熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

わが庭・・・日向の酔芙蓉

2021年08月11日 | わが庭の歳時記
   先日、雨模様の中の酔芙蓉につて書いたが、今日は良い天気で、朝、白い花の酔芙蓉に気づいたので、シャッターを切った。
   昼過ぎに、庭に出たら、酔芙蓉は、もう、ほろ酔い機嫌で、ピンクに染まっている。
   わが庭の芙蓉は7月に咲いたが、この酔芙蓉は少し遅くて8月に咲き始めて、まだ、蕾を沢山つけているので、当分、咲き続けそうである。
   芙蓉は一重が多くて、酔芙蓉は八重が多いという。
   酔芙蓉の花色が変化するのは、勿論酒の影響などでではなく、アントシアニンの合成によるもので、日照によってアントシアニンを合成する酵素が増え、花弁部分に蓄積されて赤みを増して行くのだという。
   気温が25度以下で低いとアントシアニンの合成が進まないので、花弁の色は変化せず、曇りの日や、日の当たりにくい日陰などでは白い花が、白いまま残るようで、今日は、炎天下で30度を超えているので、一気にピンクに染まってしまった。
   花の命は短くて・・・の典型で、華麗な花ながら、アサガオのように一日にして萎んでしまう。
   塀や木立に蝉の抜け殻が残っているが、その側の道ばたに、蝉の死骸が転がっている。長い間、地中生活をしていて、やっと、地上に出たと思えば、ほんの束の間のランデブーに鎬を削って、命をつないで儚く消えて行く。ミーンミーンミンミンと鳴き続ける蝉が愛しい。

   
   
   


   
   


   
   
   


   
   
   


   庭には、大きなヤマボウシの木が植わっていて、風に吹かれて、沢山の実を落としている。
   ほんのりと甘い柔らかい実なのだが、小さな芯のある種が口に残って、気になる。
   このヤマボウシとアメリカハナミズキが緑陰をつくって雰囲気があって良いのだが、残念ながら、陽が当たらないので芝生が消えてしまった。
   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

IPCC:人間が地球を泣かせている

2021年08月10日 | 地球温暖化・環境問題
   国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は9日第6次評価報告書を発表し、人間が地球の気候を温暖化させてきたことに「疑う余地がない」とする報告を公表した。
   マット・マグラスBBC環境問題担当編集委員が、”温暖化は人間が原因=IPCC報告 「人類への赤信号」と国連事務総長 Climate change: IPCC report is 'code red for humanity'”というタイトルで、詳細に報告しているので、この資料を引用しながら、温暖化加速によって追い詰められて行く地球の危機について考えてみたい。

   IPCCは、「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない。大気、海洋、雪氷圏及び生物圏において、広範囲かつ急速な変化が現れている」と強い調子で、従来より踏み込んで断定した。さらに、「気候システム全般にわたる最近の変化の規模と、気候システムの側面の現在の状態は、何世紀も何千年もの間、前例のなかったものである」と指摘した。
   国際社会がこれまで設定してきた気温上昇抑制の目標が2040年までに、早ければ2030年代半ばまでに、突破されてしまうと指摘。海面水位が今世紀末までに2メートル上昇する可能性も「排除できない」とした。「向こう数十年の間に二酸化炭素及びその他の温室効果ガスの排出が大幅に減少しない限り、21世紀中に、地球温暖化は摂氏1.5度及び2度を超える」とも警告した。

   IPCC報告の要旨:現状について
地球の2011~2020年の地表温度は、1850~1900年に比べて摂氏1.09度、高かった 
過去5年間の気温は1850年以降、最も高かった
近年の海面水位の上昇率は1901~1971年に比べて3倍近く増えた
1990年代以降に世界各地で起きた氷河の後退および北極海の海氷減少は、90%の確率で人間の影響が原因
熱波など暑さの異常気象が1950年代から頻度と激しさを増しているのは「ほぼ確実」。一方で寒波など寒さの異常気象は頻度も厳しさも減っている

