BLACK SWAN

白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかIV 第19話 『闘技場(コロシアム)』 感想: ベルくん、ホントに英雄にすぎてしびれる。

2023-02-25 01:33:31 | ダンまち
アバンのライラの助言があまりにも今のリューの行動とダブって見えて、リューはリューで、アストレラ・ファミリアの団員たちから、いろいろと学んで、それを今はベルくんに伝えている。

リューにとって、在りし日のアストレア・ファミリアがどれだけ自分を育ててくれたか、噛み締めてひとりでやってきたんだな、って思うよね。

リューこそ、自罰的で自傷癖のある冒険者になっている。

でもそれを、「英雄」のベルくんが救出する。

でも、今のベルくんを英雄と呼ぶべき基準も、生前のアリーゼから教えられていた、というのが、なんともいえない。

結局のところ、今のリューの行動や思考のすべてがアストレア・ファミリアで築かれた。

それは同時に彼女にとっては軛でもあって、それを、この深層脱出劇で、いい意味で破壊して地上に戻る。

そう思うと、この深層決死行って、リューにとって長かった喪から抜け出すためのものでもあったんだな。

まさに黄泉にもぐり、そこから戻ってくることで、心身ともに清めてくる旅程。

まぁ、煉獄的な苦境、ってことだけど。

でも、この過酷な旅を経て、新たなパートナーとしてベルくんを見出すこと出来たからこそ、原作18巻では、神アストレアのもとにでむくことができた、ということだよね。

そこは心理的につながったので、ものすごく納得。


にしても、コロシアム、ひどいね。

でも、こうやって映像にしてくれると理解しやすい。

原作を読んだときは、ここまではイメージできてなかったのでw

とはいえ、まだ、まれで災厄が終わらないのだから、本当に深層は酷い。

まだ3話くらい残っているはずだしね。

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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかIV 第18話 『迷宮決死行(デスパレート)』 感想: ベルとリューの2人に対して深層の所業が過酷すぎる!

2023-02-18 02:05:42 | ダンまち
ゼノスとアーニャたちがともにリリたちのもとにたどり着いて、ようやく、リリたちがほっとできる展開に。

春姫とウィーネが再開する場面はホントいいよね。

3期の後半、地上にいったん出ざるを得なかったリトたちだったけど、その時、ベルたちヘスティア・ファミリアの助けを得て、なんとかダンジョンに戻ることができた。

その時、たしかに、ベルたちが危機に陥ったら助けに行こう、とゼノスどうしで誓っていて、その時が今だった、ってことで。

いやー、いいよね、そういう恩に報いる、という展開。

3期を見直すとわかるけど、今回救援に来たゼノスたちは、実際、あの時にベルたちに助けてもらった面々なんだよね。

しかも、細かいことだけど、このゼノスの中にいたユニコーンの角で作った短剣をつかって、ベルくんは解毒していたわけで。

地味に、今回、ベルくんもゼノスのお陰で窮地を脱していたんだよね。

・・・っていっても、ベルくんとリューの危機は全然終わってないわけだけど。。。

でも、これでようやく本丸まで辿り着いた、という感じ。

次回はどうするのだろう、1回で決着をつけるのか。

それとも、リューの回想を増やして2回に分けるのか。

とにかく、原作の14巻を読んだときは、コロシアムの場面は絶望に次ぐ絶望だったように記憶しているので、できればそれを丁寧に描いてくれることを期待したいのだけど。。。

にしても、ダンまちもここまで来ると、過去のエピソードの蓄積のお陰で、一つ一つの場面が凝縮された意味を持ってくるので見ごたえがある。

4期、作画もほとんど崩れないし、素晴らしい。

やっぱり読者一番人気のリューが主役のシリーズは、手を抜けないよねw

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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外伝 ソード・オラトリア13 感想: 黒竜討伐に向けて『学区』を通じてオラリオの外を描く新章がキックオフ!

2023-02-16 11:13:44 | ダンまち
前の12巻から実に3年半ぶりの13巻。

本編の方も2年ぶりに出た18巻で、ようやくフレイヤ様のベルくんに対する執念にもひとまず決着がつき、刻一刻と「黒竜討伐」に向けて、オラリオの外にベルくんたちが旅立つときが近づいてきた。

いや、もちろん、まだダンジョンの最下層の攻略、という悲願は残っているのだけど。

でも、この黒竜討伐とダンジョン攻略はきっと裏表の事業となるのだろうから、今後も並行して進んでいくはず。

となると、そろそろオラリオの外の世界の描写も必要な頃合いで、この外伝18巻はいろいろな意味で「新章開始」を告げるものだった!

もっとも、本編あとがきにあった『学区』編が、さきに外伝の方で始まるとは思っていなかったけどw

ということで、とりあえずスペース、空けときます!


にしても、はいむらきよたかがイラストを描いていることもあるのだけど、『学区』の話は、もう『禁書目録』の学園都市にしか思えなかったw









































で、最初に表紙のイラストを見たときは、このショートヘアの娘は誰?とマジで思った。

後でも触れるけど、はいむらきよたかがイラストを担当しているから、どうしても『禁書目録』のことが思い浮かんでしまって、あちらは多くの場合、表紙に使い捨てのその巻限りの新キャラを表紙イラストに使ってくるので、なんだ、『ダンまち』もそれかぁ、どういう新キャラだよ?って思っていたのだが。

まさか、髪を切ったレフィーヤだとは思わなかったよw

素朴にびっくりしてしまった。

でも、12巻のラストにあった彼女の慟哭を思い出せば、あー、そりゃ、これくらい心境の変化があってもおかしくないかー、と思ったのだった。

で、その時点で、なるほど、今回は、奈落の底に落とされたレフィーヤが這い上がっくる物語なのね?と察しがついた。

実際、そういう展開だっだし。

本編のほとんどで、え、この毅然としたエルフ、誰?と思うくらい、レフィーヤが大人な対応をしていて、あの常にアイズに泣きつきながら、その傍らでベルのことをひたすらディスっていて、大人げない女子はどこに行った? これもうキャラ崩壊じゃん、まんまキャラチェンジじゃん!と思ってしまったから。

