~あらすじ~
大阪船場で化粧品販売を営む大鞠家に嫁いだ中久世美禰子。
太平洋戦争の影が迫り、夫は出征し事業は斜陽を迎えた中で次々と起こる怪事件。
怪しげな探偵や脅迫者も現れ…。
2021年本格ミステリ大賞、日本推理作家協会賞、本ミス6位、2022年このミス8位
~感想~
いわゆる英国貴族のお屋敷ミステリ(マナーハウス・ミステリというらしい)を船場を舞台にし日本版として再現してみせた意欲作。船場の商家が舞台となったのも史上初とか。
便宜性だけを求め丁稚を改名させたり、従業員を一家のように住み込みで働かせていた特異な背景だけでも目を引くのに、パノラマ館で人が消え、不可解な状況で殺人が起こり、合間に小鬼が踊る古き良き本格ミステリのガジェットが目白押し。
もちろん舞台を活かした伏線と推理によって意外な犯人が導き出されるのはお見事で、本格ミステリ大賞を受賞するなど出版月の兼ね合いで2年続けて年間ランキングを賑わせたのも納得である。
納得ではあるのだが、作者ならではの大仰な文体やドタバタ劇が昭和初期を舞台にしたせいで5割増くらいになっているし、最後に明かされる余りにも本格ミステリ愛にあふれすぎた趣向が読む人を選んでしまうのも否めない。
本格ミステリ大賞にはこれ以上ないほど相応しい作品なのは間違いないが、個人的にはさほど好みではなかった。
25.2.25
評価:★★☆ 5
大阪船場で化粧品販売を営む大鞠家に嫁いだ中久世美禰子。
太平洋戦争の影が迫り、夫は出征し事業は斜陽を迎えた中で次々と起こる怪事件。
怪しげな探偵や脅迫者も現れ…。
2021年本格ミステリ大賞、日本推理作家協会賞、本ミス6位、2022年このミス8位
~感想~
いわゆる英国貴族のお屋敷ミステリ(マナーハウス・ミステリというらしい)を船場を舞台にし日本版として再現してみせた意欲作。船場の商家が舞台となったのも史上初とか。
便宜性だけを求め丁稚を改名させたり、従業員を一家のように住み込みで働かせていた特異な背景だけでも目を引くのに、パノラマ館で人が消え、不可解な状況で殺人が起こり、合間に小鬼が踊る古き良き本格ミステリのガジェットが目白押し。
もちろん舞台を活かした伏線と推理によって意外な犯人が導き出されるのはお見事で、本格ミステリ大賞を受賞するなど出版月の兼ね合いで2年続けて年間ランキングを賑わせたのも納得である。
納得ではあるのだが、作者ならではの大仰な文体やドタバタ劇が昭和初期を舞台にしたせいで5割増くらいになっているし、最後に明かされる余りにも本格ミステリ愛にあふれすぎた趣向が読む人を選んでしまうのも否めない。
本格ミステリ大賞にはこれ以上ないほど相応しい作品なのは間違いないが、個人的にはさほど好みではなかった。
25.2.25
評価:★★☆ 5