小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『螺旋階段のアリス』加納朋子

2004年01月29日 | ミステリ感想
~収録作品~
螺旋階段のアリス
裏窓のアリス
中庭のアリス
地下室のアリス
最上階のアリス
子供部屋のアリス
アリスのいない部屋

このミス12位


~感想~
連作短編集。
表題作が傑作。あとは……。
全体として、氏らしい暖かみや優しさが足りない。あと、ぶっちゃけ。
――こんなに文章、下手だったっけ?


04.1.29
評価:★★★ 6
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ミステリ感想-『世界は密室でできている。』舞城王太郎

2004年01月28日 | ミステリ感想
~あらすじ~
「何とかと煙は高いところが好きと人は言うようだし
父も母もルンババも僕に向かってそう言うのでどうやら僕は煙であるようだった」。
――煙になれなかった「涼ちゃん」が死んで二年。
十五歳になった「僕」と十四歳の名探偵「ルンババ」が行く
東京への修学旅行は僕たちの"世界と密室"をめぐる冒険の始まりだった!
(背表紙より抜粋)


~感想~
もうこの人はこういう人なのだから、好きな人は好きで、嫌いな人は徹底的に壊滅的に破滅的なまでに生理的に受けつけないだろう。幸い僕は前者なので、徒然に書く。文体は洗練され(てしまっ)たのか、処女作のようなキレはない。面白みはいまひとつ。意外な絵心にビックリ。こんなトリック、他の人間は考えつかないし書けない。バイオレンスが少なめで残念。とりあえず退屈はしない。こちらに期待をしすぎる面もあるか。とにかく稀有なこの異才、どうかこのままで!


04.1.28
評価:★★☆ 5
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ミステリ感想-『ウロボロスの基礎論』竹本健治

2004年01月27日 | ミステリ感想
~あらすじ~
ミステリ作家らを襲う奇妙奇天烈な“うんこ事件”。
竹本健治の連載ミステリに混入する眩暈と戦慄の物語。
綾辻行人、小野不由美、笠井潔、新保博久、法月綸太郎、麻耶雄嵩、山口雅也が推理合戦を展開。


~感想~
前作に欠如していたユーモアを加味し、読み物としては格段に面白くなった。
しかし意地の悪い見方をすれば、こんなモノを出版し作品だと主張できるのは、作者が竹本健治だからであり、ひとえに氏の地位に寄るところが大きい。
それにしても。昨今急速にはびこりだした、明瞭な解決を拒むミステリ群は、本書に端を発するのだろうか?


04.1.27
評価:★★★★ 8
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ミステリ感想-『ウロボロスの偽書』竹本健治

2004年01月18日 | ミステリ感想
~あらすじ~
竹本健治が連載を始めた本格推理に、いつのまにか埼玉で起こった女性連続殺人事件の、犯人を名乗る男の手記がまぎれこんでいた。
竹本はミステリ作家の仲間たちとともに推理を始めるが、現実と虚構の境界線はあいまいになり、事件は思わぬ展開に。
このミス18位


~感想~
問題外。
――と切り捨てるのは簡単だが、いちおうつれづれと感想をば。
実在の人物を取り込んだ大胆な試みは、どうもモデルにされた当人の魅力に寄るところが大きすぎる。
謎はあるが解決はなく、この物語にいささかの整合性も求めてはならない。
ここに描かれたのは竹本健治そのものであり、それ以上でもそれ以下でもあるまい。
論評などまさに虚無へと捧げる供物のよう。論じれば論じるほど虚しくなる。
見どころと言えば、ミステリ界で屈指のエロ描写くらいのものだが、そんなものが読みたければ官能小説でも買えばいい。
一言で言うならば、クソつまらんかった。


04.1.18
評価:なし 0
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ミステリ感想-『妖盗S79号』泡坂妻夫

2004年01月12日 | ミステリ感想
~収録作品~
ルビーは火
生きていた化石
サファイアの空
庚申丸異聞
黄色いヤグルマソウ
メビウス美術館
癸酉組一二九五三七番
黒鷺の茶碗
南畝の幽霊
檜毛寺の観音像
S79号の逮捕
東郷警視の花道


~感想~
トリックは小粒。しかし主人公(?)の刑事2人を筆頭に、いつもながらの軽快な筆致。
たったこれだけの分量でつむぎ上げる起承転結。さすがの手際。
最後の大団円にニヤリ。


評価:★★★☆ 7
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