   IPCC報告:将来への影響について
温室効果ガス排出量がどう変化するかによる複数のシナリオを検討した結果、どのシナリオでも、地球の気温は2040年までに、1850~1900年水準から1.5度上昇する
全てのシナリオで北極海は2050年までに少なくとも1回は、ほとんどまったく海氷がない状態になる
1850~1900年水準からの気温上昇を1.5度に抑えたとしても、「過去の記録上、前例のない」猛威をふるう異常気象現象が頻度を増して発生する
2100年までに、これまで100年に1回起きる程度だった極端な海面水位の変化が、検潮器が設置されている位置の半数以上で、少なくとも1年に1度は起きるようになる
多くの地域で森林火災が増える

   これについて、英レディング大学のエド・ホーキンス教授は、「これは厳然とした事実の表明だ。これ以上はないというくらい確かなことだ。人間がこの惑星を温暖化させている。これは明確で、議論の余地がない」と述べた。と言う。
   1970年以降の地表温度の上昇は、過去2000年間における50年期間で最も急速なペースだった。こうした温暖化は「すでに地球上のあらゆる地域で、様々な気象や気候の極端な現象に影響している」。
   今年7月以降、北米西部やギリシャなどは極端な熱波に襲われている。あるいはドイツや中国は深刻な水害に見舞われた。過去10年の相次ぐ異常気象が「人間の影響によるものだという結びつきは、強化された」と報告書は指摘している。
   

   海面水位の上昇については、さまざまなシナリオによるシミュレーションが行われた。それによると、今世紀末までに2メートル上昇する可能性も、2150年までに5メートル上昇する可能性も排除できないとされた。
   実現の可能性は少ないながら、万が一そのような事態になれば、2100年までにほとんどの沿岸部は浸水し、数百万人の生活が脅かされることになる。
   水の都ベネチアなど跡形もなくなり、東京もニューヨークも上海もロンドンも、水没してしまうのである。
   

   パリ協定で各国は、産業革命以前の気温からの気温上昇分を、今世紀中は摂氏2度より「かなり低く」抑え、1.5度未満に抑えるための取り組みを推進すると合意した。
   現在の地球の温度はすでに産業革命以前のレベルから1.1度、上昇している。そして近年、異常気象現象が頻発している。それが今後、何年もかけて1.5度上昇まで到達するとなると、「ますます激しい熱波が、ますます頻繁に起きる」。「地球全体で、集中豪雨がさらに増えるだろうし、一部の地域ではなんらかの干魃も増えるだろう」

   それでは、何ができるのか。
   多くの科学者は、2030年までに地球全体の温室効果ガス排出量を半減できれば、気温上昇を食い止め、あるいは反転させることができるかもしれないと、以前より期待を高めている。
   温室効果化ガス実質ゼロ(ネットゼロ)を実現するには、まずクリーンエネルギー技術の利用で可能な限り温室効果ガスを減らした後、残る排出を炭素隔離貯留技術によって回収する、もしくは植林によって吸収するなどの取り組みが必要となる。
  「かつては、たとえネットゼロを実現しても、気温上昇は続くと考えられていた。しかし今では、自然界が人間に優しくしてくれると期待している。もしネットゼロを実現できれば、それ以上の気温上昇はおそらくないだろうと。温室効果ガスのネットゼロが実現できれば、いずれは気温上昇を反転させて、地球を少し冷やせるようになるはずだ」。これが運命だと諦めてはいけないと警告する。
   「温暖化のレベルを下げれば、事態が一気に悪化する転換点に達してしまう可能性がかなり減らせる。破滅すると決まったわけではない。気候変動における転換点とは、温暖化が続くことで地球の気候システムが急変する時点を意味する。
   各国政府の首脳陣にとって、今回のIPCC報告は長年何度も繰り返されてきた警鐘のひとつに過ぎないかもしれない。しかし、11月のCOP26は目前だ。それだけに、今までより大きく政治家たちの耳に響くかもれない。

