小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『亡国のイージス』福井晴敏

2007年09月26日 | ミステリ感想
~あらすじ~
※ネタバレになるためあらすじは伏せます。


~感想~
「いいから読め」という書評をあちこちで見かけたが、まさにそのとおりの作品である。
日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞、大藪春彦賞をトリプル受賞したが、ジャンルに関係なく本好きならば迷うことなく読むべし。
以上!


上巻 07.9.21
下巻 07.9.26

評価:★★★★★ 10
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ミステリ感想-『溺れる人魚』島田荘司

2007年09月18日 | ミステリ感想
~収録作品~
溺れる人魚
人魚兵器
耳の光る児
海と毒薬


~感想~
海を基調とした作品が4編収められているが、後になるにつれ御手洗シリーズとしての色が濃くなっていくのに、どんどん面白くなくなっていく。
「海と毒薬」にいたってはこれまでにもいくつか描かれたミステリ味のない作品で、そもそも御手洗が鋭い推理を見せる作品も見当たらない。
とはいえ近年のフィールドとしている脳科学や珍しい素材で飽きることなく読ませてくれる。……が、ファンには物足らず、ファン以外には地味きわまりないだろう。御手洗物だからといって飛びつく必要はない佳作である。


07.9.16
評価:★★☆ 5
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ミステリ感想-『第三の時効』横山秀夫

2007年09月10日 | ミステリ感想
~収録作品~
沈黙のアリバイ
第三の時効
囚人のジレンマ
密室の抜け穴
パルソナの微笑
モノクロームの反転


~感想~
横山秀夫のまごうかたなき最高傑作。
完全無欠に刑事小説でありながら、どうしようもなく本格ミステリ。こんな小説を読みたかったと夢見ていた作品である。
趣向としては真正面から刑事たちを描き、一方で彼らの家族としての姿を全く描かず、かえって情感を出すことに成功している。
小難しいことをあれこれ言ってもしかたない。これは評判通りの大傑作。興味があるなら黙って読むべし。


07.9.6
評価:★★★★★ 10
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映画感想―『七人のマッハ!!!!!!!』

2007年09月08日 | 映画感想

~あらすじ~
潜入捜査の末に麻薬王を逮捕したデュー刑事。妹の誘いでスポーツ慰問に同行し向かった村で、麻薬王の釈放を求める武装ゲリラの襲撃に遭う。テコンドーやサッカー、ラグビー、体操といった各種競技のチャンピオンが揃う慰問団の面々とデュー刑事は、自らの競技で培った肉体と技のみを武器に武装ゲリラに立ち向かうのだった。


~感想~
スタッフは同じだが『マッハ!!!!!!!』の続編ではない。エンドロールで流れる撮影風景で、車上から落下したスタントが危うく車輪に巻き込まれそうになり、監督らしき人物が「あとちょっとで轢かれてたぜ!」と大はしゃぎしているところなど、壮絶な受け身や体当たりスタントは見ごたえあるが、それ以外の部分が酷い。
ストーリーが無駄に重く、なんの罪もない人々が次から次へと殺されていく。しかもそこは死体描写に定評のあるタイ。邦画やハリウッドではちょっとお目にかかれない存在感ある死体を存分に見せつけてくれる。しかも死に方がむごい。無抵抗のまま銃を乱射されたり、村人とテロリストが対峙して一斉射撃で全員死亡、ロケットランチャーでこっぱみじんとエンタテインメントの範疇をぶっちぎりで超えている。
愛国心にもあふれてしまっていて、テロリストに囲まれた丸腰の村人たちが、ラジオから流れだした国家を合唱しながら銃撃をものともせず死体を踏み越えて突撃するところなど、燃えるどころかドン引きである。
そしてそんだけ重たい状況の中で器械体操やサッカーボールでテロリストを屠っていくアスリートたちや、大の男をシャイニングウィザードでKOする幼女は実にシュール。
余談だが誰もがガチンコでスタントに挑むなか、テロリスト役の女優にはどう見てもパンチが当たっておらず興醒めした。顔が命な女優がマッハの仕事受けんじゃねえよ!!
ともあれ万人にはおすすめできない仕上がりなので、タイトルに惑わされないよう注意していただきたい。


評価:★★ 4
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映画感想―『予言』

2007年09月07日 | 映画感想

~あらすじ~
妻子とともに車で帰省中の里見。急ぎの仕事のため、立ち寄った電話ボックスでふと目にとまった古新聞。そこには、娘の事故死が書かれていた。事故の日時は今から数分後。現実に大型トラックが娘の乗る車に追突した。
事故から3年、娘を失ったショックから立ち直れず、妻とも別れ抜け殻のように生きる里見のもとに、ふたたび例の"新聞"が届くのだった。


~感想~
シートベルトが外れないなら車を動かせばいいのに!!!!!
以上。



評価:★★ 4
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ミステリ感想-『ハッピーエンドにさよならを』歌野晶午

2007年09月03日 | ミステリ感想
~収録作品~
おねえちゃん
サクラチル
天国の兄に一筆啓上
消された15番
死面
防疫
玉川上死
殺人休暇
永遠の契り
In the lap of the mother
尊厳、死


~感想~
タイトル通りにバッドエンドの作品を集めた短編集。……その時点で深刻なネタバレを起こしているのは気のせいだろうか。
長い期間にわたって作品を集めたため、作風の変化が垣間見られて興味深い。中には個人的に大駄作と思うあの作品の匂いを色濃く放つものも多い。簡単にいえば「そこで終わらずにそこから始めろ!」と言いたくなる作品である。
とはいえバッドエンドも、もはやお家芸の感もあるあのトリックも予想させながら、それでも裏をかき意表をつく作品も多々あり、ファンの期待は裏切らないだろう。

それにしても出版社の宣伝文句の「著者初の短編作品集」とはいったい何事だろうかと頭を抱えたくなる。


07.9.3
評価:★★☆ 5
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映画感想―『水霊』

2007年09月02日 | 映画感想

~あらすじ~
新聞記者、戸隠響子は西東京で多発している不可解な自殺の謎を調べていた。自殺者はみな、異常なのどの渇きを訴え、ある日突然自ら両目を潰して自殺するという共通点を持っていた。調べを進めるなか、事件の背後に水道水が関係していることを突き止めた響子は、"水霊(ミズチ)"あるいは"死に水"と呼ばれる呪われた水の存在にたどり着く。


~感想~
いやー酷い酷い。見るべきところがなんにもない。いくら俳優が熱演しても脚本がこれでは話にならない。
怖がる場面で怖がらず、怖がらせる場面で怖がらせない。挙句の果てに盛り上がらせるべき場面はごっそりカット。駄目なホラーの見本としては格好の教材では。
人物造形もむちゃくちゃ。別れた夫に「水道水に自殺をうながすウィルスが入っているのよ」と詰め寄り、前夫が「科学者としてはそんなウィルスは認められない」と応じると「あなたっていつもそう!!」というやりとりには目が点になった。なんだこれ。
作品よりも脚本がホラーというまさに駄目映画でした。


評価:なし 0
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