熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

日英交流大坂歌舞伎展・・・早稲田大学演劇博物館

2006年01月18日 | 展覧会・展示会
   早稲田大学にフォーラム等で行くと、坪内逍遥の部屋のある演劇博物館を訪れる。
小さな博物館だが、日本古代から宝塚まで、日本の伝統芸術や舞台芸術に関する貴重な資料が展示されていていて、静かで穏やかな時間を楽しめるのが嬉しい。

   私のアメリカの母校ウォートン・スクールのあるペンシルヴェニア大学には、アンネンバーグ・シアターと言う劇場があって、何度か演劇を観に出かけた記憶があるが、早稲田も、坪内逍遥を生み、早稲田文学の牙城であるのだから、劇場があって新しい演劇の発信基地となっていても不思議ではないと思うのだが、日本は貧しいのであろうか。
   もっとも、ペンシルヴェニア大学には、何万人も入るフットボール・スタジアムがあったり、小型のスフインクスや巨大な古代エジプト時代のの立像が並ぶ大きな博物館等色々な文化施設があったが、やはり、大学そのものの成り立ちと存在意義が違うのかもしれない。

   12月から始まっていて、もう20日までしかないが、この早稲田大学演劇博物館で、「日英交流 大坂歌舞伎展ー上方役者絵と都市文化」が開かれている。
   昨年ロンドン訪問時に大英博物館で観た「KABUKI HEROS on the Osaka stage 1780-1830」の巡回展示で、会場の都合か、多少ディスプレーが違っているが、イギリスに現存する絵画や本など貴重な資料が展示されている。
   明治維新や戦後に二束三文で海外に移った素晴しい絵を見ていると、日本人のバカさ加減が痛いほど分かる。

   坂田藤十郎は、18世紀の初めまで活躍していたが、この展示は、そのずっと後の文化文政年間で、江戸文化の爛熟期であったが、大坂歌舞伎も、初代璃寛と三代目中村歌右衛門(芝翫)が熱狂的な人気を集めていた。
   この両雄は、仲が悪くて共演しなかったので、フアン達が架空の共演を想定して描かれた錦絵を競って買い集めたと言い、この展示会にも、その素晴しい絵が展示されている。
   仲違いを解消して共演することになったが、その直前に、璃寛が亡くなって、結局、フアンを満足させられなかったと言う。
   大坂歌舞伎の錦絵は、写楽の絵のようにデフォルメされていないので、実にリアルで美しい。

   ロンドンでは、坂田藤十郎の襲名を祝して、大英博物館の会場には、中村鴈治郎の舞台写真が沢山展示されていたが、この早稲田会場にも、藤十郎のミニ・コーナーがある。
   昨年9月に中村鴈治郎が、ロンドンでミニ公演を行ったが人気はどうであったであろうか。
   第三代中村歌右衛門は、3回江戸に下って、歌舞伎を演じて大変な好評を博したようだが、大坂歌舞伎の大名跡が、今では殆ど東京に移ってしまって寂しい限りである。
   もっともかく言う私も関西で歌舞伎を観たことがないのだから偉そうなことは言えない。

   ところで、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーのシェイクスピア展は、まだ、2月下旬まで、早稲田大学演劇博物館で開催されている。
   沢山の舞台写真を見ていると、20年ほど以前に、NHKで、BBC製作のシェイクスピア戯曲が連続放映されていたが、もう一度放映してくれないかと思う。
   
   
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