でもその分、『ソード・オラトリア』のくせに面白かったw

全編をレフィーヤの話に特化した結果、非常に読みやすかったんだよねw

流れはこんな感じ。

レフィーヤは、11巻12巻のエニュオとの戦いで、怪人であったエルフの友人(恋人?)のフィルヴィスを自らの手で倒して(殺して)しまい、その結果、傷心と自責の念で二重に苦しみ、自分自身を潰しにかかっていた。

絶望にどっぷり浸かってしまった。

そして、どうせ自分が壊れるくらいなら、この身をフィルヴィスに捧げて、彼女のように魔法戦士になろう、それですべて丸く収まるはずと自分自身に思い込ませた。

そんな風に考えた結果、レフィーヤは髪をバッサリとショートにし、形からフィルヴィスのように自身を変えようとしていった。

ベートに頼んで、魔法戦士として前衛が務まるよう、近接戦闘の稽古を付けてもらったのもその一環。

そうした鬼気迫るレフィーヤの振る舞いに危険を感じたロキが、だったら、と送り込んだのが、レフィーヤの母校である『学区』だった。

『学区』で一時的にインストラクターを務めることになったレフィーヤは、かつての自分の姿を彷彿とさせる後輩たちとのやり取りの中で、とりわけ、今までの「教わる側」から「教える側」へと立場を変えることで、自らの足跡を振り返り、そこから、フィルヴィスの闇(といってもレフィーヤ自身の思い込みから生じたものだが)を振り払い、崩壊しかけていたアイデンティティを取り戻し、とはいえ、以前と比べて一皮むけたレフィーヤとして成長を遂げてロキ・ファミリアに帰還した。

・・・というのが、今回の話の流れだった。


見ての通り、最初から最後までレフィーヤに焦点を当てた話であり、それもあって、いつもの『ソード・オラトリア』よりも遥かに読みやすかった。

それに、こう言ってはなんだけど、ようやくレフィーヤというキャラに親しみを覚えてもいいかなと思えてきた。

これまでのレフィーヤは、無口なアイズの代わりに外伝を引っ張る進行役でしかなくて、その分、口やかましいただの小娘キャラだったので、単純にウザい奴、くらいにしか思ってなかったんだよね。

むしろ、なんでこんなにベルくんにつっかかってくるのかも理解できなかったし、なに、勝手にベルくんの好敵手みたいに思っているわけ、くらいにしか思ってなかった。

そもそも本編にはリューとエイナがいて、もうエルフ枠は埋まっているだよ!と思っていた。

それもあって、レフィーヤって要らない子だとずっと思っていたんだよね。

それが、外伝でエニュオの話になったあたりから、フィルヴィスとのからみから、だんだん確かに物語の展開に大きく絡むキャラになってきて、でもウザさは変わらなかったので、正直困ったなぁ、と思っていた。

なので、今回の『学区』のレフィーヤ編は、彼女に対する、そういう不満というか、不完全燃焼な印象を塗り替えるにはちょうどよかった。

まぁ、きっと作者もそう思ったから、外見的にイメチェンを図り、加えて『学区』にいかせて口調も変えることで、「新・レフィーヤ・爆誕!」ってことにしたかったのだろうけど。

で、その試みはうまく行ったと思う。

むしろ、あー、これは、本編の『学区』編を通じて、またベルくんが「口説き落とす」相手のひとりになるのだろうなぁ、とまで思ったりw

実際、本巻でも、最後にベルくんと再会し、変わらず罵倒していたわけで。

もう、完全に、気になる子に思わずつっかかる女子だよねw

イラストのつながりからすれば、上条当麻を「あんた」呼ばわりで詰り続けながら陰で恋心に悶える御坂美琴と全く同じ構図。

きっと美琴同様、レフィーヤもベルくんにデレちゃう時が来るんだろうなw

ていうか、絶対チョロイン枠だよねw

・・・ということも含めて、レフィーヤの位置付けを変えるのに成功したエピソードだったと思う。


もちろん、本巻がいつもの『ソード・オラトリア』と違って面白かったのは、個々のところ続いたオラリオのための政治劇とその解決のための集団戦闘・・・のような大味の物語ではなかったことも大きい。

レフィーヤが面倒と見た第七小隊の学生たちを通じて、本編の初期にあった、駆け出しの冒険者(予備軍)が冒険にでかけて格上のモンスターと対決し危機に陥る、というシンプルな構成に戻ったから。

それくらい小さな事件のほうが読みやすいのは確かだし、そもそも、作者は集団戦の描写が恐ろしく下手なので、ひとつのパーティでひとつの敵と戦うくらいがちょうどいい。


なので、『学区』に戻ってレフィーヤが「原点回帰」で自分を見つめ直しただけでなく、物語自体も、ベルくんがひとりでダンジョンに潜っていたころに「原点回帰」したこともよかった。

これで、これ以後の物語が、本当に「新章」であることがはっきりしたから。

要するに、レフィーヤにとってのフィルヴィスを巡る顛末は、ベルくんにとっての異端者のエピソードと同じだった、ってこと。

ゼノス編を通じて、ベルくんは、愚者であることを選び、偽善者であることを甘受する決意し、そこから精神的にも成長し、単なる「勇者」とは違う「英雄」への道を歩み始めたわけだから。

そもそも、あの事件でフィンですら「勇者」として小さくまとまるのをやめ「英雄」の道をやはり歩もうと心変わりしたくらいだから。

そういう精神的な成長イベントのレフィーヤ版が本巻だったってこと。


そして、このレフィーヤの変身イベントに合わせて『学区』を紹介したのはよかったね。

てか、この船が、当代の「アルゴノゥト」の旗艦になるんだよね?きっと!

