熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

移民が経済社会活性化の鍵?

2007年06月06日 | 政治・経済・社会
   昨年から日本の人口が減り始めて、今後少子高齢化がさらに進展して行くと、経済成長が期待出来なくなって大変だと言う。
   出生率が1.29から1.32に上がったとかで一喜一憂しているが、抜本的な出生率上昇策を取れないのなら、地方の疲弊や日本の経済社会構造が歪になるなど不都合が生じるので、その解決策として移民を考えるのは当然だろうと思う。
   しかし、どのメディアも世論も、正面切ってこの移民問題を取り上げようとしない。

   今話題を呼んでいるリチャード・フロリダの「クリエイティブ・クラスの世紀」の中で、フロリダ教授は、アメリカが、最近、移民にとって閉鎖的な政策を取っているのみならず、益々魅力のない国になりつつあるので、イノベーション等経済発展と国際競争力を下げて著しい経済損出をもたらしていると嘆いている。
   アメリカの今日あるのは、移民たちがアメリカに持ち込みアメリカにインパクトを与えた活力とエネルギー、多様な文化と価値観などの貢献あってのことだと言うのである。
   日本の場合でも、今の相撲や野球を考えなくても、飛鳥奈良時代に、大陸からの渡来人によって大きく文化の華が開いたことは、誰でも知っている厳然たる事実である。

   国連の調査でも示されているように、世界の最先進国では、「補充移民」が重要な役割を果たしていると言う。
   補充移民とは、「人口や労働力人口の減少、さらには高齢化をも埋め合わせるために必要な国際的移民」と定義されているようだが、正に、将来の日本にとって必要なのはこの移民なのである。
   ありもしない生産性の向上による経済成長や所得の上昇を前提にして国民年金の支給金額を推計するよりも、移民による経済成長を図った方がはるかに現実的である。
   トヨタの奥田前会長が「移民をどんどん受け入れるべきだ」と言っていたのは、トヨタのお膝元で沢山のブラジル移民が働いていてトヨタグループの生産を支えていることを熟知している上での発言であろう。

   アメリカの大学教授やノーベル賞受賞者の相当数は外国籍であることは衆知の事実である。
   例えば、アメリカの学位取得者のうち博士号では38%、エンジニアリング、コンピューターサイエンス、生命科学、物理化学の博士課程の大学院生の半数以上は外国籍だと言う。
   シリコンバレーのハイテク企業の30%は、中国人とインド人によって創設・経営されている。外国出身の起業家は、技術的にも起業家精神的にも、シリコンバレーの推進力の核を担っており、そのことがアメリカをクリエイティブ時代の疑いのないリーダーに仕上げている。この推進力の核が、アメリカを含む各国にとって起業家精神的にも世界標準になっている、とフロリダ教授は言うのである。

   このような帰国移民が、インドや中国、台湾で起業しハイテク産業を興しており、今や頭脳流出から頭脳循環時代に入って、世界中で熾烈な頭脳獲得戦争が始まっていると言う。
   埒外に置かれているのは日本だけである。
   イチローや松井がアメリカへ行ってプレイしている程度なら被害が少ないが、多くの中村修二級の頭脳が流出して行くと日本の経済的な国際競争力に大きな打撃となる。
   攻撃は最大の防御なりで、日本も移民政策を大きく転換して世界の頭脳を求める戦いに参戦すると言うのはどうであろうか。 
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