熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

資産運用・インフレの心配・・・伊藤元重教授

2006年06月11日 | 政治・経済・社会
   今日、国際フィーラムCで開かれた資産運用セミナー「いま、最も注目の日本郵政公社向けファンド」を聞いた。
   モーニングスター社の主催で開かれ、日本郵政公社で売り出されている或いは売り出されようとしている投資ファンドについての紹介が行われて、結構ユニークで面白いファンドが売出されているのを知って興味深く聴講した。
   かって、民営化論争の時に、素人集団の郵政公社がどうして投資信託など売り出せるのかと揶揄されたが、何のことはない、プロに競わせて最も有望な商品を選んで売出せば良いのである。

   前座と言うか真打というか、伊藤元重東大教授が、「資産運用新時代」と言う演題で特別講演を行った。
   日頃、論じている内容なので特に新鮮味はないが、資産運用に絡めて2点強調した論点があった。
   一つは金利の動向、もう一つはインフレーションについてであった。

   最近、株価がやや軟調であるが、2001年のITバブルが軽度で終わった所為もあり2003年以降世界同時の好景気が持続している。
   日本も、成長率は低いと言えども戦後最長の成長を持続しているが、3月の日銀の金融緩和解除の影響を受けて、金利がやや上昇に転じて、異常だった低金利時代が終わろうとしている。
   この異常な低金利の持続の為に株や土地がバブル状態を呈しているが、こんな状態が長く持続する筈がなく、今後金利が上昇し始めるとこれらの上昇傾向が転換し始める。
   経済財政諮問会議で5年後の金利予測を3.9%と予測しているが、今後の経済を予測する上で、10年もの国債の金利動向を注視する必要がある。

   最近、自宅の住宅ローンの金利を長期2.5%の固定金利に借り替えて、経済学者も役に立つのだと言われて家での待遇が良くなった、と言って聴衆を笑わせた。

   日本の経済の健全な成長の為には、先般のような金利政策ではなく、雇用や生産、企業の業績向上等実体経済を良くして持続的成長を企図した経済政策を追及しなければならない。
   今後の日本経済は大きく変って行くので、大きな潮の流れを理解することが重要となってくる、とも仰る。

   もう一つは、5年前に同窓会で「老後の為の資金運用」で話をするように言われて、インフレに気を付けよと言ったのだと話しながら、1973年の石油危機の23.2%の物価上昇の時の話をした。
   あの時に定年でなくて良かったねえ、と話し合ったのだと言う。
   とにかく、あの時は、預貯金や年金の価値が23.2%一挙に下落したのであるから、爪に火を灯して築き上げて来た人々の老後の生活を今以上に直撃したのである。

   デフレデフレで苦しめられて来て、今、インフレに気をつけろと言われてもピンと来ないが、今後の資産運用には十分に心しておかねばならない要因であるかも知れない。
   いずれにしろ、わずか2~30年の間に、日本人はインフレとデフレに翻弄されて来たが、この間に、資産をどんな形で保有していたかによって大きく明暗を分けたことは事実である。
   インフレだと、現預金は駄目、インフレ連動の資産の保有、借金、外貨預金、何が良いのか、頭を完全に切り替えなければならない。

   これらのリスクを避けるためには、資産を3分割して分散運用することだとありふれたことを仰る。
   現預金、不動産、有価証券。一寸違うのは、4分割で、後の一つは人生を楽しむことだという。

   ライブドアや村上ファンドで、株に世界は騒がしいが、老若男女、多種多様な資産運用に関心のある人々が沢山集まって、東京フォーラムC大ホールを埋め尽くしていた。
   日本は、国の財政は破綻状態だが、実際は豊かなのであろうか。   
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