小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『夢・出逢い・魔性』森博嗣

2000年05月30日 | ミステリ感想
~あらすじ~
「夢の中の女に、殺される」N放送のプロデューサは、20年以上前に死んだ恋人の夢におびえていた。
彼の番組に出場する小鳥遊練無たちの前で事件は起きる。
銃声は1発、ところが密室の中の死体には傷が2つ?


~感想~
魔球。理系味が突然濃くなった感。(たぶん林と七夏がいないからだ)
森語録も絶好調。トリックは見抜けてしまったが、十二分に楽しめた。娯楽性では今シリーズ1位かも。


00.5.30
評価:★★★★☆ 9
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ミステリ感想-『名探偵の肖像』二階堂黎人

2000年05月28日 | ミステリ感想
~収録作品~
ルパンの慈善
風邪の証言
ネクロポリスの男
素人カースケの世紀の対決
赤死荘の殺人

敬愛するJ・D・カーについての芦辺拓氏との対談、全カー作品の評論や随筆を収録


~感想~
『ルパンの慈善』
ルパンってこんななの? と思うのは僕の勉強不足か。

『風邪の証言』
これは良作。描写も鮎川御大っぽい。

『ネクロポリスの男』
多くは語りたくない。企画倒れだし。法月氏じゃあるまいし、掲載すればいいというものでもない。

『素人カースケの世紀の対決』
寒い。

『赤死荘の殺人』
この一編に込めた気合と思い入れが明らかに段違い。読んだことがない僕にも「カーっぽい」と思わせる説得力。見事。


~総括~
掲載作品よりも見るべきは、熱すぎる対談と濃すぎるカー作品評。誰もがカーを読んでみたくなること請け合い。
……読了から丸9年。いまだに未読だけどw


00.5.28
評価:★★★★ 8
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ミステリ感想-『殺戮にいたる病』我孫子武丸

2000年05月25日 | ミステリ感想
~あらすじ~
「永遠の愛」をつかみたいと男は願った。
次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーの名は、蒲生稔。
くり返される陵辱の果ての惨殺。常軌を逸した犯人とそれを追う元・刑事。
彼らがたどり着いた最悪の結末とは……?

本格ミステリ・ベスト100 19位、このミス16位


~感想~
まるで綾辻行人の『殺人鬼』のように、作者が今までのイメージをかなぐり捨てるようにものされた異形の作品。
我孫子武丸の最大にして最後(?)の傑作であることは疑いない。
おぞましい描写ばかりが話題にされがちだが、真に着目すべきは呆然あ然のトリック。
スプラッタとホラー描写が苦手な方でなければ、ミステリファンは必読!


00.5.25
評価:★★★★ 8
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ミステリ感想-『出雲伝説7/8の殺人』島田荘司

2000年05月24日 | ミステリ感想
~あらすじ~
山陰地方を走る六つの駅にバラバラ死体が流れ着いた。
捜査の結果、殺された女は、死亡推定時刻に「出雲1号」の個室に乗車していたというが……。


~感想~
氏にしては本格臭は薄い。トラベルミステリ寄りで、トリックこそ面白くないが、展開・罠などその他もろもろはさすがの冴え。これで(ネタバレ→)フーダニットであればなおさらよかったのだが。


00.5.24
評価:★★★ 6
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ミステリ感想-『さらわれたい女』歌野晶午

2000年05月23日 | ミステリ感想
~あらすじ~
「私を誘拐してください」美しい人妻は、便利屋にそう依頼した。
夫の愛を確かめるための『狂言誘拐』だと彼女は言うのだが……。
完璧なシナリオを練り脅迫を実行、身代金も手に入れたものの、そこには思わぬ落し穴が待っていた。
映画『カオス』原作。


~感想~
良作。スピーディかつ清冽な展開は二転三転も心地よく、見事。伏線やトリックも冴え、脂がのってきた感。
中谷美紀、萩原聖人主演の映画は未見。


00.5.23
評価:★★★ 6
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ミステリ感想-『美濃牛』殊能将之