『学区』の紹介を経て、物語の舞台をオラリオの外に向かわせるときの舞台。

だから、ベルくんが一足先に『学区』に潜り込んで、一騒動、起こしてた!ってことにもなる。

そのベル君の騒動は本編19巻で描かれるみたいだけどねw

気になるのは、レフィーヤの恩師でもある、レベル7で「ナイト・オブ・ナイト」の二つ名をもつレオン・ヴァーデンベルクがベルくんのことを気にかけていたこと。

そのあたりは本編19巻で明らかにされるのだろうけど。

でも、この「ナイト・オブ・ナイト」って、「キング・オブ・キング」みたいな二つ名だけど、きっと「ナイト」といっても「騎士」と「夜・闇」の組み合わせなんだろうな、と思ったりw

でも、エニュオ編のディオニュソスのことがあるから、この手のイケメン男性キャラは信用ならないんだよねーw

そのあたりも本編19巻でおいおい明らかにされるのだろうけどw


ともあれ、レフィーヤも、きっとベルくんに救われる「年上」の女の子、になるのだろうなw

もうそれは確定事項で、下手をすると、ヘスティア・ファミリアにコンバートもあるのかも、と思ってきたw

だって、ヘスティア・ファミリアの魔法師はてっきりリューさんがなると思っていたのだけど、本編18巻の感じだと、あのまま「豊穣の女主人」に残って、シル=フレイヤの親友兼お目付け役になりそうだからw

まぁ、レフィーヤがベルくんに近づいたら、リューさんもさすがに怒り出しそうだけどw

でも、どちらも基本はポンコツエルフだからなぁ。

ともにスペックが激高なだけにポンコツ度が際立つのがイタイw

でも、実際、レフィーヤが、リューさんみたいな魔法剣士になると、前衛も後衛もできるので、魔導士不在のヘスティア・ファミリアにとっても都合がいいはずで。

ベルくんは、基本、近接戦闘のアタッカーだから前衛だと思うのだけど、でも『ソード・オラトリア』の13巻でもあったように、大鐘楼のチャージを含めて、ベルくんの最終奥義は、ゼロ距離から魔法大砲をおみまいするような役だから、そのときだけは魔導士のようにいったん後衛に下がる必要がある。

そのときに前衛にあがって、魔導士から魔法剣士にスイッチできるレフィーヤの存在は大きい。

きっと、同じ魔法剣士のリューさんと組んで。ベルくんを守る役をするのだろうな。

ふたりとも並行詠唱ができるのが強い。

となると、今回のエピソードはあれだな、黒竜討伐の最終章で、完全に闇落ちしたアイズを救うために、ベルくんとタッグが組める相手になるためのレフィーヤの修行の始まりだった、ってことだな。

なんか今からその時が楽しみになってきたw

それにしても、アイズの出番がなさすぎw

いくら黒竜討伐のラスト・ヒロインだからといって、本編まで含めてどんどん存在感が薄くなってきてない?

もはやリューさんもレベル6だし、遠からずベルくん関連の騒動で、リューVSアイズの第3戦が繰り広げられそうだしねw

ともあれ、いい感じに外伝が機能し始めてきたのはいいことだw

来月の外伝14巻は、フィンたちの過去話らしいけど、ここまでくると主要キャラのバックストーリーを予めさばいて置くことは大事なので、それも楽しみ。

で、それで連続刊行も終わるかと思っていたら、実は6ヶ月連続ではなく12ヶ月連続ということなのだけど、あと何を出すのだろうw

特典小説のまとめが2冊は確定しているらしいけど。

もしかした、最後に本編19巻もでるのかね?

でも外伝13巻での『学区』の熱があるうちにベルくんの『学区』潜入編も出してしまった方がいいだろうから、9月あたり本編19巻がでてくれると嬉しいw

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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかIV 第17話 『白の迷宮(ホワイトパレス)』 感想: おお!ゼノス見参!盛り上がってきたね!

2023-02-11 10:08:31 | ダンまち
いやー、やっぱり、いいな。

リリたちの窮地に駆けつけたゼノスたち。

思わず涙腺がゆるくなる。

ただ、ピンチに駆けつけた、ってだけなんだけど、こういう場面って、やっぱり、これまでの物語の蓄積があるからこそ生まれる感動なわけで。

原作を読んだときも多分そうだったと思うけど(←だいぶ前だからあまり自信がないw)、ここぞという場面に来る増援だからこそ、ぐっと来る。

その上で、やってきたのが、かつて約束をしたゼノスたちだから。

いるところは違っても、彼らがリリたちの仲間だというのがよく分かる。

もとはベルが繋いだ相手なのに、その彼らが、まずはベルではなくリリたちから守る、というのもよい。

ベルがいなくても、彼が繋いだものたちは勝手にわかり会える流れだから。

うーん、やっぱりいい場面だなぁ。


ただし、ベルはベルで、いまだリューと二人の決死行の最中。

それでも、徐々にリューがデレていっているのがいい。

たしかアリーゼが、リューが手を握れる相手が見つかったらその人が運命の人だから絶対逃すな!、と言ってたはずなので、もう、リューの中でのベルの位置づけはうなぎ上りの限界突破直前状態w

これだけドSな状況を越えないとデレさせない作者もひどいけど。

でも、きっと、このリューの潔癖さ、清廉さがあったからこそ、シル/フレイヤは、ベル同様、息も絶え絶えのリューに手を差し伸べたんだろうな、と今更ながら思った。

シルが、ベルだけでなく、リューもあわせた3人で過ごしたい、というのも、そういうことだったんだろうな。

実はベルに次ぐ「白い心」の持ち主がリューだった。

やっぱり、リューさんなんだよなぁ、ベルの英雄の道の未来を握るのは。

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アストレア・レコード 全3巻(第1巻『邪悪胎動』、第2巻『正義失墜』、第3巻『正邪決戦』) 感想: 黒竜討伐など『ダンまち』本編の今後の展開に不可欠な長大なキャラ設定集!

