小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『月は幽咽のデバイス』森博嗣

2000年01月31日 | ミステリ感想
~あらすじ~
薔薇屋敷とも、月夜邸とも呼ばれる豪邸には、
オオカミ男が住んでいるという奇妙なウワサがささやかれている。
パーティの夜。邸内のオーディオルームで血まみれの死体が発見され、
密室状況の室内は、なぜか床が水に濡れ、ガラスの破片が散らばっていた。


~感想~
森テイストは存分に発揮。いつもながらの“森語録”とでも呼ぶべきセリフの数々は楽しい……のだが、ちかごろ顕著になりつつある(ネタバレ→)「動機なぞなんでもいい」と言ってのける“動機放棄”や物理一辺倒のトリック、理系味の薄さは悲しい。


00.1.31
評価:★★☆ 5
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ミステリ感想-『QED ベイカー街の問題』高田崇史

2000年01月20日 | ミステリ感想
~あらすじ~
次々と惨殺されるシャーロキアン。
「ホームズ譚」の解釈をめぐる論争が動機なのか?
ダイイング・メッセージと、シャーロック・ホームズに隠された驚くべき秘密とは?


~感想~
題材のせいかも知れないが、前二作の重厚さには並ぶべくもない。ミステリ味もかなり今ひとつで、真相はどちらも詰め切っていない印象。シャーロキアン(ホームズオタ)ぶりは読んでいて楽しいのだが。


00.1.20
評価:★★☆ 5
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ミステリ感想-『しゃべくり探偵』黒崎緑

2000年01月16日 | ミステリ感想
~あらすじ~
東淀川大学の守屋ゼミ有志一同がロンドンへ。
この外遊にまつわる四つの事件――旅費調達に斡旋された払いのよすぎるアルバイト、高価な洋書の紛失、お別れパーティの殺人、帰国後のドッペルゲンガー騒動――を、ボケ・ホームズこと保住君&ツッコミ・ワトソンこと和戸君の会話と書簡で綴る。


~感想~
異色の連作短編集。
ボケ・ホームズとツッコミ・ワトソンがくり広げる、前代未聞のかけ合い漫才ミステリ。
なんと2人の会話(というか漫才)だけで全てが語られ、イロモノ感覚が強いが、中身は純然たるミステリ。
外見にそぐわない高レベルのトリック・ロジックに、秘めたる力をひしひしと感じる。


00.1.16
評価:★★★ 6
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ミステリ感想-『億千万の人間CMスキャンダル』清涼院流水

2000年01月15日 | ミステリ感想
~あらすじ~
RRRRR……。『木村さん、今、御覧になってますか? おめでとうございます!』ブラウン管越しに手を振る人気TV番組『ゴールデンU』の司会者。何のことだかわからない。応募した憶えのない自分の「人間CM」が目の前で放映され、しかもベスト・インパクト賞に選ばれてしまった!? あの「木村彰一さん」は誰だ? 今年も木村彰一は珍妙な事件に出くわした。数々の悪戯的陰謀が暴かれた時に見えてくる真実とは? 著者渾身の傑作新世紀ミステリ。
(裏表紙より)
※文庫化に際し「ユウ」から改題


~感想~
退屈の一語に尽きる作品。見るべき所は、“日本国民全員参加企画”という設定のみ。裏の真相がまた……。


00.1.15
評価:☆ 1
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ミステリ感想-『QED 六歌仙の暗号』高田崇史

2000年01月11日 | ミステリ感想
~あらすじ~
「明邦大学・七福神の呪い」
大学関係者をおびえさせる連続怪死事件は、
歴史の闇に隠されていた「呪い」を暴こうとする報いなのか?
「七福神」と「六歌仙」の謎が解き明かされるとき、浮かび上がった事件の真相とは?


~感想~
前作であれだけの独自論を展開させ、ミステリとしての質は上がっても、まさか研究の方に上積みはないだろうと思いきや。

百人一首をも超える六歌仙の真実(?)。ミステリとしての質も明らかに向上。傑作!


00.1.11
評価:★★★★ 8
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