震災や財政危機や消費税の問題で、国の内外が騒がしい。そのため実はもう始まっている、食糧問題を忘れないでいただきたい。経済問題や自然災害は極めて大切な問題であるが、人は生きていくためには食べ物がなくてはならない。食料の問題は生存にかかわる、持続的な問題であるためさらに重要な問題である。
食糧問題で最も重要のことは、昨年11がつに0億人と突破した人口である。そして、世界はゆっくりではあるが、確実に国家間の格差を縮めつつある。
左の表は、世界の穀物生産量である。着実に生産量を伸ばしつつある。とりわけ食料以外にも大量に使われる、トウモロコシの生産量は順調である。しかしこれは、化学肥料や農薬の技術的な手法が成し遂げたのである。
このことは、土地の疲弊を伴っている。そう遠くない時期にこのことは、さまざまな問題を露呈することになるであろう。とりわけ、遺伝子組み換え品種の問題は、予測がつかない問題を引き起こすことになるであろう。
収奪された土壌からの生産は頭打ちなることは、当然の結果として起きることになる。右の表は、一人あたりの耕作面積である。この50年で半分になっている。確実な減少はとめどもないのである。
左の表は、世界の穀物価格の動向である。異常な高騰がここ数年続いている。この間、日本の円は高騰し、120円台から80円そこそこになっている。日本は、高くなった円のおかげで国際価格を反映することなく、日本国民に食料を供給している。
こうした食料価格の動向に鈍化した政治家たちは、食糧自給率の向上を掲げたにもかかわらず、TPPという無関税システムの導入に躍起になっている。
やがて途上国は人口を増やし、人件費を上げてくる。そうした時期になってまで、日本が穀物を買い付けることが出来るわけがない。
増える人口は都市に集中することが予測されている。農村人口は増えないのである。農地は増えない。農産物の生産量は激減する。食料の偏在が今ほどでなくなる。
日本では人口の減少が起きるが、それは農村人口が一方的に減少するのである。つまり食料は、戦略物質を論ずる前に、せめて半量程度は自給し続けなければ、国家として破綻してしまうことになる。
目前の利益ばかりを追求する政治家たちは、長期的な視点もなくあるいはせっかく掲げた方針すら、明日の利益を追求するばかりで、食糧問題は票につながらにとばかりに、忘れ去られようとしている。今こそ真剣に食糧問題を論じなければならない。