2023-02-06 16:58:04 | ダンまち
待ちに待った『ダンまち』18巻は、蓋を開ければ、前人未到の2段階ランクアップのリュー・リオンの圧倒的な無双が物語の華だった。

完全にベルくんが越える活躍で、これは、多分、やっぱり、その前に3巻連続で出た『アストレア・レコード』を読まないとだめなんだろうな、と観念したw

で、遅ればせながら3巻、読み切った!

もともと同名のソシャゲ・シナリオのノベライズで、すでにオチについてはネットにあふれているかも・・・なのだけど、書籍としては新しいので、一応、スペース空けときます。









































で、読み切っての第一声は、

あー、これは、担当編集者がノベライズを望むはずだー

ってことだった。

確かに、今後の『ダンまち』本編の展開上、知っておかなくちゃいけない設定ばかり。

なかでも、最後も最後、第3巻の本編終了後に置かれたEXTRAが超本命。

だって、ベルくんの出自が、彼の誕生秘話がさらっと描かれていたのだからw

そりゃ、この最大級の秘密ネタを公式に書籍で読者に知らしめるためにも、その前提として、EXTRAの3人がやらかした「死の七日間」の一部始終をかいておかないわけにはいかないよなー。

すでにこのEXTRAに書かれていることはネットにあふれているので、ざっくり書いてしまうと、

この『アストレア・レコード』で、最後までアストレア・ファミリアの最大の敵であった元ヘラ・ファミリアのレベル7冒険者だったアルフィアが、実はベルくんの伯母だった。

とどのつまり、『アストレア・レコード』が刊行された理由は、この情報開示に尽きる。

もう一人のレベル7強者だった元ゼウス・ファミリアのザルドとか、ラスボスだった邪神エレボスも、終わってみれば、アルフィアという『ダンまち』にとっての最重要キャラを登場させるための引き立て役でしかなかった、ということw

で、先にベルくんのことについて書いてしまうと、

アルフィアの双子の妹のメーテリアがベルくんの(多分亡くなった)母親。

じゃあ、父親は誰かというと、ザルドの話では、彼のいたゼウス・ファミリアの下っ端でサポーターをしていた青年、ということ。

ベルくんの白い髪と優しさは母親から、
ベルくんの赤い目と逃げ足の速さ(=俊敏性)は父親から

それぞれ受け継いだものらしい。

で、どちらも冒険者としての能力はほぼゼロみたいなものだったから、だとすると、ベルくんの能力値の高さについては、その地力は、どうやら伯母のアルフィアにならったもの、ということになりそう。

つまり、ベルくんもポッと出のただのヒューマンではなかったってこと。

まぁ、ゼウスに育てられている時点で、何もないはずではないんだけどねw

加えて、父親の方は無名の冴えない冒険者だったわけだけど、でもどうやら、この人、遠い先祖が伝説の英雄アルゴォノウトだった、という噂もあるみたい。

だとすれば、何だ、ベルくん、君も実はちゃんと「よい血統の男」だったんじゃん、ってことになりそうでw

これはこれではっきりしたときには、賛否両論、現れそうw


・・・とまぁ、とにかく『アストレア・レコード』を刊行しなくちゃいけなかったのは、本編的には、この敵役のアルフィアがベルくんの伯母だったという情報に尽きる。

実際、そう思うおかげで、全3巻の中身についても納得がいったわけで。

というのも、ファンの人には悪いけど、『アストレア・レコード』の本編を読み終えての感想は、期待していたものと違ったなー、というもので、正直、あまり面白くなかったんだよね。

読みながら、これ、作者も書いてて全然楽しくないんだろうな、って感じがひしひしと伝わってくるくらい、どうでもいいキャラ描写が続いて、げんなりした。

ひとつには、タイトル通り、もっとストレートにアストレア・ファミリアの話が中心になると思っていたのだけど、実際に活躍したのは、ロキ・ファミリアでありフレイア・ファミリアだったこと。

これは正直、拍子抜けで、要するに話の半分くらいは『ソード・オラトリア』の前日譚だった。

もちろん、それはそれでありだけど、でも、フィンとかオッタルとか、ついでにいえばアスフィまで死力を尽くした結果、肝心のアストレア・ファミリア団長のアリーゼが、完全に空気の読めない残念な子、みたいになってしまった。

特に「正邪決戦」と名打たれた第3巻はひどくて、全編ほぼ戦闘シーンなわけだけど、これがとにかくつまらない。

第2巻までは、時折「ん???」と首を傾げつつも、まだなんとか読めたのだけど、第3巻の、闇派閥との全面戦争に突入して以後は、なんかもう、終始、ないわー、これはないわー、って、苦笑しないではいられなかった。