   温暖化が地球環境を窮地に追い込むと言う前に、最近、日本各地は勿論、世界的な規模で、頻繁に、「過去の記録上、前例のない」猛威をふるう異常気象現象が頻度を増して発生して、人々の生活を脅かしているが、このような災害が、今後益々、抵抗し得ないような規模と頻度で、続発すると考えるべきであろう。
   地球環境問題の解決には、グローバルベースの政治解決が必須で、人類を引っ張って行く高邁な理想を掲げ意気に燃えた高潔なリーダーの登場を待つ以外になかろうが、その道がないのが悲しい。
   今回は、BBCの記事紹介が主体となってしまったが、私見を差し挟む余地など全くない深刻な問題である。
   

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ギリシャ 過去30年間で最悪の熱波

2021年08月09日 | 地球温暖化・環境問題
   毎日新聞によると、
   記録的な熱波が続くギリシャで山火事が相次ぎ、AFP通信によると、8日までに5万6000ヘクタールを焼失し、2人が死亡した。首都アテネ北東にあるエーゲ海のエビア島では火の手が島の南と北から押し寄せ、2000人以上の住民がフェリーなどで避難した。ギリシャでは北部テッサロニキで3日、気温47・1度を記録するなど40度を上回る日が続き、過去30年間で最も深刻な熱波に襲われている。強風も伴い、アテネの北郊など150カ所以上で山火事が発生し、西部オリンピアの古代オリンピック遺跡にも一時、火の手が迫った。

   まず、ギリシャの気温だが、次のインターネットで得た資料によると、アテネの気温は、ほぼ、東京に匹敵し、最高温度は多少高いかも知れない。
   何度か、ギリシャには行っているが、地中海性気候で、乾燥地帯なので、最も暑い7月でも、平均27.7度で最高35度に達しても、湿度の高い蒸し暑い東京とは違って快適であった。
   もう、何十年も前になるが、サンパウロに住んでいたときに、4月だったと思うが、一時帰国の途中、南国だから温かいであろうと思って、ブラジル用の夏の背広姿でギリシャに行って、寒くて困って、バーバリーのコートを買ったことがある。
   ところが、その近辺が、気温47・1度を記録するなど40度を上回る日が続いていると言うから驚きである。
   
   
   AFPが、”ギリシャ山火事、エビア島で住民避難”と報じており、その記事の写真を借用して掲載しておくが、焼け爛れた大地は無残で、乾燥しきっているから止めようがないのであろう。
   
   

   さて、山火事多発による宇宙船地球号の危機的な状況だが、今日、日経が、”北米やロシア、高温乾燥で山火事多発 温暖化進む悪循環(青木 慎一)”と報じた。
   記録的な熱波に見舞われた北米やロシアで、大規模な山火事が広がる。高い気温と少雨で草木が乾燥して燃えやすくなっているうえに、落雷が増えて自然発火する事例も目立つ。大量の二酸化炭素(CO2)が発生しており、温暖化が加速し、熱波や山火事が悪化するという負の連鎖を危惧する声もある。と言うことである。
   この議論を展開するために、まず、この記事の解説図を借用しておきたい。
   山火事が、広大なアマゾンやアジアの熱帯雨林に飛び火していないのは、せめてもの幸いか。
   この写真のカナダ西部のリットンはセ氏49.6度と同国の観測史上最高気温を記録した後、大規模な山火事に見舞われ、町の9割が焼失した。と言うから、ギリシャのケースと同じである。
   

