保持しようとする。残り20%の着用者は点火中に時間が非常に遅く流れていると感じ、行動や会話も遅くなる。いずれの場合も寿命や身体状況に変化は見られない

SCP-1065 - Self-Immolating Books (自ら焚書する書物)
東部スラブ語で書かれた、焚書を主張する4冊1組の本。触れた者は読んでいないにも関わらず内容に同意し、接触が長引くと思想は過激化し図書館や書店の襲撃にまで至る。また1ヶ月以上この本を使用しないと、ひとりでに燃え始める

SCP-1066 - Instant Education (即席教育)
ある大学の卒業証書。17歳以上の男性が署名すると数分間消失し、4年ほど年を取った状態で戻ってくる。署名した時に考えていた事柄に関する知識と学位を得られる。知識以外の記憶は得られず、またしばしば望む物とは別の知識を得ることもある

SCP-1067 - Tea-making Teaspoons (紅茶生成ティースプーン)
3本のティースプーン。触れた液体をそれぞれアールグレイティー、烏龍茶、牛乳に変える

SCP-1068 - Harmless Nuke (安全核兵器)
おもちゃのロケット。点火すると本物の核ミサイルと同等の光や音を放ちキノコ雲も現れるが、放射能等の有害な物質や高熱は一切放出しない

SCP-1069 - Ys (イス)
フランスのある場所に沈む海底都市。5世紀頃に滅びたと思われ、7万8千人の幽霊が暮らしているが、人間には全く気づかない。超常的な力を持つ職員と会話できる女性がおり、しばしば仲間に入るように誘う。実際に行方不明になった何人かの職員が幽霊となって目撃された

SCP-1070 - Re-Educational Software (再教育ソフト)
ファミコンの教育用ゲーム。起動するとジョーイというキャラが現れ、14歳未満の人物には教育クイズを出す。14歳以上の相手には難解かつ不可解な質問を投げ掛け、プレイ後には思考力が後退し虚無感を抱く
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SCP-1051~1060

2017年09月27日 | SCP紹介
SCP-1051 - Nevadan Extraterrestrial (ネバダの地球外生物)
ネバダ州のエリア51に棲息する巨大な地球外生物。現在は空軍の格納施設に擬態し、UFOそっくりの卵を産み、宇宙人や陰謀論の情報を流して獲物をおびき寄せ捕食する

SCP-1052 - Ana
未翻訳

SCP-1053 - Overpopulation (行き渡る過密)
ある市の19●●年のストリートマップ。定期的に周囲の土地を19●●年当時の風景に作り変える。内部には建物や道が密集し生物は存在せず、非常にゆっくりと領域は拡大していく。地図を破損させると元に戻り、地図はひとりでに修復される。ただし領域の拡大前に破損させても停止はできず、その後に拡大が始まると破損具合に応じて停止に必要な破損の量が増加する。つまり拡大前に一定以上の破損を与えると、拡大を停止することはできず、領域は世界全体に広がり世界終焉を引き起こすと推定される

SCP-1054 - The 'Garden' Gnome (「園芸用」ノーム像)
妖精をかたどった像。1時間以上設置すると周囲に人工芝を生やす。稀に意識を持った生物の像が生えてきて、周囲で暮らし始める。生物らはノーム像を崇拝する

SCP-1055 - Bugsy (バグジー)
自閉症の男性。バグジーと呼ぶテディベアを肌身離さず、安全な収容のため職員には最低限の情報しか与えられていない。
※実際にはバグジーがSCP。灰色熊に似た生物で、存在や性質を認識した人々の数と、その恐怖心や敵意に応じてサイズと凶暴性が拡大する。たとえば軍隊に攻撃されても、敵意による拡大が損傷を上回り殺害できない。もし収容に失敗し存在が公になれば世界終焉を引き起こす。現在は偶然、敵意を全く持たず、その能力を理解できないDクラス職員の男性に所有されたため拡大は停止しており、職員には彼をSCPと誤解させることで、バグジーの存在や性質も認識されていない

