独断と偏見
遊びの中の知恵
「よく遊びよく学ぶ」こんな諺がある。
会社からの帰り。
小学校低学年の児童が電車の中で居眠りをしていた。エ~エ~エ。子供が居眠りとはちょいと戸惑った。遠くから都心の有名校に通う児童であろう。一人だった。
近県から東京に通学する児童にインタビュゥした場面を、テレビで聞いたことがある。「家の近くに友達はいません」「はじめは、さびしかったけど、今はさびしくない。家に帰ると夕方なので友達なんか要りません」さびしいような妙な答えが返ってきた。
駅を降りてから少々行くと、学習塾が二軒ある。煌煌と輝く明かりの下で机に向かって勉強している子供達。励んでいる姿には、「頑張れよ!」と声を掛けたくなるが、遊びを知らない子供たちであろうかと思うと、たいへんだなぁ~・・と同情のほうに傾いた。
いったい何時、何処で遊ぶのだろう。
「子供は風の子」という言葉が有った。小さいころは暗くなるのも忘れて遊びほうけた。喧嘩をし、殴ったり殴られたりした。学校から帰るとカバンを放り出して暗くなるまで遊んだ。それが普通だった。 今の子供達は、塾通い・習い事・・・・と遊んでいる子供を見かけない。少子化も大きな要因だが、車の発達で遊ぶ場所がなくなったらことも大きな要因かもしれない。
友達と遊ぶ中に社会生活に必要な知恵と知識が沢山詰っている。ワイワイ、ガヤガヤ遊ぶことは何も役立たないように思われるが、大切な事が一杯詰まっている。
年長者が遊び方を教えながら小さい子に教え面倒を見る。たとえば、縄跳びを考えてみよう。飛び方、まわし方、縄の持ち方、順序良く並ぶ、後始末。転んで怪我をすれば傷の手当てをする。治療方法を覚える。親にも知らせなくてはならない。どうして怪我をしたのかみんなで考える。わがままをすれば皆から責められる。遊ぶ事により深い絆が出来、お互いに助け合う。工夫し、考え、協力する知恵を養う。社会の基本的なルールが沢山詰っている。
社会環境の変化(いじめ、通下校時の街頭犯罪)、激化する受験戦争。遊び場が少なくなった都会。人間関係の希薄化等など子供を取り巻く様々な出来事。
今教育問題が熱い。遊びの中に秘められた子供達のルールが隠されている。原点に立ち返って遊びを考える事もあながち無駄ではないでしょう。
平成十年4月記 (せせらぎより・補正し掲載しました)