~あらすじ~
傷心旅行に出た香島紀子は、山間の村で急に増水した川に流されてしまう。救い出してくれた埴田晃二という青年とその夜結ばれるが、翌朝晃二の姿は消えていた。
村祭でにぎわう神社で、紀子は晃二がひと月前に殺されたと知らされる。では昨日、晃二と名乗っていた人物は誰なのか。
~感想~
普段の軽い洒脱な文体からかけ離れた、幻想譚としか言いようのない展開と筆致にまずは驚かされる。
だが真に驚くべきは、この幻想小説がある一点を境に現実の景色へと変貌するところにあるのだが――。中途で真相に気づいてしまったのが無念。
しかし真相が見抜けても、寒村の雰囲気や絡み合った背景など見どころは多く、その精緻な結構とトリックを楽しめるのはいいところ。
もちろんトリックにすんなり騙されれば最上級の幸運。作者の代表作に挙げる人が多いのも納得の一作。
09.6.13
評価:★★★ 6
傷心旅行に出た香島紀子は、山間の村で急に増水した川に流されてしまう。救い出してくれた埴田晃二という青年とその夜結ばれるが、翌朝晃二の姿は消えていた。
村祭でにぎわう神社で、紀子は晃二がひと月前に殺されたと知らされる。では昨日、晃二と名乗っていた人物は誰なのか。
~感想~
普段の軽い洒脱な文体からかけ離れた、幻想譚としか言いようのない展開と筆致にまずは驚かされる。
だが真に驚くべきは、この幻想小説がある一点を境に現実の景色へと変貌するところにあるのだが――。中途で真相に気づいてしまったのが無念。
しかし真相が見抜けても、寒村の雰囲気や絡み合った背景など見どころは多く、その精緻な結構とトリックを楽しめるのはいいところ。
もちろんトリックにすんなり騙されれば最上級の幸運。作者の代表作に挙げる人が多いのも納得の一作。
09.6.13
評価:★★★ 6