SCP-1056 - Re-size It! (リサイズ イット!)
電線の付いたキッチンタイマー。電線を接続しダイヤルを回すとあらゆる物を拡大・縮小できる。可能な限り機能を維持したまま変化させるが、生物や複雑な機器の場合は損傷を与えてしまう

SCP-1057 - Absence of Shark (サメの不在)
サメの形をした何もない空間。サメと同じように水中を泳ぎ回り、食べた物はどこかへ消える

SCP-1058 - The Semivisible Man (半透明人間)
不可視だが影だけは見える透明人間の男性。影が落ちた物体も同様の性質を帯びる

SCP-1059 - Infectious Censorship(伝染性検閲)
感染すると情報を不適切に検閲し、隠そうとするミーム的衝動。重要ではない情報を機密扱いしたり、逆に必須の情報を意味もなく省いたりする。SCPの収容手順に感染すると大きな被害をもたらし、このSCP自体の記述も一時感染した

SCP-1060 - Penanggalan (ペナンガラン)
睡眠中に頭部と内臓が外れて飛び回り、妊婦を襲い胎児や内臓を食べる女性。いわゆる飛頭蛮
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ミステリ感想-『流れ星と遊んだころ』連城三紀彦

2017年09月26日 | ミステリ感想
~あらすじ~
花ジンの愛称で親しまれる有名俳優・花村陣四郎のマネージャーの北上梁一は、舞台裏では横暴な花ジンへの怒りを募らせる。
ある夜、バーで出会った女に騙されその恋人に脅迫されるが、梁一は脅迫相手にスター性を見出しデビューを持ちかける。

2003年このミス9位


~感想~
おなじみの、それは嘘→嘘と言ったのは嘘→嘘と言ったのは嘘と言ったのは嘘(嘘とは言ってない)、といった具合に虚実が延々と入れ替わる手法が一人称と三人称の混在でさらにやりたい放題。
しかも舞台は海千山千の有象無象がうごめく芸能界。連城ワールドの芸能界では枕営業も当たり前で、誰も彼もが手段を選ばず他人を騙して益を得ようと手ぐすね引いている。
そんな中で登場人物間だけではなく、読者をも騙そうと企み、それまでの前提の全てが引っくり返る大ネタが仕掛けられているのだが、面白いのはそれが終盤ではなく中盤の段階で明かされるところ。爆弾の投下とともに虚実の反転は控えめとなり、以降は収まるべきところへと収まっていく展開がお見事。
40過ぎの演技経験ほとんど無しのオッサンが才能だけでスターの座に上り詰めることが有り得るかどうか(芸能界広しと言えどもちょっと思い当たらないのだが)に目をつぶれば、いかにも連城らしいやりすぎ感あふれる嘘の洪水と、連城らしからぬやさぐれおじさんの叙情的やさぐれ一人称が同時に堪能できる佳作である。


17.9.25
評価:★★★ 6
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今週のキン肉マン #219 武名を挙げよ!楓!!

2017年09月25日 | 今週のキン肉マン
・楓に対するミーム汚染扱いされててワロタww
・カナディアンマンの檄で勢いを取り戻す四本槍
・これで活躍終了かもしれないがよくやった森へ帰ろう
・パイレートマンよく正義超人の事情知ってるな。さてはマニアだな
・それとも一部で囁かれる通り中の人はロビンマスクか?
・ロビンはカナディアンマンとも因縁あるが2戦目に出てくるのは早すぎるよな
・ジャケットシャッターってなんだよwww
・無理やりギミックを組み込むなwww
・それどう見てもパンチ自体は入ってるだろ
・どのへんがトレジャーハントなんだwww
・挟まれたカナディアンマンの手がトレジャーなのかな
・「ムマ…ヨロヨロ…」とか思いっきり効いてた気がするけど何の威力も感じないパイレートマン
・禁断の100万パワー設定に自ら触れるカナディアンマンとゆで
・ラストのコマの説得力すごい
・常に一緒にやられてるスペシャルマンは相棒放って何してるの?
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SCP-1041~1050

