熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

アフガン空港、脱出のために死者が出る大混乱

2021年08月17日 | 政治・経済・社会
   ロイターが
   アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンが15日に首都カブールの大統領府を掌握したことを受け、16日には国外脱出を図る人々が空港に殺到、米国は混乱解消に向けカブールから退避する航空機の運航を停止した。米軍撤退を巡り、バイデン米大統領への批判が強まっている。と報じている。
   同じく、 サウジアラビア外務省は16日、アフガニスタンの首都カブールの大統領府を掌握した反政府武装勢力タリバンに対し、「イスラム教の原則」に則り、人命や安全を保護するよう求めた。声明で「イスラム教の崇高な原則に基づき、タリバンの活動とアフガンのあらゆる当事者が安全、安定、人命、財産の保護に取り組むことを望む」と指摘。状況が可能な限り早く安定化することを願うとした。と報じている。

   テロ集団として、9.11後に一時崩壊したタリバンが、米軍撤退に呼応して、一気にカブールに進軍してアフガニスタンを掌握したのである。
   アフガン政府は30万の精鋭部隊を持っているがタリバンは7万5000人、負けるはずがないと豪語していたバイデンが如何に能天気であったか、ヴェトナム撤退時の悪夢(?)を彷彿とさせるが、今回のタリバンのアフガニスタン制圧は、従前と代わらないタリバンなら、まさに、民主主義・自由主義の屋台骨を倒しかねない危機で、途轍もなく歴史的な脅威は大きい。

   心配すべきは、中国の王朝が代わるときには、前王朝の係累を悉く抹殺して根絶やしにするするという例に漏れず、タリバンが、前政権に関わった人間総て、特に、民主化され知識教養などを積んだ虎の子とも言うべきテクノクラートなど有能な人材に危害を加える可能性が非常に高い。燭光が見え始めていた女性の地位向上を死守すると共に、世界中挙って、これらの保護救済に万全を期さねばならない。
   タリバンは否定したが、テロ行為で亡くなった中村哲医師の例もあり、日本はアフガニスタンには経済協力などによって多くの人材を育成してきており、これらのアフガニスタンの将来を託した有意な人材が日本との経済協力などで関わったと言うだけで危害を受けると言うことを、日本政府は、万難を排して回避すべきである。
   
   ニューズウィークが、「タリバンが米中の力関係を逆転させる」と報じた。
   アフガニスタンにタリバン政権が誕生するのは時間の問題だろう。米軍撤収宣言と同時に中国とタリバンは急接近。一帯一路強化だけでなく、ウイグル問題のため習近平はアルカイーダ復活を認めないだろう。となると、アメリカができなかったことを中国が成し遂げ、中国が世界の趨勢を握ることにつながる。と言う。
   7月28日、タリバンが天津で王毅外相と会談しており、既に、タリバンを認知した形であり、
   アフガニスタンは、シルクロード、すなわち、中国とヨーロッパを結ぶ最も重要な経済及び交易回廊の結節地点であって、「一帯一路」のピボタルポイントであり、地政学的にも、非常に重要な位置を占めており、ここを確保できれば、中国にとっては、欧米に対峙する政権であれば、タリバンであろうと、親密な関係を維持して自国陣営に取り込めるいう千載一遇のチャンスを得たのである。
   これで、中央アジアおよび中近東の勢力図が大きく逆転する。
   マッキンダーのハートランド理論が蘇りそうな雰囲気である。ハートランドであるアフガンや中央アジアを抑えれば世界を制覇できるというユーラシア論である。

   さて、余談になるが、タリバン支配を恐れたアフガニスタン人が国を脱出しようと空港に殺到している映像を見て、思い出したのは、サウジアラビアのリヤド空港での騒動である。
   丁度、日本に帰ろうとして、空港のカウンターでチェックインして待機していたら、急にその飛行機がキャンセルだという。
   良く分からなかったが、その飛行機に王子が乗り込んだとかで、一般乗客は総てキャンセルされた。
   大分経ってから、代わりの便の搭乗手続きが始まったのだが、乗客が一気にカウンターに殺到して大混乱、収拾がつかなくなった。今回のアフガン空港の混乱ぶりの小型版であろうか。
   案内が、殆どがアラビア語で、たまに、アラビアなまりの英語であるから殆ど理解できなくて、右往左往、アラビア人を掻き分けてチェックインするなど私には出来るわけがないのだが、しかし、その日にバーレンで乗り継がないと東京へ帰れない。
   随分前の話になるので、記憶が定かではないのだが、呆然として待機していると、大分経ってから、律儀にも背広を着ていたので日本人ビジネスマンと分かってか、実情を分かったのか分からなかったのかは分からないが、エアラインの係員が近づいてきて話を聞いてくれて、チケットを手配して待合室に案内してくれた。間一髪の解決であった。

   とにかく、アラビアと言うかイスラムの世界は、まさに、典型的な異文化異文明の世界で、毎回訪れる度毎にカルチュア・ショックの連続であった。
   
   しかし、タリバンはともかく、人類の歴史上燦然と輝いているイスラム文化文明の凄さは、十分に知っているつもりであり、その栄光を取り戻すことがありやなしや、宇宙船地球号の運命とともに、思いを馳せている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする