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ミステリ感想-『イノセント・ゲリラの祝祭 上巻』海堂尊

2011年06月28日 | ミステリ感想
~あらすじ~
東城大学医学部付属病院。万年講師の田口公平は、いつものように高階病院長に呼ばれ、無理難題を押しつけられようとしていた。
今回の依頼人はあの火喰い鳥・白鳥圭輔。厚生労働省で行われる会議への出席依頼だった。


~感想~
巻を重ねるごとにミステリからエンタメへと大きく舵を切っているシリーズだが、この上巻での「何も起きなさっぷり」はただごとではない。
大袈裟な異名を持つ個性豊かな人物たちが、思わせぶりで意味ありげな、大半の読者には雰囲気程度しかつかめない会話を交わす、ある種、厨二病な作風は相変わらず。そこに来てここまで事件らしい事件は一つも起きず、核となる人物が誰かも読めず、そもそも今回の主要なテーマが何かさえわからないのだが、それでも前作「ジェネラル・ルージュの凱旋」ではほとんど出番のなかった白鳥が動き回っているというだけで楽しめてしまう豪腕は流石である。
下巻ではストーリーがどう動くのか、それとも動かないのか、動いたとしてそれが読者に理解できるのか。とりあえず楽しみである。


11.6.22
評価:保留
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