いやほんとに、これじゃない感だらけで、その最たるものが、オッタルVSザルド戦。

てかさ、オラリオの冒険者たちから「がんばってー!!!」って声援を送られるオッタルって、もう「猛者(笑)」じゃんw キャラ崩壊じゃんw

そんなオッタルは見たくなかったなぁ、強者は強者のままで毅然としてろよ、と。

ただ、このオッタルVSザルド戦も、最後のEXTRAまで読むと、VSアルフィア戦のための前座だったんだな、とわかって、無理やり納得できたのだけど。

ただね、そういう前座の描写がとにかくくどくて、これ、もっと短くできただろう、と思わざるをえない。

それも含めて、作者は、集団戦、ほんとに描くのが下手。

『ソード・オラトリア』の頃からずっとそうだけど、モブのひとりひとりに紙幅を使いすぎなんだよね。

何が読んでて辛いかって、作者が嫌々ながら書いているのが伝わってくることで。

物語の構成上、ここは、お涙頂戴でも書くしかない、って感じで、仕方なく書いている。

だから筆圧がない。

陳腐な厨二的な「禍々しいw」表現のオンパレードか、臭くて臭くて苦しくなるくらいのセリフか、甘ったるい表現が、埋め草のように続いてきて、書割り的すぎて辛い。


もっとも、こういうのは、全てのキャラに見せ場をもたせなくちゃならないソシャゲの文法に沿ったものだから、仕方ないのだろうけどね。

ソシャゲ的といえば、無駄に集団戦が多くなるのも問題で、しかもその集団戦に加わるモブたちにも、それなりの背景事情を与えようとするから、彼らの行動理由が、数が多い分、総花的で、結果陳腐なものになってしまう。

一番これはダメだろ、と思ったのは、ロートルの老人冒険者達に集団特攻させたところ。

いくら老人冒険者だからといって、死に急いで、死を美化させるのはダメだよ。


『アストレア・レコード』の中では、頻繁に「正義問答」が繰り広げられて、たしかにそれが問答であるうちは、リューをはじめとするアストレア・ファミリアの面々の逡巡につながり、ページターナーになるのだけど。

でも、最終的な結論が、「正義」とは「理想」であり、「正義は巡る」ことでいい、という、ある意味、投げっぱのオチで話を閉じるのはどうなのだろう、って思った。

その上、集団殺害事件を起こした邪神エレボスにまで「必要悪」としての正義があるように位置づけたのも。

こんな相対主義的結論で落ちにするから、なんでもアリのニヒルな相対主義者のネトウヨが生まれるんだな、って思った。

トロッコ問題まで持ち出しておいて、しかも集団殺害の大惨事まで起こした首謀者に対して、奴にも正義があった、というのはダメでしょ。

そういう意味では、さっきのロートルの集団特攻もファシズム的だし。

エレボスが、英雄を生み出すために、集団殺害に繋がる「厄災」をわざとオラリオにもたらすことで、冒険者たちのレベルアップと覚醒を促そうとする発想って、完全に卓越者だけで世界は救えるというエリート主義だからね。

こういうところも含めて、全体的に『アストレア・レコード』は、死を軽んじているのが嫌だった。

だったら「正義」なんて問うなよ?って思ったな。


・・・という具合に、読む前に想像していたリューたちアストレア・ファミリアの冒険譚からは完全に離れた内容で、読後はかなり残念な気持ちになった。

多分、それは『ソード・オラトリア』の頃から疑問に思っている、「闇派閥」というお手軽に使われる「悪のラベル」が、『アストレア・レコード』でも適当に使われていたからだと思っている。

ただ、世紀末ヒャッハーな感じで悪行を重ねる人たち、というのなら、素直にマフィアとヤクザとか使うほうがマシなんじゃないかと。

結局、『ソード・オラトリア』でも「闇派閥」って何か、って問われてないし。

一応、『アストレア・レコード』でのエレボスの語りから、何らかの「神の意志」が働いているもののようにも思えて、つまりはキリスト教における「アンチ・キリスト」のようにも思えて、だから、残すところ「黒竜」だけとなった三大クエストも、神が与えた試練のようにも思えてきて、そういう人類への災厄の、いわば身近な実行部隊として「闇派閥」が常に、冥府の神たちによって組織されているということなのかもしれないけれど。

でも、これだけ悪さをしてきて、しかもフィンあたりが常に敵認定している相手である「闇派閥」についても、もうちょっと黒幕的なものの存在を匂わせたほうがいいようには思うけどね。

どうも『ダンまち』シリーズでは、作劇に困った時、便利に使える悪行集団くらいにしか「闇派閥」が使われていないのが、どうも気になる。

でも、その闇派閥のせいで、アストレア・ファミリアはリューを除いて全滅したわけだし、フィンたちロキ・ファミリアは、逆に正義のファミリアっぽい雰囲気を醸し出していて、なんだかなー、って感じ。


という具合で、読む前に期待したリューたちの物語が、かなり希釈されたもので終わってしまって残念だった。

あと一つわかったのは、とにかく「黒竜がラスボス」ということw

最後、どうするのだろうね。

でもなぁ、作者の「悪の書けなさっぷり」を考える、黒竜ですら、実は人類や下界のことを考えてきたいい奴でした、で終わりそうな気がして怖い。

確かに、龍って、神をも超越する始原の存在、って神話、多いからね。

ただ、そういうお行儀のいい落ちでは、またぞろ、相対主義者のネトウヨを増やすだけになるのがいやかな。

そこはちゃんと凡百のファンタジーのオチを踏まえて上で締めて欲しいところ。

でないと、黒竜殺すマン!のアイズが浮かばれない。


あ、そうそう、前にリューが言ってた、「剣姫と差がついてしまった」という発言の理由が描写されていたのには苦笑いw

てか、『アストレア・レコード』内での、リューVSアイズ戦は、とにかく両者がともにバーサーカー過ぎてドン引きだったw

そういう意味では、アストレア・ファミリアのMVPは、リューでもアリーゼでも輝夜でもなく、小人族のライラだったね。

どう見ても、この当時、フィンはライラに目をかけていたと思うのだけど。

もしかして、今、本編でフィンがリリに懸想しているのって、リリの背後にライラの影を見てるからなのかもね。

そういう感じで、本編にフィードバックできるところも多かったのだけど、それらについては、また別の機会にでも。

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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかIV 第16話 『始高(ヴェルフ・クロッゾ)』 感想: ここからヘスティア・ファミリアが今代のアストレア・ファミリアとなる運命が始まった!きっと!

