首都圏では銀色の「走るんです」が増え過ぎた結果、最近では205系や211系ですら十分に燻し銀な車両に見えてくるという有様でしたので、115系や185系・189系のような普通鋼製の国鉄型車両を見かけると、とてつもなく古い車両が走っているかのような感覚に囚われることもあります。う~む、どこか既視感を覚えます……ということで考えてみたところ、これは1970年代の中頃から後半と同じですな。まだ幼稚園児に過ぎなかったものですが、半鋼製釣掛式電車と全鋼製カルダン駆動電車との間には凄まじい落差を感じましたので……。その後、そんなボロにビビったお子様は、逆にそのボロさを愛でるようになってしまったわけですが、今や、当時バリバリに新造中だったMT54装備車に、半鋼製釣掛と全く同じような感覚を抱くとは……40~50年という時間が流れるというのは、こういうことなのでしょうか。
したがって、高崎支社がこのほど、3月のダイヤ改正を機に115系を引退させると発表したのは、既に107系も引退したこともありますし、余りにも当然の結果と考えたいと思います。むしろ、東海道線でも新前橋の車両に当たりますと目にすることが出来る115系引退広告を眺めながら、「115系0番台の高崎線配置から半世紀以上……もちろん、今走っている1000番台はもっと新しいけれど、これほどまで永きにわたって一つのエリアの電車を代表できたということ自体、115系の偉大なる汎用性を意味するのだなぁ……」としみじみ。そして個人的には、ここ数年あまのじゃく様のおかげで毎年上信のビール電車に乗っており、その都度 (毎年一回というトホホなペースですが) 115系との触れ合いを楽しめましたし、一昨年の晩秋には中山道歩きの旅で横川線を走る115系を満喫したものです。ボックスシートに座り、MT54サウンドに酔いながら、浅間山に榛名山、妙義山、荒船山……を眺めたのは最高の記憶です。
それにしても、最近は残存編成の正面幕を潰してしまいましたが、あれは一体何故なのでしょうか。幕があるままですと、なおさら湘南色オリジナルな雰囲気を求めるヲタが殺到してヤバい、という判断なのかも知れません。