2017年09月24日 | SCP紹介
SCP-1041 - Multiple Pasts Disorder (多重人過去障害)
153の人格と過去を持つ女性。1時間以上睡眠(失神等の無意識の時間であれば同様)すると目覚めるたびに人格が切り替わり、過去や記憶や身体の状態も変わる。人格それぞれの過去を裏付ける記録や目撃者が存在し、遺伝的に適合する親が現在のところ182人確認されている

SCP-1042 - Ghost Stone (幽霊の石)
煉瓦状ブロック。電磁場を掛けるか鉄の物体に触れると、音声を伴う立体映像を投影させる。録画や再生も可能

SCP-1043 - Instant Structures (即席建築)
セメントに似た袋詰めの物質。水を混ぜ土に掛けると、無数の手が現れ建物を造る

SCP-1044 - The Contradictory Echo (矛盾するやまびこ)
フランスのアルプス地方の谷。一定の法則に基づき掛けられた声と反対の意味のやまびこを返す。「この文は間違っている」という自己矛盾した声を掛けたところ[データ削除]をもたらし、同様の実験は禁止されている

SCP-1045 - Candle of Life (生命の行燈)
行燈。内部に蝋燭を設置し着火すると、苦しむ人影が映る。燃え尽きると人間の脂肪が検出される

SCP-1046 - A House Without a Bedroom (眠れない家)
身体のパーツが781個に分かれ家全体に散らばった男性。顔がテレビに、肌がカーテンやランプシェードにされ、気管は流し台になっている。定期的にパーツは移動し、苦痛を訴える

SCP-1047 - Vengefully Ironic Street Signs (執念深く風刺的な道路標識)
6種類の道路標識。柱から外し、二酸化炭素かマリファナ燃焼物の濃度が一定以上の部屋に置かれると効果が発現する。「一方通行」なら矢印の向きに重力が変わり、「止まれ」なら生物を麻痺させる等の効果がある

SCP-1048 - Builder Bear (ビルダー・ベア)
生きているテディベア。友好的で職員から愛玩されていたが、金属や人間の耳で造られた3体の凶暴な複製を生み出し、現在は揃って行方不明となっている

SCP-1049 - The Bonetaker Owl (骨を食らう梟)
メキシコで発見された赤い瞳のフクロウ。未知の手段で傷をつけること無く人間から骨をついばむ

SCP-1050 - Obsidian Obelisk of Warning (黒曜石製"警告"碑)
第二次世界大戦の終結直前にドイツの秘密研究所で発見された黒曜石の石碑。48,000年以上前に造られ、現在の技術では再現出来ない。様々な言語で大量絶滅期を示すと思われる数字と警告文が彫られている。またスターリンやエリザベス女王の筆跡による同様の文書が突如として公文書内に現れ、衛星軌道上からの通信でも確認された。恒星間で狼煙のように送られている早期警戒ネットワークの一部と推測されている
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SCP-1031~1040

2017年09月23日 | SCP紹介
SCP-1031 - Red Light Enforcement Module (赤信号強制装置)
「赤信号強制装置」と書かれた箱と鍵。鍵を使い「強制執行」に合わせ信号機の支柱に設置すると、赤信号の間に横断した車両を強制的に停止させる。「マーキング」は相手にスプレーを吹き付けたような着色をする

SCP-1032 - The Prediction Clock (終結時計)
22個の針が付いた目覚まし時計。針には別々の事物の名前が書かれ、12時を指した時にその事物が終結する。「報道の自由 予測日時:16/05/2073」「ユーモア 予測日時:22/03/2052」等がある

SCP-1033 - 33 Second Man (33秒さん)
33秒周期で同じ動作を繰り返している白人男性。携帯から文書を送信し、核爆発で死亡する。周期を終えると元の位置に再出現する。致命的な放射能を発しているためコンテナに収容し監視されている

