今日(15日)のNHKスペシャル「知られざる放射能汚染」は、やはりと思いながらも、衝撃の実態を教えてくれた。
内容は、陸とは異なる海洋汚染の調査の結果である。当然のように、福島原発周辺の海底の汚染が深刻であった。海洋投棄された放射能は、10京ベクレルとされているが、洗浄や地下水からの汚染などは含まれていない。
海洋投棄に当たっては、「海洋に廃棄しても拡散される。生物が取り込むには更に時間がかかる」と、不倫で更迭された原子力委員会の方が発表していた。何も知らない枝野官房長官も、同じことを言わされていた。根拠は何もない。
しかし、現実には海底の汚染は陸上以上に深刻で、更には食物連鎖も起 きていた。ゴカイを食べるナメタケガレイは3倍の濃度になっていた。周辺の魚からは、暫定基準値をほとんど超える値が、検出されている。
もっと深刻な問題は、東京湾とそこに注がれる河川の汚染実態である。河口付近では、福島原発の海底と遜色のない、872ベクレルが検出されていた。河口から8キロ上流は、海水で固定され沈殿されるため、1623ベクレルにもなっている。
これらは、雨水が運んできたものと推定される。特に東京はほとんどが、アスファルトかコンクリートに覆われ、流出速度も早い。
これは、計測された時点だけの実態である。同じことが、東北から関東にかけてあらゆる河川で起きているはずである。そのことは、内陸の湖沼で確認されている。
群馬県の湖では、暫定基準を超える魚の汚染が確認されている。日本の7割は山林である。山の湖はこうしたところから集まってきた水の溜まり場である。陸封された魚の汚染は消えることがない。セシュウムの半減期の30年を経ても、半分にしかならないと、チェルノブイリで淡水魚の汚染実態を調査を続けている研究員が嘆いていた。封鎖された湖沼では増えることはあっても、時間しか減少する手段がない。
海洋汚染は、河川からの汚染によることも、茨城や福島それに千葉で確認されている。今盛んに除染という、水洗い作業が続けられているが、結果的には海洋に垂れ流すだけであるといえる。
陸とは異なる海洋汚染は深刻になる。東京湾では、2年3ヶ月先に最も高くなると、推測されている。
放射能汚染を感情的に捕らえるべきではなく、純粋に物理学的見地から取り組むべきである。情緒的あるいは主観的望みに重点を置いた対策は、将来に禍根を残すばかりである。