平時に食料自給の重要性を説いても、経済性=価格によってかき消されてしまう。安ければ市場を独占する権利があり、実際に人類にとって最も重要な食べ物の質や量など問われることがない。しかしそれは平時の事であって、戦争などの国家間の対立や今回のようなパンデミックが起きると、国家は真っ先に食料を保護するのは当然である。
日本人が職業を紹介する時に、「〇〇で食べている」と表現する。食料は人が生きていくには欠かすことの出来ないものである。食べ物は必要量の三割を切って生きてはいけないし、倍も食べることはできない。毎日欠かすこともできない。更に貯蔵することも輸送もままならない。食料は地産地消が本来の姿である。こうして人類は、世界各地に固有で地域的な民族や言葉や宗教などの文化を育み、培ってきた。言い換えれば各地の食料を求めて人類は世界に散らばったともいえる。
これを壊し解りにくくしたのが長期貯蔵が可能な穀物であり、輸送技術の発達と金融に特化したグローバル思想である。食料を商品化したことと蓄えることで富として蓄えられるようになった。
しかし人類の生物としての本質が変わったわけではない。一定の必要量を満たさなければならない。食料の本質は、お金があって安定した社会では見えてこないが、戦争や今回のパンデミックになれば戦略物質としての本質が露わになる。
上の図は東京大学の鈴木宣弘氏教授によるものである。食料を輸出する多くの国が主要食糧の輸出規制に踏み切っている。食料の輸出規制は国家がパンデミックに真っ先に取り組むことである。現在食料自給率37%と先進国では世界悪国家になっている食糧依存国家日本は、こうした食料ナショナリズムが台頭してくればまっ先に犠牲になる。
安全保障を軍事力でしか語らない安倍晋三は、パンデミック対策はオロオロ決断一つできず容易に国内にウイルスを招き入れてしまったが、食料自給に無関心であるが、これこそが真の安全保障なのでる。その中でも食糧の確保は普段に起き、量だけでなく安全性も保障されなくてはならない。
TPPが解かれ、ホルモン漬けのアメリカで消費が伸び悩んでいる牛肉が大量に輸入されている。牛肉価格は暴落して畜産農家は大量に離農するであろう。結果的に、日本人は、100%ホルモン処理された発がん性の高い牛肉を選択したことになる。こうしたことから国民を守る事こそが、真の安全保障である。
パンデミックは食糧の自給の必要性を促している。政権の座にいるものはそのことに全く気付くことなく、戦闘機や使い物にならないミサイル迎撃基地を建設し、西南諸島をミサイル基地に変え、アメリカの軍事産業に貢献するばかりである。