いつも当ブログをお楽しみ頂きありがとうございます。このたび、当ブログは2万ヒットを数えるに至りました。もともとこのブログは非鉄サイトのおまけとして始めたもので、完全に自己満足に過ぎないものではありますが (^^;)、いつの間にか多くの方に訪れて頂くようになり、こちらの方がメインになってしまいました (笑)。今後も多忙の合間の手慰みとして更新に努めて行きたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
さて、昨日までの3泊4日、極寒の北京に出張していたのですが、最終日の昨日は午後帰国するだけで基本的に午前中はヒマでしたので、かねてから訪れてみたいと思っていた超Deepな鉄スポットを訪れてみました。それは……ここが巨大都市北京の一隅だとはとても信じられないほど枯れ果てた風景が広がる炭鉱へ向かう小路線「京門線 (大台線)」の旅です!
この路線は、北京市街のすぐ西に広がる険しい山々の谷底をクネクネと縫うように走るため、直線距離なら20km程度のところに37kmの線路が敷かれており、当然列車は青梅線末端部や飯田線のようにノロノロ運転。しかし、それが災いしたのか、並行する路線バス (しかも地下鉄の終点まで直行) に客を取られて苦戦中のようで、90年代半ばまでは全国版の時刻表にきちんと北京中心部への直通列車の時刻が記載されていたはずが、いつの間にか時刻表から消えてしまいました。そこで、地図を見るにつけ余りにも怪しすぎるこの路線にいつか乗ってやろうと思っていた私は「廃止かぁ……」と涙したのでした……。しかし、やはり「ネットは偉大なり」でして、中国の鉄サイトを見ていると、北京中心部直通廃止・客車は1両編成というリストラを経ながらもまだ現存中であることが確認できました。しかも、今年の末でそれも廃止という不穏なウワサが……。そこで、「これはまずい! 出張という千載一遇の機会を使って、極寒の中の早起きというリスクを冒してでも訪問しなければ!」と思い、一躍タクシーをぶっ飛ばしたのでした (爆)。
この路線の始発駅は、北京から山西北部・内モンゴル方面に向かう大幹線である豊沙線 (北京~包頭線の万里長城越えを省略するためのバイパスルート) の三家店駅なのですが、今回はタクシーを飛ばしても三家店駅発の時間には間に合わず、次の門頭溝駅 (北京市門頭溝区の中心街にあり、圧倒的多数の客が乗降する実質的な始発駅) でスイッチバック機回しのために長時間停車しているところに追いつくことにしました。
し・か~し、門頭溝駅の入り口がどこにあるのか見つからないままタクシーの運ちゃん氏と右往左往……。「や、やばい!間に合わない!」と思って緊張が最高潮に達したちょうどその矢先、目の前の踏切をDL1+PC1の目指す編成が減速しながらゆっくりと通過するのを目撃! そこで、すっかり「門頭溝駅を見つけるための運命共同体」になってしまった運ちゃん氏と「真感謝、再見!」「太好了、慢走!(ホントに良かった、気をつけて!)」と別れの熱い挨拶を交わし (^^;)、開いた踏切から列車が去った方向を確認したところ、駅はもう目の前であることを確認できました (^o^)。そこで猛ダッシュし、表通りの建物が突然ポッカリと途切れたところにあるスロープ (駅の入り口である旨の表記は一切ナシ) からホームにたどり着きますと……DLに置き去りにされた客車が1両ポツンと停車しており、車掌がノンキに客と会話を楽しんでおりました。やったー!間に合った! (後で地図と実際の街並みを照らし合わせてみたところ、路線バスの停留所「城子」のすぐそばでした。北京市内からの足としては、地下鉄環状線阜成門駅からの336路 [停まる停留所が少ない「快車」もあり]がベストでしょう)
そして、この客車こそは……80・90年代に中国を鉄道で旅したことがある人なら誰もがお世話になっているはずの、泣く子も黙るボロ客車・YZ22型!! 「YZ」とは「YingZuo=硬座」の略で、読んで字の如く硬~い椅子が並んでいるだけで、やたらとクソ重い二重窓はすっかり汚れまくっているのが当たり前、その他のあらゆるスペックがプアな社会主義計画経済そのもの。そんなわけで、これに数十時間乗る旅は難行苦行だったのですが (-_-)、今や幹線の特急・急行列車の大部分がクーラー付きで、硬座と言いつつも柔らかい椅子になった結果、いつの間にか郷愁の対象になりつつあります (現金なもんだ……^^;)。
そんな1両きりのYZ22客車とのご対面に歓喜する間もなく、牽引機の東風7型が姿を現しました。この東風7型は主に入換&小運転用の電気式DLですが、客車1両きりの牽引なら十分パワーが有り余るほどのデカさ。まだ夜も明けて間もないため、裏寂れた駅構内を照らすヘッドライトが特にまぶしく感じます。
このシーンを撮影していると、車掌のオバチャンが「怪しいヤツ」と思ったのか「何撮ってんの?」と迫ってきました。そこで例によって「日本から来た鉄路迷で、特にこういう小火車が好きなんっすよ!」と言うと、横にいた客のオッチャンが「日本と言えば新幹線だろ。こーいう機関車が引っ張る列車は少ないんじゃないのか? だからこんなのでも面白いんだろう (ナイスフォロー!! よくご存じで!!)」と一言。そこですっかり気をよくした車掌オバチャンはこの後旅の良き友となってくれたのでした (^^
その後、いざ車内へ。ただでさえボロいだけでなく、どこまで乗っても2.5元 (35円くらい) という激安列車につき、車内灯も暖房も全くなく冷え冷え (-_-;)。それでも「それも数年ぶりのボロ客車の旅にはふさわしかろう。まずは峡谷に面したボックスシートを確保できて満足じゃ」と強がりを言っている間に、いよいよホイッスルが鳴って濃いぃ小火車の旅が始まったのでした。