2000年05月18日 | ミステリ感想
~あらすじ~
万病を治すという神秘の泉を取材に、信州の山奥を訪れたフリーライターたち。
彼らを待ち受けていたのは、村の名家を襲う、
まるで伝承のわらべ唄をなぞるような装飾過多の連続殺人事件だった。
本格ミステリ大賞候補、本ミス5位


~感想~
『ハサミ男』に惚れ込んでいただけに、待ちに待った今作は、正直大いに不満。展開・描写の巧さはいわずもがな、膨大な量の伏線にも感心だが……。肝心の事件自体に魅力が薄く、真相もトリックもあっけない。終盤は(こんな長編のくせに)まるでページ数が足りなくなったような急ぎ足で、煙に巻かれたよう。せっかく登場人物たちがあれだけ描き込まれているのに……。『ハサミ男』が念頭になければもっと楽しめたのだろうか? なんにしろページ数に見合った内容とは思えない。冗長。


00.5.18
評価:★★☆ 5
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ミステリ感想-『切り裂きジャック百年の孤独』島田荘司

2000年05月12日 | ミステリ感想
~あらすじ~
ベルリンを恐怖のどん底へ落とした連続猟奇殺人。
その手口は、19世紀末ロンドンを震撼させた切り裂きジャック事件と酷似していた。
百年の時を隔てた二つの事件の闇がついに解かれる!
日本推理作家協会賞候補、このミス15位、文春10位


~感想~
あの島田荘司が、あの「切り裂きジャック」の謎に挑んだ!
それだけで説明不要。期待は裏切りません。興味のある方はどうぞ一読を。


00.5.12
評価:★★★☆ 7
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ミステリ感想-『念力密室!』西澤保彦

2000年05月10日 | ミステリ感想
~収録作品~
念力密室
死体はベランダに遭難する
鍵の抜ける道
乳児の告発
鍵の戻る道
念力密室F


~感想~
『念力密室』
小さな悪意がおぞましい。軽妙なやりとりが暗さを中和するに十分。さりげない伏線がお手の物。

『死体はベランダに遭難する』
伏線の多さと仕掛け方のうまさが見事見事。

『鍵の抜ける道』
トリックより話自体が面白い。

『乳児の告発』
傑作。トリックやプロットの巧みさを一気に振り落とす結末。

『鍵の戻る道』
次作以降の伏線を張るための一作といったところ。

『念力密室F』
怖い怖い。これでも本当に氏の予告するハッピーエンドは訪れるのか?


~総括~
シリーズファン以外には、恐らく楽しめない。
その反面、シリーズファンには珠玉の短編集。
自分の造型したキャラを心から愛すれば、ここまでのものが作れるのだろう。
伏線の張り方も絶妙で、ミステリマニアもうならせる。シリーズの最高到達点。


00.5.10
評価:★★★★ 8
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ミステリ感想-『人形は眠れない』我孫子武丸

2000年05月10日 | ミステリ感想
~あらすじ~
私、おむつこと妹尾睦月は、なぜか最近よくデートに誘われる。
相手は誰が見ても好青年の関口さん。けど私には一応おつき合いしている人が二人いて……。
ところが関口さんに次第に不可解な言動が目立ちだす。
頼りにしている二人はつきっきりで、私はどうすればいいの?
人形探偵・鞠夫の誕生秘話も明かされる事件の結末とは。


~感想~
人形探偵シリーズ第三弾。
ほとんど純文学。ミステリとして見れば駄作。
私見を述べればここで打ち切りにしたのは正解。(00年 読了当時の感想)


00.5.10
評価:なし 0
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ミステリ感想-『実況中死』西澤保彦

2000年05月08日 | ミステリ感想
~あらすじ~
他人の見た風景がそのまま見えてしまう「怪能力」を得たばかりに、
殺人やストーカー行為をそのまま「体験」してしまう恐怖。
せっぱ詰まった女性の訴えに、神麻嗣子と能解匡緒、保科匡緒の3人は、調査と推理をめぐらす。


~感想~
むちゃくちゃな設定を例によって完璧にあやつりきった。
プロットのたくみさに舌を巻くべし。


00.5.8
評価:★★★★ 8
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