2023-02-04 10:20:49 | ダンまち
いよいよ深層からの脱出に向けて動き出したベルとリュー。

それが過酷な道のりになるのは当たり前で、それゆえ、どうしてもベル君たちの発言も含めて、悲観的で辛気臭いものになりがち。

多分、それだとアニメの構成としては厳しい、ということで、多分

●ベルとリューの深層からの脱出
●ヴェルフやリリたちのサバイバル
●アストレア・ファミリアについてのリューの回想

の3つが並行して描かれるようになったのだろうけど。

ちょっとこれ、ひとつのエピソードとして見るには忙しないね。

あとでまとめて一気見でもしない限り、ちょっと見にくい。

まぁ、リゼロの2期に比べれば全然見やすいけどねw

ただ、これだと、あの原作の14巻を読んだときの、なんともいえない絶望感は表現されないのだろうな、と思った。

絶望感って、やっぱり視点キャラの主観で語られないと難しいよね。

戦闘のようなアクションシーンなら、複数キャラの描写で済むけど。

今回は、特にそれを感じたかな。

そういう意味では、ヴェルフの自問自答のシーンはよかった。

あの場面の直後に、ヘファイストスとヘスティアの会話が挟まれていたけど、あれ、原作にあったっけ?

ちょっと思い出せないのだけど、でも、あの場面で、ヘファイストスが「ベルの成長に合わせて進化するヘスティア・ナイフ」について触れたのはよかった。

だって、その直後に、ヴェルフが打った砕けない魔剣が出てきて、その魔剣もまた、砕けない分、ヴェルフとともに成長する、と宣言していたから。

これ、このヴェルフの魔剣が、ヘスティア・ナイフに準じたものであることを示しているし、

ということは、ヴェルフの鍛冶師としての力量が、彼の師匠で最愛の人でもあるヘファイストスの力量に迫っている、ということだよね?

だとすれば、確かに、ヴェルフはヴェルフで、ベルとは違った意味で高みに届こうとしていることが表されている。

この深層の冒険を経て、ヘスティア・ファミリアは、力ではなく技巧派のファミリアとして成長していくことになって、その過程で、リリもまたパルウムらしく(力はないけど)知恵のある参謀として頭角を表していく。

いま、ちょうど『アストレア・レコード』を読んでいる最中なのだけど、その印象だと、ヘスティア・ファミリアって、在りし日のアストレア・ファミリアの役割を継承していっている感じなんだよね。

ロキとフレイアの2大ファミリアの間で、遊撃隊としての役割を担い、なによりも、オラリオの人たちに希望を与え、他のファミリアの士気を高める存在となる、という点で。

そういう意味で、リューが、アリーゼに感じた親密さの延長線上でベルに親近感を抱き、最後には惹かれてしまった、というのも理解できる。

つまり、この深層の経験を経て、ヘスティア・ファミリアは、今代のアストレア・ファミリアとなる道を歩み始める。

その意味で、物語の真ん中にリューがいて、彼女の回想を通じてアストレア・ファミリアが紹介されるのって、実は重要だったんだな、と思ってきた。

いや、むしろ、アニメの制作陣が、原作をそう解釈して再構成をしたのかもしれないけれど。

ということで、これは深層編の全てが放送されてから、通しで全部を見るとかなり印象が変わるのではないか、と思ってきて、今から楽しみになってきたw

きっと次回あたりから、アストレア・ファミリアの面々の詳細な紹介に移るのだろうなw

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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかIV 第15話 『不冷(イグニス)』 感想

2023-01-28 17:35:54 | ダンまち
タイトル通り、ヴェルフが男を見せた回。

っていっても魔剣を打ち始めたばかりだから、ホントに男を見せるのは次回なんだけどねw

しかし、ヘファイストスへのヴェルフの思いがいつまでも「冷めない」ところから
神々がつけた「不冷(イグニス)」が、まさか、どこでも剣を打てる男の意味になってしまうとは、思わなかったよなぁ。

これ、最初から作者、思いついていたのかな。

確かに、そもそもヴェルフが魔剣を打とうと思ったのって、アダマンタイトをたまたま手にすることができたからだったわけだけど、考えてみれば、ダンジョンにいる限り、素材となる鉱物が手に入らないこともないわけで。

となると、どこでも剣をうてる鍛冶師がパーティに占める位置って、ぜんぜん変わるよね。

ある意味、ヒーラーが冒険者の体力回復のために重要な位置を占めるのに近い。

要するに、戦うための装備を整えるロジスティックスの要になるわけだから。

そう思うと、この深層の大冒険を経た後に、『ソードオラトリア』の方でヘスティア・ファミリアが参戦する際に、軍師リリ!が言っていた、ヘスティア・ファミリアは遊撃に向いている、というのも理にかなうように思えてきた。

しかし、今書いていて思ったけど、とはいえ、ヘスティア・ファミリアには、やっぱりヒーラー役の魔術師は必要だと思うのだけど、リューが合流したりはしないのかな。

リューのような魔法剣士が加わるだけで、その穴は簡単に埋められるはずなのだろうけど。

ということで、いつか、リューが加わるはず、という考えは捨てないでおこうw

そのリューの回想から、在りし日のアストレア・ファミリアの姿もぼちぼちきちんと描かれ始めてきて。

やっぱり、切ないね。

滅びが約束されている人たちの笑みを浮かべた姿が描かれるのは・・・。

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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 第18巻 感想:とにかくリューが大活躍する回だったけど、実は慈愛の女神だったフレイヤの今後が気になるw

2023-01-22 18:39:14 | ダンまち
前巻の17巻の最後で、次は「VSフレイヤ・ファミリアのウォーゲームだー!」と告知されてから、早くも1年半。

いくらなんでも待たせすぎでしょ!とちょっと悪態はつきながらも、読み始めたら、手に汗握る展開で、あっという間に読み終わってしまった!

