小金沢ライブラリー

ミステリ感想以外はサイトへ移行しました

ミステリ感想-『キッド・ピストルズの慢心』山口雅也

2001年03月13日 | ミステリ感想
~収録作品~
キッド・ピストルズの慢心
靴の中の死体
さらわれた幽霊
執事の血
ピンク・ベラドンナの改心

このミス14位


~感想~
『キッド・ピストルズの慢心』
なんだこの結末は。なさけない真相にげんなり。

『靴の中の死体』
細部にわたって練られた細工はいいのに……。(ネタバレ→)この手の足跡トリックはやめてほしい。向きなんて当然調査されているものとして考えるっての。

『さらわれた幽霊』
見事な逆転が冴える良作。たしかに解説の言うとおり、ちょっと味気ないが……。(やはり解説は作品のマイナス面を述べるべきではないとの個人的信念を新たに)

『執事の血』
メイントリックは見抜きやすいが、それだけで終わらせず逆転を仕込むのがさすが。

『ピンク・ベラドンナの改心』
堅牢な構造は氏の本領発揮か。資料を参照していないのがそら恐ろしい。


~総括~
全体の印象が悪いのに、一編ずつ見ると実に良作ぞろい。巻頭の一編が(僕には)あまりにも合わなすぎた。
いまさらだが(ネタバレ→)ピンク=チェシャ?


01.3.13
評価:★★★☆ 7
コメント

ミステリ感想-『硝子の家』アンソロジー

2001年03月01日 | ミステリ感想
~収録作品~
硝子の家  ――島久平
離れた家  ――山沢晴雄
鬼面の犯罪  ――天城一

このミス17位、本ミス7位


~感想~
短・中・長編3作品に、ヴァン・ダインの「探偵小説作法二十則」 ノックスの「十戒」
さらに山前譲の「必読本格推理三十編」を附した文庫の雑誌。

『硝子の家』
長すぎる。短編にしてこそ味が出たのでは。

『離れた家』
なんだこれは。なんなんだこれは。二重三重四重五重の読者にはとうていついていけない、網の目のように編まれたトリックとプロット。理解することすら困難。もっと透明であれば前人未踏の傑作。

『鬼面の犯罪』
なんだこの傲慢なおっさんは。


01.3.1
評価:★★★ 6
コメント