加藤幹事長、「日本学術会議の件、任命を拒否したのではなくて、総合的、俯瞰的な観点から活動して頂くということで、今回任命された人を任命させていただいた。つまりポジティブに任命させて頂いたたということで、拒否はしていません。」という説明。何を言っているのかさっぱりわからない。日本語にもなっていない。政府の慌てふためきが良く判る。
そもそも、菅義偉首相は答申されたメンバーを見た時には99名であって、6名はすでに名簿にもなかったことが解った。
推薦通りに任命されなかったのは初めてだったので学術会議は驚いたし、事前の相談も何もなかった。拒否の理由は政権側は誰も述べていない。
世の中には状況証拠というものがあり、法廷でも十分効力がある。獣医学の場でも「診断的治療法」というのがあって、病原体や感染場所などが解らなくても、治療薬と結果から病名などを診断することもある。
今回の件では、任命拒否された6名の内容からその拒否理由を決定することが可能である。政権側が明らかにしなくてもいい。
ノーベル賞受賞者の本庶佑氏は、「拒否の理由を明らかにしないのは、明らかにすると都合が悪いからである。学者の選択基準は政治の側にはない。そうした縛りがない自由な研究でなければ政策提言も科学的根拠を持たない。」と述べている。正論である。
神戸女学院大学名誉教授で思想家の内田樹氏は、「政治は反知性主義の暴君なった。」と述べ、首相決裁文書からはすでに6名が削除されていたことを受け、「官僚が勝手に忖度してつくったリストを中身を見もせずに『はんこ』を捺しただけという話に落とし込むつもりなんでしょうか」とツイッター投稿している。つまり菅義偉は「『嘘つきの陰謀家』とみなされるのと『官僚に振り付けされている中身のない神輿』と見なされるのとどちらがいいかという二者択一を迫られて、首相は断腸の思いで後者を選んだ。」投稿した。
そして政権は、日本学術鍵の在り方を検討するというのであるが、今回の拒否理由が反政権的発言をしているからだということ、政権側が正面からしっかりと認めてからの作業であろう。問題のすり替えである。
東西冷戦の時期、アメリカはマルク経済学者などを追放するばかりか、中国やソビエトの研究者までレッド・パージで追放した。ちゃっぴりんでさえも子に犠牲者になっている。東側の情勢判断すらできず、ベトナムがきょうsン主義のドミノ倒しになるとして徹底した武力介入をした。実際は民族独立運動で、戦後ベトナムは紛争を繰り返し中国さえ追い出している。
自らに身近な思想しか認めない権力者、単一の価値観しか存在しない社会体制は、私たち人類が目指す社会であってはならない。今回の科学者、学者を権力が選別することなど許されるべきことではない。