日々の暮らしから

「街中の案山子」「庭にいます。」から更にタイトル変更します。

映画「蒲田行進曲」をみる。

2009-05-19 07:15:21 | 本・映画・テレビドラマ・絵・音楽
つかこうへいの脚本の映画化。
監督は深作欣二。
随分以前に見たから二度目。

イントロから、ワクワク、ウキウキとさせる音楽が流れ、場所は映画撮影現場。
拵え物の世界。
キッチュもいいじゃないか、のノリで画面は始まる。

(以下、幾分のネタバレあり)

他人を蹴落としてのし上がろうとする、本音むき出しの俳優、銀ちゃん。
肩で風を切って、配下を引き連れて、ブンブンキャデラックをぶっ飛ばす。
本音むき出しだけれど、スター根性が人格を作っているような銀ちゃん。

映画の世界に吸い寄せられる大部屋俳優にとっては、彼は高嶺の花。
そう、長年大部屋のヤスにとっても。

身ごもった女優を押し付けられて、成り行きで自分の妻にまでするヤス。
銀ちゃんのためなら、がどこまでも徹底していて、その徹底して銀ちゃんの下にいることが自分を支えているという関係。
こんな人もあり、なのだろうか。
名の知れた女優小夏を娶ったと凱旋する息子ヤス。

ヤスの母親は、語らずとも事情を察する。
でも、息子を捨てないで、と小夏に。

所帯を持ったヤスは、小夏と産まれてくる子供のために、キツイ役を次々引受け、生傷が日増しに増えていく。
そして、映画の撮影。
新撰組乱闘のシーン。
注目の京都の池田屋の階段落ちの場面。
危険、命の保証もない。
スタントマンもしり込みする。
名乗りを上げたのは、ヤス。

銀ちゃんの映画になくてはならない場面。
銀ちゃんを最も支える自分でいたいヤス。

うーん。
ヤスをここまで慕わせ、尽くさせてしまう銀ちゃん。
なんだろう。
銀ちゃんの何が…。

人と人との関係って、摩訶不思議なものを抱えているもので、
ヤスにとっての銀ちゃんは、そんな部類だったのだろうな、と眺めるしかない。

ヤスの銀ちゃんに対するセツセツたる想いに、だれも入ってはいけない。

エンディングも、「お芝居、おしまい!」って感じで、小気味よく仕上てあり、作り手の、映画作りを楽しんでいるって風が、良かった。

これを起承転結って言うのだろうか。
その筋運びが、重いようで重すぎず、軽いようで軽すぎず、だから私にとって名品です。

ああ、俳優もので、もう1つ大好きなのがあります。
薬師丸ひろ子主演の「Wの悲劇」。
これとは毛色が違うのですが、大事な作品です。
コメント
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