SCP-1034 - Dollmaker's Kit (人形作家の仕事道具)
縫合針と縫い糸。皮膚か血液が触れると身体を乗っ取られ、この針と糸を使い口や目鼻といった開口部を縫い閉じる。その後、身動きをしなくなり発汗により全ての水分を失い、皮膚が革のように変質する。あるシリアルキラーがこのSCPを使い多数の「人形」を造った

SCP-1035 - Decomposition Mitten (腐敗の手袋)
幼児用の毛糸の手袋。中に入れた有機物を急速に腐敗させる。効果は蓄積し人間なら2時間を超えると死亡は避けられない

SCP-1036 - Nkondi (ンコンディ)
コンゴの呪術人形。霊体が封印されており、目が合った相手を錯乱させる。無数の釘が打ち込まれており、抜けると制御できなくなるためンガンガ(シャーマン)が定期的に釘を打ち込む。

SCP-1037 - Rotbolt (侵食ボルト)
ボルト。ナノレベルで振動しており、周囲の物体を次第に脆弱な結晶体へ変える。結晶化は拡大して行き、放置すれば数年で都市全域にも及ぶと推定される

SCP-1038 - An RCA Cable (RCAケーブル)
TVやモニターに繋ぐと近い内容の代替現実を映すAVケーブル

SCP-1039 - The Gathering Doll (収集する人形)
頭部が粘土で出来た布人形。内部は空洞で、周囲40m以内の物体をランダムに瞬間移動させる。逆に人形の中へ入れた物体は40m以内のどこかへ無作為に転送される

SCP-1040 - "Daniel" ("ダニエル")
電気スタンド。このスタンドを目にしたり、言及する者は、スタンドを擬人化し知人男性として認識する。人間ではなく電気スタンドだと思い出させることは容易だが、認識自体にほとんど影響は見られない。次第に効果は拡大し、他の照明設備も擬人化しだす
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SCP-1021~1030

2017年09月22日 | SCP紹介
SCP-1021 - Exit(出口)
古いデザインの出口を示す看板。堅い木で出来た扉の上に設置し、扉を開くとミシガン州のある映画館の扉に繋がる。看板は7つあり、いずれも同じ映画館の別の扉に繋がるため、財団は緊急避難路として利用している

SCP-1022 - Suspiciously Clean Coat (清潔すぎる白衣)
ある博士が使っていた白衣。着用するとあらゆる細菌が光学顕微鏡の1000倍相当に拡大されて見える。いったん効果が発生すると白衣を脱いでも持続し、また1000倍以上の顕微鏡を用いても1000倍までにしか拡大されない。細菌の群れが始終見えるため被験者は多くが精神を病む

SCP-1023 - The Glass Seismograph (ガラスの地震計)
世界各地の地震を記録する地震計。時折、未来の地震を予知する。東日本大震災を予知したことで効果がわかった。未来のある日時に多数の核爆発による地震を予知しており、それが他のSCPの予知する世界終焉の日と近いことから警戒されている

SCP-1024 - The Basic Set (魔法の基本セット)
TRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」のセット。ルールブックとストーリーブックが別物に差し替えられており、指示に従えば初歩的な魔法を使える

SCP-1025 - Encyclopedia of Diseases (病気百科事典)
様々な病気を解説する百科事典。読んだページの病気に罹患する。だが症状は出るものの病根は発見されず、代理心気症(病人の周囲の人間が恐怖心から同じ症状を起こす精神病)から多数の被害が出たため、実験は中止された。そもそも本当に効力があるのかも不明

SCP-1026 - Someone You Know (親しいひと)
不安定な人型の実体。直視した人間はこのSCPを非常に親しい人物と認識する。効果は引き離してから1時間後まで持続する。カメラ等で間接的に視認した場合は効果はなく、輪郭の曖昧な人型の何かにしか見えない。人間関係を一切持たない社会病質者はそもそも視認できず、存在も承認しない

