今回の北京での6者協議のアメリカの態度は、以前のブッシュ政権のとってきた姿勢と明らかに異なる。「悪の枢軸」と名指しした国とは、頑なと思える態度を通し、交渉することすらなかったが、北朝鮮の二国間の協議には簡単にドイツでやっていた。
日本が核と拉致問題の解決を、同時平行的に行なうためには、アメリカの協力が欠かせない。日本は、アメリカの陰に隠れて発言するしかないような態度は、北朝鮮にすっかりコケにされている。独自路線を打ち出せないで、アメリカに頼っているようでは、この国の外交力がないに等しいことが、あからさまになったといえる。
アメリカは、イランの核開発を容認しないどころか、交渉の窓口すら用意していない。最近になって、イラクに武器の供与をしている事実があると発表している。アメリカがよくやる手である。次に攻撃するための理由を探しているのである。もっともイラクは、イスラエルにやらす手も残ってはいるが、核兵器を未だ持たないでいるイランと北朝鮮に対する態度 は雲泥の差がある。
今回の協議結果は、老朽化した寧辺の核施設が封鎖されるのが、せいぜいの結果である。今度の経済支援で、金正日体制はこれで、当分安泰で ある。何もかも、”核”様々である。北が完全に核開発を放棄するはずがない。
北朝鮮に、国連決議をしてまで経済制裁を擦るとしたアメリカの態度はここで、一変した。また、核開発に対する態度も一貫していない。インドには寛容であり、北朝鮮には経済援助をする、イランには制裁を加える、イスラエルについては事実関係すら確認することがない。
今回の、6者協議で日本はアメリカに梯子をはずされた格好になる。自らの、国の方針がないと、目先の利益だけで走ってしまうことになる。
いくら同盟国といえども、国内の事情を優先させるのは当たり前である。戦前の、日英、日独同盟も日ソ中立条約も、ノーテンキな日本政府の無策、お人よしの結果裏切られたことを半世紀も過ぎると忘れるのだろう。
食料がいい例である。人は食料がなければ生きては行けない。食料を自給しない飽食国家は、危うい外交関係の中でのみ可能なのである。今こそ食料の自給を真剣に考えるべき、危機的状況にある。