地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

北京の秘境炭鉱鉄道 (2) 大台駅

2005-12-12 22:29:54 | 中国の鉄道


 北京の西の外れにある街・門頭溝を朝7時半過ぎに出発した超ミニ編成列車は、だいたい1ボックスに2~3人程度というそこそこの客を乗せて、ゆっくりと進んで行きます。車内は暖房がないので思いっきり底冷えしますが、乗客の皆様にはそんなのお構いなしという風情が漂っています。特に、「禁止吸煙」のステッカーも空しく、車内はモウモウとした煙草の煙に包まれており、そんなデンジャラスな雰囲気に輪をかけているのがオッサン連中の賭け?トランプ (爆)。沿線の小さな工場への通勤ということで、たとえ短時間しか乗らないにもかかわらず、トランプを取りだして大貧民に熱狂しまくっているんですなぁ……。北斗の○よろしく雄叫びを上げながら、まさにメンコをバシッと叩くかのようにテーブルにトランプを叩きつけまくり (^^;)。これを子守歌と解することが出来るかどうかで、中国鉄道の旅への適応度があるかないかを自己診断することも可能です (笑)。そんな騒々しい車内ではなくデッキに行けば、完全に展望車同然の素晴らしい後部眺望を楽しむことが出来ますが、何しろこの季節は極寒ですのでオススメできません (^^;;
 そうこうしているうちに、列車は氷結した永定河 (北京の大水源のひとつ) に沿って、時速30kmほどでノタノタと走って行きます。線路内を人がのんきに生活道路代わりとして歩いていることは珍しくないので、終始ホイッスルを鳴らしっぱなし (^^;)。そして、しばしば現れるトンネルではいちいち車内灯をつけませんので、その都度車内は完全な暗黒になります (爆)。肝心の景色は、もちろん厳しく美しい華北の山岳風景そのもの。時折、モノトーンの集落や、打ち捨てられた計画経済時代のオンボロ国営工場の残骸が現れ、ほとんどかすれつつある毛沢東礼賛スローガンも目にすることができます (^^;
 そして、小さな交換駅や乗降所が現れるたびに少しずつ客は降りて行き、駅員が律儀に手旗を振って発車の合図を機関士に送っています。……そう、この京門線 (大台線) には、忘れかけていた日本の国鉄ローカル線にも通じる風情が残っているのです……。
 車窓からは時折、並行して走る路線バスや、鉄橋の連続で真っ直ぐに走る豊沙線の長大貨物列車 (おフランス製の超大型電機・8K型が牽引していることもしばしば) を目にすることが出来ます。そのたびごとに、本当にこんなクネクネ・ノロノロ路線が生き残っていることが不思議で仕方なくなります (^^;)。
 いったん豊沙線と合流する山峡の駅・落坡嶺を過ぎますと、いよいよ炭鉱がある沿線最大の主要駅・大台へ向かって急勾配とカーブの連続にさしかかかります。何と列車のスピードは自転車並みになってしまいました (^^;;;;)。まあその方が、沿線に徐々に増えて行く枯れ果てた炭住街の風情をワビサビ的に味わうのに好都合ですが……。
 そして朝8時40分頃、列車は大台駅に到着しました。ここは上下の本線と何本かの石炭積載用側線を持っており、如何にも1950~60年代っぽい駅舎がひときわ寂寞のローカル線らしさを演出していました……(^_^)。そして、最後部のデッキに立って、貫通路から駅構内の風景を撮っていると、終点の木城澗からやって来た貨物列車が轟音を上げて通過して行きました。どうも余り多量の石炭を積んでいるように見えないのは、土曜日で出炭量が少ないからかも知れません……が、いかんせんダイヤを知らないために、交換時にDLを先頭にした編成写真を撮影できなかったのは惜しいところです (-_-



 ……というのも、大台駅から終点の木城澗方向を望みますと、すぐ目の前にホッパービンとベルトコンベアの組み合わせが聳え立っており、その真下を本線が通っているという余りにも素晴らしい光景が広がっているからです。ここを列車が通過する風景はさぞかし「ヤマの鉄道」という感じなんだろうなぁ……と思うにつけ、リベンジしなければという思いに駆られます (次は929路バスで早めに到着しておき、列車がこの駅を発着する一部始終を撮りたいものだ、と)。まぁ、次回訪れるときまでにこの超ミニ列車が残っているかどうか、さらには炭鉱が閉山になったりしていないかどうかが気になるわけですが……。
 それはさておき、この大台駅でほとんどの客は下車し、次の終点・木城澗まではさらに急勾配の連続と炭住街の絶景が続きます。次回は、そんな沿線の風景をまとめてご紹介したいと思います~。