SCP-1027 - Carnivorous CNS (人喰いCNS)
人間の中枢神経系(CNS)に酷似した生物。動物の中枢神経に結合し神経伝達物質を食べる。人間(またはその死体)から中枢神経系を抜き取り、内部に入り活動することも

SCP-1028 - Mindwarp Murmuration (心歪む色とりどりの群れ)
虹色の羽毛を持つ鳥。25羽以上で飛行している所を見ると眩惑され、生物のいない植物の生い茂った世界の幻を見る

SCP-1029 - Scratch 'n' Sniff JPEG (hana_no_kaori.JPEG)
ヒヤシンスを写した683×1024ピクセルのEXIF-JPEGイメージファイル。フルサイズで表示し指でこすると花の香りが漂う。拡大・縮小したり色彩を変えると効果は消える

SCP-1030 - Anything Golem (なんでもゴーレム)
バケツやゴムホース、台車等のガラクタで構成された身体を持つ、生きている像。部品は急速に腐敗・腐食していき、崩壊すると近くのおおよそ同じ大きさの物体が自動的に組み込まれる。頭部にヘブライ語等で書かれた文字があり、それを複写された物体はこの像の命令に従い動くが、凶暴で人を襲う
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ミステリ感想-『LOST 失覚探偵 下』周木律

2017年09月21日 | ミステリ感想
~あらすじ~
六道の事件、5つ目は「畜生」。多額の保険金を掛けられ殺された女。
しかし保険金の受取人は、同時刻に向かいのビルで取引先の二人と会食中だった。
6つ目の事件は「人間」。標的となった六元十五に残された感覚はあと1つ。


~感想~
まず最初に断っておくと、上・中巻で描かれた4つの事件と、下巻で描かれる5つ目の事件。
いずれも解決の前に噛ませ犬探偵が出すダミー推理のようないまいちの真相で、何か裏があり下巻で引っくり返されるのではと期待していたが、確かに引っくり返りはしたものの、基本的に真相そのものは素材の味そのままに据え置きでした。ダメじゃん!

この程度の真相に必殺「収斂」で感覚を奪われなければたどり着けない探偵を名探偵と呼ぶことに疑問を覚えるが、そのあたりは心配ご無用。この物語は完全無欠に「名探偵の物語」であることを否応なく納得させられるはずだ。
ただしその手法には著しい欠点と不満があり、全く好みではない。それどころか「ぼくの考えた嫌いなミステリ」のように嫌いな要素てんこ盛りで、ベタを通り越した陳腐さと、大挙して押し寄せるツッコミどころの山は言語道断である。
↓以下ネタバレ↓

まず解決に至り次々と出てくるキーワードがことごとく陳腐きわまりない。
(名前こそ出てこないものの要するに)ストックホルム症候群、陸軍中野学校、四原色、七三一部隊、両性具有、とミステリはもちろんのことあらゆる物語で使い古され手垢でテッカテカになったキーワードが臆面もなく大挙して出てきたのには辟易した。
いろいろ使ってみたが要は「戦争が悪い」の一言に集約されるのもなんともはや。

名探偵はせっかく(?)天舞宝輪ばりに1つずつ感覚を失い縛りプレイを要求されるのに、特に推理に支障をきたすことなく、今までと全く同じ推理法で単に鼻や手を使わなくなっただけ、という工夫の無さにもがっかり。5つ目に聴覚を失ったが読唇術がすごいから全くの無問題なのも酷いし、6度目の収斂はそもそも名探偵は真相を察してるんだから収斂をする必要が一切無いし、無駄な収斂の末に出てきたのがストックホルム症候群って。

また真犯人が犯行に至ったのは名探偵のせいである、という理由を付けたいのはわかるが「名探偵が七三一部隊の時に正義感を奪うすごい薬を作ったらすごい偶然で犯人が飲んだ」というのもむちゃくちゃで、まずそのすごい薬はなんだ。ご都合主義にも程がある。

