穀物が世界的に高騰している。アメリカが輸出向けに栽培されている、家畜用のトウモロコシをエタノール生産に振り向けたためである。日本の畜産は、アメリカのトウモロコシが安定的に、安価で供給されることを前提に発展してきた。
家畜用の穀物は、我が国で2000万トン輸入されちる。今では、我が国で生産される穀物(90%以上が米である)の2.5倍もの家畜用の穀物が輸入されているのである。ここ北海道の東の果ての根室地方でも、乳牛にはカロリーとして与えられているものの、およそ半分が輸入穀物である。
酪農家は、これに対応するために飼料用のトウモロコシ(デントコーン)を、作付する農家が増えてきた。この5年で作付面積が2倍以上になった。
最近は温暖化のために、秋になると暖かい日が続く。以前には収穫が難しかった、デントコーンも品種の改良もあいまって、何とか実をつけるまでになった。
これに目を付けたのが、50年ほど前には絶滅が憂慮されていたタンチョウである。本ブログの11月9日に書いてみたが、調べてみると面白いことがいくつもあった。どうやら、秋に暖かい日が続くためなのか、収穫期には実がたくさん落ちるようである。あるいは、機会が大型化し勢いよく刈り倒すためであるかもしれない。
タンチョウたちは、どこで情報交換をするのか不明であるが。収穫すると、一気に集まってくる。冬季間給餌場となっている、阿寒や鶴居のように信じられない数が集まる。どうして知るのか分からないが、刈り取りが始まると次の日からタンチョウはゾロゾロ集まってくる。さすがに、今年作付したところはかなり少ないがやっぱり集まってくる。これは、彼らが、根室地方を出るのにもってこいの時期でもある。
地球温暖化は、家畜用飼料を高騰させたおかげで、デントコーンを酪農家が作付しタンチョウがお腹いっぱいになる。タンチョウと温暖化と酪農の三題話はめでたくもあり、めでたくもなしと言うところであろうか。