620頁もあったのに!

ということで、とりあえずスペース空けときます。

(追記:遅ればせながら『アストレア・レコード』の感想も上げました。)






















































ほんと620頁もあったのにあっという間だったよw

さすがの「ダンまちクオリティ」w

そして、今回のヒーローは、どう見てもリュー。

ベルくんたち派閥連合の絶体絶命のピンチに、さっそうと大空から降下し、戦場のど真ん中で強敵ヘグニを退けるのだから。

それにしても、リューの2段階ランクアップしてのレベル6って、マジ反則w

いや、事前に『アストレア・レコード』が3巻も出てたから、これ絶対18巻でリュー絡みの超展開のための仕込みなんでしょ?とは思っていたけれど。

それにしても、あれはズルいw

だっていつかはリューが駆けつけるとは思っていたけど、そのタイミングがねw

もっと終盤ギリギリかと思っていたけど、それよりも早かった。

しかもヘグニと完全に伍して戦っているから、何?って思ったら、レベル6でした!
って種明かしがされるのだからw

何がズルいって、その前にベルくんもようやくレベル5になりました!って書かれていた後のことだから。

これでリューもベルくんに対して、先輩冒険者としてカッコつけることもできるしね。

そうして、どうだ、ベル、私のほうがやっぱり強い!って見せつけたところからの、「ベル、あなたが好きです!」の告白だからなぁw

リューはリューで、ベルくんの横に立てる自分でなければ、という焦りもあったのだろうな。

で、神アストレアと離れて単身で正義をなしてきた5年間分の蓄積を反映しての2段階ランクアップ!なのだから。

決して無茶な設定ではないところがズルいw

そもそもアストレアとの再会=「禊ぎ」に向かおうと決断できたところがリューの成長を意味しているわけで。

アストレア・ファミリアの全滅でいろいろとこじらせてしまったけど、なんとかそれを克服できたのはよかった。

で、その伝説の冒険者〈疾風〉=リューの復活の最初のきっかけを与えたのがそもそもシル=フレイヤだった、というのが、今回、リューがヒーローであるもう一つの理由。

つまり、リューは是が非でもシル=フレイヤに、彼女のこれまでの行動を質さない訳にはいかない。

もちろん、シル=フレイヤを責めるためではない。

そうではなく、シル=フレイヤの本質が、実は慈愛に満ちた存在である、ということを、リューは経験しているから。

実は、フレイヤ自身が、自分の本質がどこにあるのか、わからなくなってしまって、深い深い迷路に囚われてしまって、自分からは抜け出せなくなっているから。

そういう意味では、「シル=フレイヤ」の本質に、リューは、フレイヤ・ファミリアのエルフの同胞ヘディンと同じように、気付いていたってことなんだよね。

さすがは清廉潔白のエルフの2人!って思ったもの。

むしろ、この点では、リューとヘディンの2人のほうが、ベルよりも、シル=フレイヤの本質を理解していた。

つまり、フレイヤ自身は街娘シルを「演じて」いたと思いこんでいたけれど、実際には、シルという「別の姿の私」を得たことで、そこでちゃんと「気立ての良い街娘」としての自分の本質を表すことができていた、ということ。

その意味では、ベルは、ただ、そのフレイヤの本質が見初めた「恋」の対象でしかなくて、だから、彼は、ちゃんとフレイヤを失恋させることでしか、今回の物語には関わることができなかった。

リューもヘディンも、自分はその役割を果たすことができないからベルにすべてを委ねたわけで。

このあたり、本巻だと中盤がずっと戦闘シーンばっかりだったから、ちょっとわかりにくくなってしまうけど、16巻と17巻の流れを思い返せば、そういうことだよね。


もっと物語全体の構成という俯瞰的視点に立てば、一見気まぐれかもしれないけれど、本質が慈愛の神であるフレイヤがいなければ、リューが人生を諦めずに復活することも、ベルがファイアボルトを身につけてミノタウルスに辛勝したことで冒険者としての歩みを自信をもって始めることもなかったんだよね。

いや、これ、ものすごく大事なことで。

で、同じように人生のデッドロック状態からフレイヤに救ってもらったのがヘディンとヘグニだったわけで。

だから、本来なら、リューもベルも、フレイヤ・ファミリアのひとりになっていてもおかしくはなかった。

だって、フレイヤ・ファミリアの上級冒険者たちが感じる恩寵を、シルの姿のフレイヤから受け取っていたから。

しかも、そうしたフレイヤの本質をシルの形で、物語の初期のうちに表現していたのだから、ちょっと作者、マジ神!とか思っちゃったよ。

正直、ベルくんにとっての意味という点では、ヘスティアと肩を並べてもいいくらいの重要度だよね、フレイヤはw

ということで、とにかくすごかったw

あー、そういう意味では、シルとフレイヤの関係を物語の当初からミアもロキも知っていた、という今回のバレは、結構効いたなw

だって、最初の頃の、ミアやロキの発言が全然違うものに聞こえるんじゃないかな、って思うから。

今度、読み返してみようかなw


それにしても、今回の一件で、フレイヤ・ファミリアが解体されるとは思っていなかったな。

結局、シルの姿でフレイヤは「豊穣の女主人」には残ることになったし、ヘディンたち眷属も残ってはいるから、これ、次の「学区編」のあとに来るであろう「黒龍編」のときには、ギルドの特例で、フレイヤ・ファミリアの復活もあるのだろうなw

