それにして裏付けも根拠もなく、「今年は日本が世界の中心で最も輝いた年」とシャーシャーと述べた。恥ずかしくないのだろうか。政治家としての裁量以前に、羞恥心がないのだろうか。誰もが納得できるような論議もしなければ、倫理観を披瀝したこともない。小手先でできることはよくやる。その典型が”閣議決定”である。女房は私人だとか反社会的人間の定義はないとか、およそ閣議決定のレベルを下げることを繰り返す。自ら任命した人間が頂いた役職の集まりで、反論もない中でやられるのが閣議決定である。
安倍晋三のある意味セフティーエリア内での重要法案や、笑いになる事さえ閣議決定する。国家の形を変えるようなことでさえ、閣議決定でやってのけた。集団的自衛権行使容認である。内閣法制局長人事に手を入れるなど人事を固めた後とはいえ、どこでも論議すらした形跡もない、憲法学者の95%が疑義を持つ案件の閣議決定である。
安倍晋三は中東への自衛隊の派兵を27日に閣議決定した。先ずは有志連合には入らないということであるが、わかったものではない。初回なので、まずは国民に慣れてもらって、2年もすれば国民も忘れてしまうだろという目論見である。そのうち何でもありの武力集団になろう。
安倍晋三にとって、閣議決定は万能薬である。集団的自衛権行使容認後の派兵は、国会の審議を公明党に要件として付けられている。そのため今回は、「調査・研究」というお題目を掲げた。まるで研究機関の出張のように見せかけている。
そもそも、中東に差し迫った危険はない。このことは閣議決定されている。騒がしいのはトランプが、8カ国の核合意を一方的に脱会し経済制裁に踏み切ったからに他ならない。日本がアメリカの友好国なら、この調停をアメリカに止めさせる立場にある。兵士を送り込んで緊張を高めるのは愚策である。自衛隊の海外派兵そのものも憲法違反である。安保関連(戦争法)であっても、紛争地でも何もないところに行くことはできない。
閣議決定は安易に出来るが、そのために政策論議も何もなく乱発され、与党内で大きな拘束力を持つ。小選挙区制と人事権の掌握に加えて、無論議の政権与党が安倍1強の一色になる作用も持つ閣議決定である。