   北米以上に深刻なのは、シベリアで、2019年以降、3年続けて大規模な山火事に見舞われており、深刻化するのは温暖化の影響とみられている。
   研究者が危惧するのは「山火事の増加が温暖化を加速させる」ことだ。高緯度地方には落ち葉や枯れ木が炭になった泥炭層が広がる。これらが燃えるとCO2がより多く生じる。欧州中期予報センターなどの分析によると、北極圏で山火事によって排出されたCO2の量は20年夏に、日本の年間排出量の2割に当たる2億4400万トンと過去最多だった。今年も20年の水準に近づいている。
   日本大学教授の串田圭司さんは「ツンドラ地帯で山火事が増えているのが気になる」と指摘する。ツンドラの下には永久凍土があり、山火事は本来なら起きない。永久凍土には、大気中に含まれるCO2やメタンのほぼ2倍の炭素が閉じ込められている。山火事が相次ぐとこれらが一気に放出され、温暖化を促す負の連鎖が広がるおそれがある。
   大規模な山火事の影響は地球規模に及ぶ。負の連鎖を食い止める手段は温暖化ガスの排出を抑えることしかない。と言うのである。
 
   日本各地で引き起こされている深刻な異常気象による大被害も、すべからく、自然摂理を無視して、傍若無人に地球環境を破壊し続けてきた人類への自然界からの挑戦であり報復である。
   原発反対や電磁波による深刻な健康被害のある携帯無線基地局建設反対運動と同じで、殆どの国民が無知無関心で、眼に見えない被害であるから、直接自分に関係なければ、頬被りしてただ乗りに便乗しているのだが、結局は回り回って自縄自縛で、茹でガエル状態となって、悲しいかな、人類を滅亡の淵に追い込み、虎の子の文化文明を棒に振ってしまう。
   そんな未来が見え隠れしてきて実に悲しい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

わが庭・・・酔芙蓉咲く

2021年08月08日 | わが庭の歳時記
   酔芙蓉が咲いた。
   朝だと、白い花なのだが、気づいたのは、午後遅くであったので、もう、酔っ払ってしまって、ピンク色に染まっていた。
   この花は、花色が、朝の白色から夕方のピンク色に、1日で花色が変化するので、酔芙蓉というのである。
   Green Snapによると、
   酔芙蓉の花言葉は、「心変わり」「繊細な美」「しとやかな恋人」、そして「幸せの再来」です。酔芙蓉は芙蓉(フヨウ)の園芸品種であり、芙蓉と同じ花言葉がいくつもあります。
   心変わりという花言葉は、酔芙蓉の花色が白色からピンク色に変化していく様子が由来とされています。また、酔芙蓉は昔から美しい女性を例える際に用いられたことから、繊細な美という花言葉、そして酔芙蓉の気品がある姿からしとやかな恋人という花言葉が付けられました。と言うことだが、
   総合すれば、美しいしとやかな女性なり恋人だが、心変わりするので、気をつけろと言うことであろうか。
   蕾は、どん花でも初々しくて清楚だが、翌朝、雨に打たれて萎んだ花は寂しい。
   
   
   
   

   一昨年強剪定して実がならなかったキウイだが、今年は鈴なりである。
   何年か前に、キウイを沢山採って、追熟して、孫の幼稚園に持って行って喜ばれたが、そんな元気もないし、どうしようか。
   冬までほっておいて完熟したら、リスのエサになる。
   ロンドンに居たとき、庭に大きなアメリカンチェリーが植わっていて、沢山のサクランボが実を結んだのだが、完熟したのか、一瞬の内にクロウタドリの大軍が来て食べてしまったし、昨秋、わが庭のミカンも完熟と同時に、リスに総てやられてしまった。自然の摂理とは言え、動物の冴えは凄いものである。
   
   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

わが庭・・・タカサゴユリ咲く

2021年08月06日 | わが庭の歳時記
   わが庭で、一番遅く咲くユリは、テッポウユリに似たタカサゴユリ、私など、台湾ユリとして親しんでいる。
   ユリの花は、日本原産だと思っているのだが、このユリは、イギリス経由の台湾からの帰化植物だというから面白い。
   この鎌倉には、街路のあっちこっちに咲いていて、園芸種と言うよりは、野の花に近い。
   沢山の種をつけて風に飛ばされるので、伝播力がきわめて強いのである。
   わが庭でも、他の園芸種のユリは、少しずつ庭から消えて行くのだが、このユリだけは、世話をしないのに、どんどん増えて行く。
   
