11日放映された、NHKの「ネットワークでつくる放射能汚染地図(5)である。昨年ドキュメントの賞を受賞している。今回は、「汚染された初期被ばくを追え」という副題がついていた。結論から言えば、東電や原子力ムラの連中の手抜きと、民間の作る作業の見事さが浮かび上がってくる。
ヨウ素131は2週間もすれば、痕跡すら確認できなくなるが、甲状腺への影響が大きい。とりわけ乳幼児にとっては、将来深刻な問題となることが予測される。したがって初期の情報こそ重要なのである。
ところが、もっとも重要な原発周辺の初期の観察データが、皆無なのである。
福島原発周辺には、放射能などの自動測定装置が24か所に設置されている。それらのすべてが、電源を失ったり地震や津波で、情報が得られていないというのである。
それでは手動でモニターを試みるが、20キロ圏内は追い出され、やっと観測した場所の公表はされなかった。住民の不安を煽るためとされているようだ。右の表は表ヨウ素の排出量である。
事故が起きたら必要な装置が、事故が起きたために使えないと弁明する。何のための装置か? まったく責任感すらない通産官僚である。
弘前大学の調査で、浪江町の住民65名中50名がヨウ素を浴びていたことが、甲状腺等価量測定で明らかになった。もっとも高い人は、最大量で許容される量の5~7倍も浴びていた。
24基の測定機のうち、何とかバッテリーが稼働していた1基の初期データーがみつかり、水素爆発のあった15日のヨウ素の拡散データが作成された。
黄色は許容量の1千~1万倍の量である。東京や、北関東にまで広く拡散していることが判る。民間の努力で、初期にこそ必要なデーターが、1年経って判明した。変な国である。
それにしても、これらの場所の子供たちは未来永劫にわたって、健康検査が必要となるであろう。それ以前に多くの障害が出る可能性すらある。