そして腐向けのサービスかと思いきやマジモンの┌(┌^o^)┐ホモォ...で、それもクレイジーサイコホモの方。かと思えば両性具有かつ相思相愛でクレイジーサイコホモ×2という、読み終えた腐女子がアップを始めそうな最悪の展開には震えが止まらない。

一番納得が行かないのはホモとホモが抱き合ってなんか感動的に無理くり締めくくるラストシーンで、名探偵が「ボクは失覚探偵ではない。失格探偵だ」と突如として清涼院流水「秘密室ボン」をぶち込んでくるのも失笑だし「探偵業を通じて哀れな連中を救うのがボクの人生」と言いながら犯人が名探偵LOVEを示したいただそれだけのためにまさにその哀れな連中を犠牲にしてきた数は8人にも上り、しかも名探偵はそのLOVEを受け入れるためだけに凶行を阻止するでもなく見て見ぬふりをしてきたという事実を前には、いったいどの口が「救うのがボクの人生(キリッ」などと言っているのかと小一時間問い詰めたいし、特にこれといった切実な理由もなく息子に会いに行くためだけに多くの仲間を犠牲にし、息子に会ったら何一つ事態は解決してないのになんかハッピーエンドみたいな雰囲気を出して幕を閉じる「デイ・アフター・トゥモロー」を思い出さずにはいられない。
だいたいこれ犯人はシリアルキラーでサイコパスな死刑確定だよね?

いやもう本当にこれいったいなんなの?
「名探偵と助手の物語」と言えば聞こえはいいが、それが「ホモ」という一言に収斂しては台無しではないか?
人々を救うため名探偵になったのに、犯人がおホモだちだから救うべき人々が次々殺されるのをぼんやり見ているというのはいかがなものか?
ヒロイン(?)は夫に等しい名探偵が五感を失う危機に遭ってるのに、阻止を試みたのは最初だけで以降はフラフラ買い物をエンジョイしたり、用事があるからと捜査にも帯同せずフラフラ夜遊びして帰ってくるとか意味不明ではないか?
そんなこともあろうかとあらかじめ用意してただけで死体も上がらないような断崖絶壁に突き落とされて無事で済むのか?
ツッコミどころが山をなしており、自分には全く理解が及ばない。


長くなった。要するに本作は、まどか☆マギカ叛逆の物語発、秘密室ボン経由、デイ・アフター・トゥモロー着で残ったのは屍の山と●●という意☆味☆不☆明の作品である。
ただしこれはあくまで個人的な感想であり、高評価を下す意見にも理解はできる。
理解はできるものの……あまりにも自分にとっては好みではない、問題外の代物だった。


17.9.19
評価:問題外
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ミステリ感想-『LOST 失覚探偵 中』周木律

2017年09月20日 | ミステリ感想
~あらすじ~
「収斂」により2つの感覚を失った六元十五。
犯行現場に残されたメッセージは六道―地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天になぞらえ6つの事件を示唆する。
新たに開けた庭での圧死と、腹部の破裂死が起こり、六元の感覚はさらに失われていく。


~感想~
上巻に続き2つの事件を収録。
周囲にも上空にも何もない場所での圧死という魅力的な謎を描く「修羅の事件」は、謎に比して真相が小粒。真相の前に披露されるダミーの推理がそのまま正解になったようなもので、なぜ誰も気づかなかったのかという最大の疑問も残される。このあたり下巻で引っくり返りそうな気もするので、失望するのは早すぎるかもしれないが。
続く「餓鬼の事件」の破裂死もやはりダミー推理のような真相で、上巻の2つの事件もそういえば安易な解決だったし、断を下すのは早計だろう。

このレベルの推理のために感覚を失う程度の探偵は名探偵と呼べるのだろうかという疑問もつきまとい、このまま終わるとあまりに微妙な内容なので、下巻で全てがちゃぶ台返しされることを期待したい。


17.9.15
評価:保留
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