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ミステリ感想-『あやし』宮部みゆき

2010年02月07日 | ミステリ感想
~あらすじ~
14歳の銀次は大黒屋に奉公にあがることになる。やがて店の跡取り藤一郎に縁談が起こり、話は順調にまとまりそうになるのだが、なんと女中のおはるのお腹に藤一郎との子供がいることが判明する。おはるは、二度と藤一郎に近づかないようにと店を出されることに。しばらくして、銀次は藤一郎からおはるのもとへ遣いを頼まれるのだが、おはるの家で銀次が見たものは……。(居眠り心中)
他、江戸ふしぎ噺・九編。


~感想~
宮部みゆきの真価は時代小説にあり。
このミス14位に選出されたが、すっきりとした解決がつく作品はほぼ無いので勘違いなきよう。
しかし説明がつかなくとも、謎もトリックもなくとも、ただ「ふしぎ」なだけで良作はものせるのだ。
読み進めるごとにとにかく「巧い」とうなるばかりの描写と筆致はまさに職人芸。怪異を怪異のままに扱いながらも、描かれるのは市井の人々のなにげない日常。そこから一歩踏み出したときに垣間見える「ふしぎ」な情景はどれも心に残る。
時代小説と怪談は、匠の腕にかかるとやはり最高に相性が良い。


10.2.6
評価:★★★☆ 7
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