   

   わが庭には、今、酔芙蓉の蕾くらいで、花気は殆どないのだが、今年は、珍しく、トマトが残っていて、まだ、摘み残しが色づいてぶら下がっている。
   猛暑で、木が枯れたり、花が咲かなくなったり、早ければ7月中旬から、遅ければ、8月に入って殆ど収穫など出来なくなるのだが、今年は、まだ、実を結んでいる。
   アイコは実成は良いのだが、皮が固いのが難で、プチプヨは、皮が薄くて甘くて良いのだが、植え場所が悪かったのか、木が荒れたり枯れたりして可哀想なことをした。
   しかし、今年は、16本、二本仕立てで育てているので、結構、楽しめたので幸いであった。
   
   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スティーヴン・S・ローチ:アニマルスピリツツの退潮 China's Animal Spirits Deficit

2021年08月05日 | 政治・経済・社会
China's Animal Spirits Deficit
Jul 27, 2021
STEPHEN S. ROACH

    プロジェクト・シンジケートのスティーヴン・S・ローチの興味深い中国経済論である。
    25年以上も、中国経済については楽観論者であったが、ここに来て、中国経済の未来には暗雲が漂い始めたという。
    中国政府は、消費主導の経済へのリバランスのエンジンであるダイナミックな技術セクターを目指しているのだが、最近の当局の行動を見ていると、中国の経済成長の機動力であった筈のアニマルスピリッツを叩き潰そうとしている。と言うのである。

    当初、世界最大の電子商取引プラットフォームであるアリババの創設者ジャック・マーに厳しいメッセージを発したときには、当局は、1回限りの人事問題を懸念していると思われた。2020年10月下旬の上海金融フォーラムでの馬氏の、銀行中心の中国金融システムの「質屋」感覚に関するタイミングの悪いコメントは、中国の指導者の一線を越えた。翌月初め、アリババのフィンテック・スピンオフのAnt Groupの過去最高の340億ドルの新規株式公開は、予定された上場の48時間以内にキャンセルされ、5ヶ月後、アリババ自身は独占禁止違反の疑いで過去最高の28億ドルの罰金を科せられた。
   そして、ディディ・チュクシンの番で、ウーバーのような中国のライドシェアリングサービスであるディディは、中国当局からの異議申し立てにもかかわらず、米国の資本市場で44億ドルを調達する大胆さを示したが、中国のインターネットプラットフォームからDidiのアプリの25以上を強制的に削除した後、アリババに課せられた同様のペナルティや上場廃止の可能性や罰金の話が横行していると言う。
   さらに、テンセント、メイトゥアン(食品配達)、ピンデュオ(電子商取引)、フルトラックアライアンス(トラックヘイリングアプリHuochebangとユンマンマン)、カンツフンのボスジピン(採用)、TALエデュケーショングループやガオチュドテクなどのオンライン民間家庭教師会社など、他の多くの主要な中国のハイテク企業に対する取り締まりの兆候がある。このすべては、暗号通貨に対する中国の注目度の高い取り締まりに続く。

   中国の反技術キャンペーンのために、暗号通貨のような正当な存在理由が不足しているわけではない。データセキュリティは、最も正当性が確保されており、これは、人工知能への根幹であるハイオク燃料とも言うべきビッグデータに対して、中国のリーダーが、独占権の主張に高い価値を置くのは、ある意味で理解できる。しかし、それは、データの多くが、政府の秘密の監視状態から収集されているという偽善の表れである。
   しかし、問題は、これらが正当な理由ではないと言うことで、アクションは、事後にいつでも説明したり、合理化することができる。要するに、何らかの理由で、中国当局は現在、経済の最もダイナミックなセクターのビジネスモデルと資金調達能力を絞殺するために規制の完全な力を使用しているのである。

