小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『五十円玉二十枚の謎』アンソロジー

2001年07月27日 | ミステリ感想
~あらすじ~
書店を土曜日ごとに訪れ五十円玉二十枚を千円札に両替する中年男の真意は?
若竹七海の実際の体験談にプロアマ十三人が果敢に挑む!

<解答者>
法月綸太郎、依井貴裕、佐々木(倉知)淳、高尾源三郎、谷英樹、矢多真沙香、
榊京助、高橋謙一(剣持鷹士)、有栖川有栖、笠原卓、阿部陽一、黒崎緑、いしいひさいち


~感想~
この競作を機にデビューした倉知淳、剣持鷹士の回答はさすがの冴え。
内輪ウケでお茶をにごすプロが続出するなか、きっちりと小説にしあげた黒崎緑、氏の果たすべき役割を完璧にこなした、いしいひさいちの両氏がすばらしい。


01.7.27
評価:★★★☆ 7
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ミステリ感想-『なつこ、孤島に囚われ。』西澤保彦

2001年07月24日 | ミステリ感想
~あらすじ~
異端の百合族作家・森奈津子は、見知らぬ女に拉致され、離れ小島に軟禁された。
だが、意外にも待遇は満点。海は美しく毛ガニは食べ放題で、まさしくパラダイス。
彼女はこの島を「ユリ島」、向かい側に見える島を「アニキ島」と名づけ、誘拐生活を満喫していた。
ところが一週間後、アニキ島で死体が発見され……。


~感想~
ただのエロユリ小説。読んで損した。好きにしてくれ。


01.7.24
評価:なし 0
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ミステリ感想-『謎亭論処』西澤保彦

2001年07月24日 | ミステリ感想
~収録作品~
盗まれる答案用紙の問題
見知らぬ督促状の問題
消えた上履きの問題
呼び出された婚約者の問題
懲りない無礼者の問題
閉じこめられる容疑者の問題
印字された不幸の手紙の問題
新・麦酒の家の問題


~感想~
『盗まれる答案用紙の問題』
型にはめたようなキャラ造型と、細密論理は氏のお庭芸。この手のトリックに成功例は少ない。

『見知らぬ督促状の問題』
群を抜いて出来のいい一編。

『消えた上履きの問題』
氏の得意とする無邪気な動機が冴える。西澤保彦らしさがいい。

『呼び出された婚約者の問題』
出ました「麦酒の家」。例によって結末はあっけないが、真相は意外。

『懲りない無礼者の問題』
怪奇幻想の世界に片足をつっこんだような。結末の一言が光る。

『閉じこめられる容疑者の問題』
かなり強引なトリックだが、かの傑作「乳児の告発」を思わせるキレ。

『印字された不幸の手紙の問題』
動機が苦笑ものだが、こういった悪意を描かせると本当にうまい。

『新・麦酒の家の問題』
なにが強引って、本書中もっとも強引な作品はこれ。いくらなんでも…ねえ。


~総括~
いや楽しかった。全編にわたり西澤保彦臭全開。氏の力よりもむしろ味に酔いたい。


01.7.24
評価:★★★ 6
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ミステリ感想-『雲の中の証人』天藤真

2001年07月22日 | ミステリ感想
~収録作品~
逢う時は死人
公平について
雲の中の証人
赤い鴉
私が殺した私
あたしと真夏とスパイ
或る殺人
鉄段
めだかの還る日


~感想~
『逢う時は死人』
初期の作品だけに難解にすぎる。天藤真試作型といったところ。

『公平について』
↑から三年。洒脱な味が開花。展開・会話・文体に氏ならではの雰囲気。

『雲の中の証人』
氏最大の傑作短編。これ以上言うことはなし!

『赤い鴉』
トリックは無いようなもので、ややアンフェア(ネタバレ→)本人を指して“縁者”は卑怯だろw だが、とにかく話自体が面白い。それにしても、どう言い逃れたのだろう。

『私が殺した私』
西澤保彦を見慣れているとどうしても物足りない。

『あたしと真夏とスパイ』
長すぎるか。ちなみに一度も“あたし”とは言ってなかったりする。

『或る殺人』
もっと因果応報であってほしかったが。

『鉄段』
小咄。こんなのも書くんだ。

『めだかの還る日』
↑と以下同文。


01.7.22
評価:★★☆ 5
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ミステリ感想-『われら殺人者』天藤真

2001年07月07日 | ミステリ感想
~収録作品~
夜は三度死の時を鳴らす
金瓶梅殺人事件
白昼の恐怖
幻の呼ぶ声
完全なる離婚
恐怖の山荘
袋小路
われら殺人者
真説・赤城山
崖下の家
悪徳の果て


~感想~
『夜は三度死の時を鳴らす』
現代では(ネタバレ→)振り子時計の仕組み は解りづらい。

『金瓶梅殺人事件』
結末が豪快。終盤前に解決が見えたのが惜しい。

『白昼の恐怖』
あっけなさすぎる。あと(ネタバレ?→)「おれの映画~」云々のセリフ が不可解なんですが、僕の理解力不足?

『幻の呼ぶ声』
子供にこそ本物を、という信念なのだろうか? この媒体に発表するのは、俗物にはもったいなく思えてならない傑作。とにかく日の目を見て良かった。

『完全なる離婚』
どこぞで見たような結末。つまり、その元祖だろう。

『恐怖の山荘』
こちらは逆に、いかにも子供向けといった出来。

『袋小路』
趣向がいい。あとすこし煮詰められていれば……惜しい。

『われら殺人者』
まず、この計画自体がすばらしい。そこにそれぞれの思惑が複雑にからみあい……これまた傑作。

『真説・赤城山』
さすがに元ネタを知らないと……。

『崖下の家』
末尾への収束は見事だが……ちと解りやすすぎ。

『悪徳の果て』
むりやりハッピイエンドにしたような。証言の曖昧さもやや不満。


01.7.7
評価:★★★ 6
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