そのときまでにベルがレベル6にはなっていてほしいけどねw


ということで、本巻はどう考えても
フレイヤ・ファミリアと
その傍流としての「豊穣の女主人」ファミリー
の話だった。

リリ以下ヘスティア・ファミリアのがんばりが霞んでしまうくらいw

そういう意味では気になったのは、最近、ベルくんの存在感がどんどん薄れてきていること。

最後にとどめを刺す役を務めるくらいの活躍しか、していない。

特に今回はw

もちろん、いわゆる主人公補正として、ステイタスもちゃんとあがってレベル5になってはいるけれど、そのレコードホルダー的急成長がいきすぎて、ただのデウス・エクス・マキナに成り下がってきている気がする。

マスター・ヘディンの偏愛とかね。

みんなが、ベルならばやってくれる、と信じるのはわかるけど、その信頼を全部背負うと、悟空の元気玉みたいになって具体的にパワーアップに繋がってしまうのが、さすがにご都合主義にみえて、鼻につくようになってきた。

まぁ、今回の場合、オッタルがバカ強いラスボスだったから仕方がないのだけど。

最後が同じパタンで雑に見えてきた。

その意味では、もはやベルの存在が、この物語の最大のネックになってきている気がする。

結局、物語の展開に必要な設定の説明に、『ソード・オラトリア』や『アストレア・レコード』を使わないと、ベルくんの「無垢さ」ともバランスが取れなくなっていて。

ちょっとそのあたり、どうなのかな、とは思う。

そういう意味では、今回、ロキ・ファミリアやアイズの参加が見送られたのもね。

黒龍編を前にして、このあたりの物語の大きな謎とか流れに、ベル自身が自覚的かつ自発的に関わっていくようにならないと、ベルがただの「仕置人」に成り下がってしまうようで怖いw

まぁそのための「学区編」だと信じているけれどw


で、いろいろ書きなぐったけど、18巻、面白かったのは間違いないので。

頭がまだ整理できていないので、フレイヤやフレイヤ・ファミリアのこととか、16巻からの18巻までの大きな展開を踏まえて感じたことや思いついたことがあったら、また書くかも。


ちなみに『アストレア・レコード』は積読状態だったので、これから読むつもりw

積読だったのは、アストレア・ファミリアの結末がすでにわかっているので、1巻を手にとって冒頭のあたりでアリーゼがイタイ言動とか、アストレア・ファミリアのやり取りに乗れなかったから。

本編14巻でのリューの回想を含めて、もうこの人たちはいない、というのがわかっていると、結局のところ、この3冊は、『ソード・オラトリア』と同じように、今後の本編に必要な設定を小説化したのものでしかないと思えてしまうから。

もともと前日譚というのがあまり好きではないのもあるのだけれど。

でも、18巻を読んでやっぱり『アストレア・レコード』も読まなきゃ、とは思ったので、これから手を出すつもりw

まぁ、何ごとも動機が必要だからね、義務で読むようになったら終わりなのでw

しかし、2月と3月には、今度は『ソード・オラトリア』が連続刊行かぁ。

何が書かれるのだろう?

とまれ、本巻の19巻に期待。

今度はせいぜい8ヶ月後くらいには出てほしいなぁw




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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかIV 第14話 『友(ダフネ・ラウロス)』 感想

2023-01-21 19:21:49 | ダンまち
ようやくヴェルフたちが階層主を倒して、少しは話が進みそう。

でも、ベルくんたちのほうは相変わらず。

そうこう言っているうちに、睡眠を取ったリューさんの夢に、アストレア・ファミリアの面々が登場。

でも全滅エンドが待っているだけの回想って、いくらメンバーの言葉を思い出す瞬間であっても辛いよね。

ていうか、やっぱり、リューって背負っているものが重すぎて、辛い。

でも、睡眠を取るとマインド(精神力)が回復して魔法も使えるようになるので、リューが回復魔法を使えるようになる、という設定は、原作を読んだとき驚いていたのを思い出した。

そうでなかったら、どうみても詰みすぎているから。

しかし、次回あたりは、アストレア・ファミリアの回想をガッツリ入れ込んでくる感じかなぁ。。。

ヴェルフたちの派手な戦闘に比べて、深層に落ちたベルくんたちの状況は、絵的にはいかにも地味なので、そろそろ口直し的な回想が欲しいところ。

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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかIV 第13話 『犠牲(モルグ)』 感想: それにしてもこの絶望感は凄いな。。。

2023-01-14 19:29:33 | ダンまち
原作14巻はもちろん既読だけど、しかし、こうやっていざ映像にされると、絶望感たるや半端ない。

というか、ちゃんと見てる側も不安になってくるくらい、ちゃんと作り込まれていて凄い。

多分、原作を読んだときは、その分厚さもあって、とにかく先へ先へ、という感じで読み進めていたから、全体として、これ、どう済んだよー!!!、って、漠然と絶望感を覚えていたと思うのだけど、今回、こうやって実際に描かれると、いまさらながら、あー、こんなんだったんだぁ、って思ってしまう。

確かにこれはひどい。

でも、そういう絶望感をちゃんと伝えるために、物語の流れも、キャラの芝居としての表情も、ちゃんと描きこまれていて、ホント、素晴らしい。

絶望、って、ちゃんと作らないと、容易に絶望(笑)、になっちゃうからね。

そういう意味でこのクオリティコントロールは、マジで凄い。

しかし、これ、ベルくんの方と、リリたちの方を、並行して描いていくのかな。

椿たち救援組も動いているし。

で、多分、次回あたりからリューさんによるアストレアファミリアの回想も入ってくるだろうから。

物語の構成がかなり重層的になるはずなのだけど、そのあたりバランスよくやってくれるといいな。

とにかく今までのところ、クオリティ的には文句なしなので。

このまま緊張感のある作画と構成とキャラの芝居で推し進めてほしい。

もう今から、最後にリューさんがデレるところが楽しみでならないw

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