   また、このハイテク企業への攻撃は、民間経済を抑制する動きの唯一の例でもない。中国の消費者も苦しんでいる。急速な高齢化と退職所得と医療のための不十分な社会的セーフティネットが整っていないので、困ったときの貯蓄を、自動車、家具、家電、レジャー、エンターテイメント、旅行、より成熟した消費者社会の他の罠などのアイテムに使うことを望まない家計が多い。
   中国は、経済活動の絶対的な規模は大きいが、経済全体のシェアとして、家計消費は、依然としてGDPの40%未満であり、主要経済の中で最も小さいシェアしか占めていない。
   その理由は、中国は、その膨大な人口が貯蓄と消費パターンの変革への準備ができていないためである。家計が不確実な未来についてより安心して、初めて、彼らは視野を広げ、より広大なライフスタイルの願望を受け入れられるのだが、まだまだ道は遠い。

   企業と消費者の間の信頼は、あらゆる経済の重要な支えである。ノーベル賞を受賞したエコノミスト、ジョージ・アカーロフとロバート・シラーは、信頼confidence を「アニマルスピリット」のより広範な理論の基礎と見なしている。1930年代にジョン・メイナード・ケインズによって広く普及したこの概念は、個人所得や企業収益の基盤をはるかに超えて総需要を生む「自発的な行動への衝動」となる。
   ケインズはアニマルスピリッツを資本主義の本質と見なした。中国にとって、市場ベースの社会主義の混合経済モデルでは、アニマルスピリッツは違った形で作動した。中国国家が、他の主要国よりも、市場、企業、消費者を導く上ではるかに積極的な役割を果たしたのである。中国経済は、成長発展のためには、さらに、リーダーシップの優先事項の一貫性、透明性のあるガバナンス、賢明な規制監督の信頼と言った信頼の基盤を依然として必要としている。
   しかし、現代の中国は、アニマルスピリッツを支えるこの信頼の基盤を欠いている。これは長い間中国の消費者主義の障害であったのだが、さらに、今回のハイテク企業に対する政府の攻撃は、激烈な競争の激しい環境で成長し、繁栄するために必要な創造性、エネルギー、そして完全なハードワークが必要なこれらのビジネス部門に、障害となって逆作用して、不信感を増幅させているというのである。

   ローチは、消費者主導経済への中国のリバランスのために大きな障害になるとして、生活不安に促された予防的貯蓄の過剰について頻繁に懸念を提起してきた。しかし、当局の最近のハイテクセクターに対する動きは転換点になるかもしれない。起業家のエネルギーがなければ、中国の新経済の創造的な息吹は、本来備わっていたイノベーションへの長年の急成長への期待と共に、潰えてしまう。と言う。
   この中国のアニマルスピリッツの退潮の加速は、過去11年間エール大学で教えてきたコースのタイトルである「次の中国」に対する長年の楽観的予測に、深刻で致命的な打撃を与える可能性があり、最初のクラスの生徒に注意を払うように、シラバスを替えようと思うというのである。

