【@ジャカルタ・コタ】パルンパンジャンからの一番列車が折返しメラク行に…。
【@ドゥリ】賑わう線路市場をボロ客車が闊歩!(後日撮影。罐番同じ ^^;)
【@セラン】毎日2往復ゾーンにある最大の街の駅で数分停車。すっかり昼前。
【@メラク】約4時間半の忍耐の末に終点着! 機関車は速攻で機回し開始 (汗)。
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一昨年、昨年とジャカルタを訪れるごとに、日本から来た中古冷房車だけではなく現地オリジナルの客車列車にも乗ってみたくなる私。そこで一昨年は特急「パラヒャンガン」に乗ってバンドゥンへ行き、昨年は特急「チルボン・エクスプレス」に乗って西ジャワ州のジャティバラン駅に常駐する神奈臨DD5512を訪ねた次第ですが、今年は豪華快適なエクセクティフ(1等車)ではなく、庶民の足である非冷房エコノミー客車に乗って旅してみたいという思いが沸々と……。とはいえ、現地滞在は約1週間と限られる以上、延々片道数時間から1泊2日と走り続ける長距離列車に乗るわけにも行きません。何と言ってもトシをとって (滝汗) 体力的にアレですし、断食している日中に数時間も蒸し暑い車内で水も飲めないというのは、ムスリムではない私にとって耐えられない話 (ムスリムの皆様、不信心で失礼……^^;)。
そこで如何にもお誂え向きだと目を付けたのが、ジャカルタから西へスルポン線~バンテン州の田舎をひた走り、スマトラ島への連絡船乗り場であるメラク(ムラッの方がより現地的発音に近いかも?)へ至る鈍行の旅。何よりも、その先にあるスマトラ島をいつか訪ねてみたい……という思いを盛り上げることにもなりますし、恥ずかしながらこれまでのジャカルタ訪問でスルポン線に乗ったことがないという不名誉(だってぇ……東急車が全く来ないんだもん……爆)を一気に、かつ大胆に挽回することにもなります。
しかし、蘭印政府がスマトラ島連絡鉄道として(たぶん)建設した当初のメラクまでの鉄道の賑わいは遠い昔の話。ジャカルタからメラクまでは200kmも離れておらず、しかも高速道路が開通しているため、フェリーに向かうヒトとモノの殆どは高速道路利用というのが実情で、ジャカルタからメラクに向かう列車は毎日2本。このうち午後便を利用しますと必然的に現地で1泊となりますので、自ずとジャカルタ・コタを7時15分頃発車する列車を利用することになります。
そこで、早朝の撮り鉄を兼ねて朝6時半頃ジャカルタ・コタ駅に行ってみますと、まずメラクまで5,000ルピア(約50円)という超激安運賃に唖然……。そして、パルンパンジャンを早朝出発した、折返しメラク行となる列車が何と!ボックスシート+デッキ付の通常の客車ではなく、全車ロングシートの超腰高ヘロヘロ通勤客車であることに愕然……(@o@)。しかし……中国の超ボロ通勤客車であるYZ31や、台湾で現在も代用行李車として生きている日本製ロングシート客車のショボ過ぎる存在感にワクワクする者としましては、徹底的にこのボロ客車と付き合ってやろうじゃないの!……というマゾな気分が盛り上がって参りまして (笑)、開け放ったドアから風が吹き込み外の眺めも良いドア脇の席を無事ゲット! 夕方6時前にタナ・アバンまで戻って来るまでの間、果たしてどれほど地獄で、しかしどれほど楽しい旅となるのか……という期待を膨らませたのでした (笑)。
しかし結論は……この列車の本質は、沿線の主な市場町であるパルンパンジャン、ランカスビトゥン、及びセランで売買をする行商人のための列車であり、そこに一般の利用客も混在するという、何ともカオスな列車でございました (滝汗)。駅に停まる都度、大荷物が次から次へと車内にドカーンと積み込まれ、下手をすると堆く積まれた野菜や果物の山を眺めながら揺られるという有様。しかも行商人は車内でもちゃっかり商売 (笑)。要は彼らの利用を前提として、ロングシートの通勤客車を運用しているのでしょうなぁ……。勿論車内には物乞いや芸人も多数で……ありとあらゆる《生の実存》が渦巻く世界です。唯一の救いは、煙草大好きなインドネシア人が断食期間中につき煙草を我慢しており、車内の空気がそれほど悪くならなかったことでしょうか。もっとも、列車がガクッと減るランカスビトゥンから先、終点メラクに近づくほど軌道状態が悪く、機関車が巻き上げた朦々としたホコリが容赦なく車内に入り込み、車内全体が真っ白になったのには参りました (T_T)。
終点のメラクは、街自体は本当に田舎の小さな街ですが、目の前の真っ青な海には船がいっぱい! スマトラ島へのフェリーターミナルの巨大な桟橋や、乗船を待つ膨大な数のトラックに積まれた日本メーカー製バイクに圧倒されるなど、躍進する東南アジア経済の息吹を感じることが出来るでしょう。しかし、鉄道駅の過疎ぶりは半端ではないです (汗)。最近の一時期、優等列車復活の試みもあったようですが、利用客はさっぱりだったようで、優等列車用窓口・待合室は閉鎖……。
とまぁこんな感じで、1日中ヘロい客車に揺られてヘロヘロになった私 (^^;;)。タナ・アバン駅で目の前にボゴール行の東急8500系が停車しているのを目にして、まさに天国と地獄を痛感したのでした……。メラクからタナ・アバンまでの運賃5000ルピアでも、目の前の東急8500系には乗れないという……(笑)。この旅は、中国のYZ31、台湾や韓国のロングシート旧型客車、そして日本のオハ41や国鉄時代のキハ30・35 (整備状態が悪く車内汚れ過ぎ) などが大好き♪という奇特な方には心からオススメ出来ますが、そうではない方は止めておくのが無難です。
あ、景色は……まさにジャワ島の田舎そのもので和みますが、乾期は焼き畑やら何やらで空気そのものが透明ではなく、遠望は効かない可能性が大です。電化区間の当面の終点であるパルンパンジャンの次、チレジット駅手前にあるきつい逆S字カーブの築堤からの眺めは絶品で、早くここにも日本中古冷房車が来ないかな~と思った次第。バンテン州都・ランカスビトゥンはちょっとした高原の街で、そのジャカルタ寄り手前ではそれなりの急勾配や少々乾いた雰囲気の山野が広がっています。ランカスビトゥンから先、ジャンブ・バル駅の周辺は一面に本当に美しい水田が広がっているほか、確かチャタン~チクサル間では椰子の森と水田を見下ろす築堤大展望の絶景を楽しめました♪
スルポンから先の電化・複線化工事の状況につきましては、以下のような感じ。
(1) スルポンの西、チサダネ川の新コンクリート複線橋がほぼ形になっています。
(2) 現・冷房電車区間で最も鄙びたチチャユル駅では複線+高床ホーム建設中。
(3) 現・冷房電車終点であるパルンパンジャン駅は2面4線化完成。
(4) パルンパンジャン~マジャ間の架線柱は大方立ち終わるも、架線は架設中。
(5) スルポン~マジャ間の線増分はチンタラと整地中。
(6) 当面計画された電化区間の終点・マジャ駅は、何故ここが?と思うほど田舎。