~あらすじ~
全編が叙述トリック物とあらかじめ宣言した(しかもヒント付きの)異色短編集。
2018年このミス15位
~感想~
手垢が付きすぎてもはや短編ですら発表できない物を、あらかじめ叙述トリックと宣言し、同系を揃えることで無理やり商品として成立させたような作品が並んだ。…と思ったら巻末の初出によると、一番手垢の付いた一番安易な物が堂々と雑誌で発表されてて笑った。
読む前から案じていた通り、全体的に小粒だし、大見得切って叙述トリックを宣言しておきながら、目を見張る斬新なトリックが皆無だったのは残念。
というか何より一番の問題点は、作者の某作で用いられた、それこそ斬新で前代未聞と言ってよいある叙述トリックを超えられなかったことである。そうなるともはや本作で大上段に構えて叙述トリックを謳う理由それ自体が無くなってしまい、企画倒れもいいところである。
そしてもう一点やはりあれにも触れなくてはなるまい。
他の作者の作品と比べるのは無粋ながら、名乗ってこそいないものの実質的に「叙述トリック短編集」である、綾辻行人の某作の存在だ。
「叙述トリック短編集」の元祖にして頂点であるあの傑作群を、本作は一編たりとも上回れなかったことは論をまたないだろう。
作者があれを知らないはずがなく、それでもあえて「叙述トリック短編集」に挑んだからには、たった一点でもいいから、なんらかの形で超える物を用意して欲しかったと思わざるを得ない。
19.2.26
評価:★★☆ 5
全編が叙述トリック物とあらかじめ宣言した(しかもヒント付きの)異色短編集。
2018年このミス15位
~感想~
手垢が付きすぎてもはや短編ですら発表できない物を、あらかじめ叙述トリックと宣言し、同系を揃えることで無理やり商品として成立させたような作品が並んだ。…と思ったら巻末の初出によると、一番手垢の付いた一番安易な物が堂々と雑誌で発表されてて笑った。
読む前から案じていた通り、全体的に小粒だし、大見得切って叙述トリックを宣言しておきながら、目を見張る斬新なトリックが皆無だったのは残念。
というか何より一番の問題点は、作者の某作で用いられた、それこそ斬新で前代未聞と言ってよいある叙述トリックを超えられなかったことである。そうなるともはや本作で大上段に構えて叙述トリックを謳う理由それ自体が無くなってしまい、企画倒れもいいところである。
そしてもう一点やはりあれにも触れなくてはなるまい。
他の作者の作品と比べるのは無粋ながら、名乗ってこそいないものの実質的に「叙述トリック短編集」である、綾辻行人の某作の存在だ。
「叙述トリック短編集」の元祖にして頂点であるあの傑作群を、本作は一編たりとも上回れなかったことは論をまたないだろう。
作者があれを知らないはずがなく、それでもあえて「叙述トリック短編集」に挑んだからには、たった一点でもいいから、なんらかの形で超える物を用意して欲しかったと思わざるを得ない。
19.2.26
評価:★★☆ 5