ロシアや中国を非難したりボイコットする時に、あるいはこの旧社会主義国に対峙する側の共通意識を喚起するために使われるフレイズがある。
『自由、基本的人権の尊重、法の支配 』である。このことに異議はない。確かに旧社会主義国の多くは、どうも独裁下にあるのがお好みのようである。ロシアにしろウズベキスタンにしろ中国などは、紛れもない独裁国家である。自らは民主主義国家と名乗ってはいるが、裏で何やっているかわからない。情報の開示もなく政権側の都合が前面に出ている。国民も社会主義時代の、支配されるままの都合の良さを、人権や自由と引き換えに享受しているのであろう。
しかしこれは安倍晋三が政権の中枢にいた時代と、その影響下にある現在の日本と大差ない。安倍晋三とそれを支える政権内の人物や、それを褒めちぎる取り巻きたちは、人事権を武器に官僚と議員を平伏させフェイクニュースを拡散させる。
人を威圧し貶めることに長けている内閣官房和泉洋人が、『全国民に布マスクを配れば不安はパッと消えます 』と門外漢の発言を聞いて、500億円ものアベノマスクの無駄配布をやってしまう。大阪維新の会は無役のこの男を今回採用する。
評論家田崎スシローとかいう人物は、政権内のことがやけに詳しく、報道の側も重宝して使っているが、何をやっても安倍晋三を褒めちぎるのである。
こうした取り巻きの努力もあって、いくら犯罪を犯しても、虚偽発言を繰り返しても、官僚メモを読むしか能がなくても、プーチンのコケにされ北方領土を3000億円もの追い金を付けて渡しても、世間は騒がない。
森友学園では事の発端を作った安倍昭恵の擁護に、官僚を使い込んで公文書を書き換えさせても、不正行為で加計学園獣医学部を作り上げても、公金で支持者を桜を見る会に呼び接待しても、犯罪者を一人も出さない異常国家が日本である。これが法と基本的人権が守られている国家といえるのであろうか。
若者たちは政治にはおおむね無関心で、支配されることに慣れ従順である。少し突っ込むと、彼らは政治には中立でいたいという意思を前面に出してくる。旧社会主義国家に生きていた人物と変わりない。独裁がお好みで政治を遠ざけ自由を国家に預けているといえる。
日本は『自由、基本的人権の尊重、法の支配 』ができていないと中国を名指しすることができる国家とは到底思えないのである。