   先日、アセモグルの「自由の命運」のレビューで、
   中国の歴史と政治は、国家や為政者に発言権を持たず対抗勢力にはならない無力な国民の存在する専横のリバイアサンであるから、自由が横溢し着実な繁栄に道を開く足枷のリバイアサンなど夢の夢であり、中国の未来の成長に欠かせない、幅広い分野での多用で継続的なイノベーションに必要なのは、既存の問題を解決することではなく、新しい問題を創出することで、それには、自立性と実験が欠かせず、大勢の人が独自の方法で思考を重ね、ルールを破り、失敗と成功性の高い、創造性や企業家精神を発揮できる自由な社会環境である。
    したがって、創造性は継続的なイノベーションに不可欠な要素であり、有力者の邪魔をしたり、党公認のアイデアとかち合ったり、ルールを破ったりするなど心配する、自由のない世界では、70年代のソ連で果たせなかったのは、まさにこの種の実験とリスクテイク、ルール破りによるイノベーションであり、中国経済もまだその解決方法を見だしていない。と書いた。
   この未来展望にも拘わらず、今この時点で、虎の子であったはずのアニマルスピリットまで叩き潰して、専横のリバイアサンの極致を進むのか、
   専横のリバイアサンの宿命と言うべきか、ローチの心配もズバリかも知れないと思うと、中国の急減速も近いのかもしれない。

   しかし、私は、市場経済メカニズムを活用した国家主導の国家資本主義は、人類初の試みであって、時代の潮流は大きく変動しており、ローチの言うような固定観念で、中国のアニマルスピリッツがデフィシットしたと言えるのかどうか、そして、そのことが中国経済の成長の妨げになるのか、大いに疑問だと思っている。
   2028年から2030年の間に、GDPで、中国がアメリカを追い越し、世界1の経済大国になると言われている。
   そうなれば、中国の政治経済社会が、否でも応でも、ディファクトスタンダードになる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ホカロンで脊柱管狭窄症が治る

2021年08月03日 | 生活随想・趣味
   3年前に、足腰が激しい痛みに襲われて、立ち上がれなくなったり、時には、歩くのが苦痛になった。
   絶えずと言うことではないのだが、とにかく、これまで経験した腰痛とは違う。
   医者に行って検査をしたら、脊柱管狭窄症で、老人には珍しくない病気だという。
   私など、常に体重過多で、足腰に負担を掛けている人間にとっては、当然の報いだとしても、とにかく痛い。

   総合病院の形成外科に通い始めたのだが、別に治療と言っても何もせず、痛み止めの薬を処方する程度で、レントゲンなど検査ばかり、
   コルセットを着けても効果なく、悪化して行けば、手術と言った調子である。

   随分前に、立ち上がれない程の腰痛に苦しんだことがあるが、その時は、良く覚えてはいないが、確か、体操で治った。
   丁度、その時、知人に電話していたら、ゴルフで痛めた激しい腰痛を、カイロを腰に当ててサラシで腰を巻き付けて治したという話をした。
   お医者さんの処方かと聞いたら我流だという。しかし、治ったことには間違いない。

   半信半疑で、何か本がないかと思って、アマゾンを叩いていたら、坂井学先生の「脊柱管狭窄症」を自分で治す本 と言うのが出てきたので読んでみることにした。
   詳しい話はともかく、試してみるに越したことはない。
   痛みのある場所に「カイロ」を貼ろうと言うインストラクションだが、私の場合には、痛む箇所が、あっちこっち移動していて、それを追跡するのは不可能である。
   結局、脊柱管狭窄症の痛みの原因は、腰骨に直近の脊柱管の閉塞であるから、その根元を温めれば良いのではないかと考えた。
   直接肌に近づけて貼ると火傷をするので、試行錯誤して、毛の腹巻きの上から、脊柱管の左右に1枚ずつ縦長に並べて貼り付けた。

   毎朝、ホカロンを替えて夕刻風呂に入るときに外すのだが、これが日課になって、数ヶ月、少しずつ、激しい痛みが消えていって、朝起きたときも、しばらくは痛くて困ったが、それも、少しずつ良くなっていった。
   今でも、完全に、脊柱管狭窄症の症状が消えたかというと、まだ、多少の問題は残っているが、しかし、足腰の痛みは、殆ど消えたのである。

   総合病院の対応が近代医学なのかはどうかは分からないが、この脊柱管狭窄症に関する限り、私の経験では、針灸、漢方薬、接骨院や治療師の世界であって、庶民によって昔から培われてきた民間療法の方が、信用できるような気がしている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする