アメリカの穀物価格を決定する、もっとも大きな要素であるトウモロコシが干ばつで大不作になっていると、本ブログでお知らせした。http://blog.goo.ne.jp/okai1179/d/20120718
更に、ロシアでも干ばつによる大被害が生じていると農業省が26日発表している。既に収穫が終えている、南部のクラスノダール地方では例年の3分の1ほどになっているとのことである。最近の異常気象を見ていると、納得できるものがある。
ロシア全体でも、昨年の穀物生産量は30%減の8000万トンを切るようである。ロシアの年間穀物消費量は、7200万トンであるから、輸出量は相当量抑えられることになると報道されている。
アメリカの干ばつをけて、早速明治乳業が10月から約4%ほどの値上げを発表している。森永などの大手乳業メーカーも、値上げを検討し始めている。食糧インフレが始まっている。
値上げしても食糧が手に入る間はあまり騒がれないであろうが、日本のように食糧に対する明確な視点・方向性を持たない国が、行き詰ることになる。
多少の財政出動をしてでも、国民の胃腑を満たすべく、農業・農村・食料を守ろうとする姿勢が必要である。食糧は必ず不足する。そうした現実が始まっているのである。
食糧を守るということは、新自由主義的な発想で、農産物に付加価値を設けて、価格で評価することではない。
TPPによる無関税貿易は、経済力のある国が穀物を貧国から奪うことを意味する。日本のように、土地には生産性があっても、自給率を下げることを一貫して行ってきた国が、大打撃を受けることになる。
食糧インフレは私たの未来に、多くの教訓を与えてくれている。そのことに気が付きもせず、政争に明け暮れるこの国の為政者たちには失望するばかりである。
小生は食品関係の会社に勤務し、国際業務を担当しています。
今回の食糧危機は深刻に受け止めています。円高の影響で食糧価格の高騰を日本国民は全く意識することもなく、また政治家は食料自給率向上を前提とした農業改革などに全く興味はありません。
また企業の経営陣も食糧危機が起こっていることなど関心がなく、自社がいかにして儲けるかだけに意識があります。小生は「日本食を外国に売って利益を上げろ」と日々ハッパをかけられて、「がんばります」と調子のいいことを言っています。しかしながら、内心では「今は自国のものを輸出するのではなく、危機に備えて緊急輸入の経路を少しでも開拓しておくべきじゃないの?」と思います。自国での自給自足が理想ですが、時間がありません。官が腐っていれば、民も腐っています。
率直に申し上げますが、日本国民は今までの食糧飽和な状態に慣れ過ぎていて、食糧不足の事態など全く予期していませんし、仮に食糧価格が高騰すれば、「高い」、「ぼったくっている」などくらいにしか思いません。
官にも民にも今回の食糧危機はいい薬です。多少のハードランディングがあってもいいと思います。