熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

Wharton 125・・・世界最古のビジネス・スクール

2006年04月20日 | 政治・経済・社会
   京大がビジネス・スクールを創設したが、2ヶ月ほど前に、東京で、大学と我々OBとの間で、説明懇談会が持たれた。
   京大と言うネームバリューで、それなりの学校となりそれなりの評価を受けるかもしれないが、果たして中途半端で小規模なビジネス・スクールを新設しても意味があるのかどうか難しい所であると思った。
   カリキュラムを見ても特に特色があるわけでもなく、ボーダーレスかつグローバルなビジネスの時代でありながら、文科省の認可基準を満たすためには、グローバルのグもないような無味乾燥な教科や授業を持たなければならないのか、疑問なしとはしなかった。
   ロンドン・ビジネス・スクールを創設した時には、ウォートンとハーバードが指導援助したと言われている。
   母校ウォートンを見ても、世界最先端のビジネス・スクールは、謂わば、総合的な産官学共同のビジネス教育コンプレックスで、知的水準においても物理的な教育システムにしても途轍もない所まで進んでいる。
   昨年の卒業式には、グリーンスパンが来て卒業生達に餞の講演をしているのである。

   ところで、昨夜、大手町で、ウォートン・スクール・ジャパンの年次同窓会があったので参加した。
   大体、同窓会の類はあまり出ないことにしているが、ウォートン関係だけは比較的熱心に出ている。
   今年は、ウォートン・スクール創立125周年、1881年にペンシルヴァニア大学内に設立され経営学を専門としたビジネス・スクールとしては世界最古で、ハーバードよりは遥かに古い。(因みに、ペンシルヴァニア大学は、アメリカ最高の偉人と言われているベンジャミン・フランクリンが1740年に創立したアメリカ最古の総合大学(University)である。もっとも、古ければ良いと言うものでもない。)

   ウォートンだが、最近までは、世界のビジネス・スクール・ランキングでハーバードとトップを争っていたが、学生のプライバシーに関わるとしてハーバードと共に調査機関に情報の提供を拒否したので、その後2校ともランキングから外されているのも面白い。
   エコノミスト誌のランキングでは、スペインのナバレ大学がトップ評価だったが何をか況やである。
   余談だが、ハーバード・ビジネス・スクールのキャンパスだけを比べて見ても、日本の普通の私大1校のキャンパスより遥かに広大で、規模から言っても学問の水準から言っても、並みの学校が太刀打ちできるような代物では決してない。

   今年、ウォートン・スクールに入学する新入生が招かれていたが、男性が16名女性が9名とかで、総合商社からの派遣以外は、外資系会社の会社からや外人学生が多数を占めていた。
   1972年、もう、34年前になるが、私もこの会合に招待されて、当時富士ゼロックス社長だった小林陽太郎会長に紹介された。スマートな紳士であった。
   
   その後、経団連が、小林陽太郎会長を団長に北欧経済ミッションを派遣した時に、ロンドンから参加したので、10日間ほど、エストニアのタリンを含む北欧5国を一緒に回った関係でよく存じ上げており、この会合でお会いすると、その時々の話を伺っている。
   最初は、私もとうとう70になりましたとか、相談役になりましたと言った調子で話されるのだが、今回は、日本の経済の話やフィルム産業やエレクトロニクス産業の経営や将来、そして、イノベーション戦略などについて興味深い話を相当突っ込んだ話をされた。
   非常に誠実に歯に絹を着せずに話されるので、実に爽やかである。
相当長い時間二人で喋りこんでしまったのであろう、ウエイター長がトマトジュースを小林会長にさりげなく渡し、口をつけて少し経ってから先があるのでと言って帰って行かれた。
   ジュースが秘書の中座時間の連絡とは実に心憎い演出であると思った。

   北欧ミッションの時も、結構キツイ日程であったが、食事後は、小林会長のホテルの部屋は解放されていて、毎夜のように団員が遅くまで集まって言いたい放題を言わせて貰っていた。
   経済や経営、そして、文化やスポーツなど難しい話から日常的な話まで、小林夜間スクールは盛況であった。
   バックには、小林会長が持ち歩いておられるCDのブラームスの交響曲が流れていた。
   日程途中、小林夫人が合流された時には、小林クラブが併設されると言った感じであったが、私は、これほど誠実で開放的で真摯な、そして、学殖豊かで文武両道秀でた見上げるべき経営トップを、外人を含めても見たことがない。
   ウォートン・スクールは、このような経済人を輩出するビジネス・スクールなのである、と言うことであろうか。

   昨夜のコメントで最も印象的であったのは、日本の経営者にとっても日本の教育にとっても、リベラル・アーツの重要さをもっともっと認識すべきであると言うこと。
   ピーター・ドラッカーと対談されていた小林会長の姿を思い出して聞いていた。
   
(追記)椿は、四海波。

   
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