謹 賀 新 年
我が家の玄関先
奥戸天祖神社
天祖神社
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
縄文人
『若水を汲む』其の1 作・縄文人
(1997,3作記)
コラムの会「せせらぎ」から抜粋して
新春にふさわしいコラムに編集しました。
画像はPC/HPからお借りし、適宜適切に
挿入しました。(其の1、其の2有り)
山井戸に若水汲みて空青し (縄)
昨今は、若水についてあまり見たり聞いたりすることはなくなりました。
その言葉すら消え失せた。
若水という言葉の響きに懐かしさを感じるとともに、子供の頃のことが蘇ってきた。正月の若水汲みが脳裏をよぎる。
秩父の生家は、勝手口の近いところに“つるべ井戸”があった。井戸から汲み上げ、天秤棒と桶で肩に担いでお勝手口に運んでカメに貯水した。
輪飾りを井戸神様へ備えけり (縄)
だが・・・なぜか、元日はこの井戸水を使わなかった。
およそ300m離れた諏訪神社の井戸水〔湧き水〕を使った。
山裾に続く雑木林の一角にヒッソリと忘れ去られたように湧水井戸があった。春は周辺にフキ、セリ、ゼンマイなどが芽吹き、新緑で一杯に覆われた。
秋になると落ち葉が吹き溜まり井戸の周りや中にも落ちた。
枝葉は、水底に沈み清泉を通して深水を透して見えた。
冬は水面に浮いた葉とともに凍結してステンドグラス状な模様を呈した。
山塊から湧き出す清水は、1年中枯渇することはなかった。
耕地〔※〕の人たちは、若水汲みの井戸として尊び、正月3ケ日毎朝汲みに出掛けた。
若水を姉と二人で汲みに往く (縄)
元日になると誰か飾ったか、湧水井戸の辺り木に輪飾りがかかけられ正月気分を醸し出していた。澄み切った朝の静寂の中、初鶏がなく刻になると、耕地の人たちは、手桶とひしゃくを持って若水の井戸へと急いだ。
『おめでとう御座います』と、行き交う人々に挨拶をした。
耕地は向三軒両隣、家族と同じように強い深い絆で結ばれいるので、『今年1年よろしくお願いします』という意味合いも含まれていたのだろう。
秩父地方の正月は、ことのほか寒く、吐く息が白く立ち上るのが分かった。
新年の挨拶交わす耕地ひと (縄)
※〔耕地〕=町村制の小字〔コアザ〕に当たるもの。山郷のあちこちに集落が点在する。
これを耕地と呼び集落の名を冠して〇〇耕地と言う。わが地は、≪赤柴耕地≫と名乗った。
元日や日々好日と一歩踏む (縄)
其の2に続きます
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