小金沢ライブラリー

ミステリ感想以外はサイトへ移行しました

ミステリ感想-『大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう』山本巧次

2024年11月05日 | ミステリ感想
~あらすじ~
長屋に住む謎めいた美女おゆう。その正体は現代の東京に住まう関口優佳。
彼女はタイムスリップして江戸と現代を行き来し、現代テクノロジーで事件捜査に当たっていた。

2015年このミス大賞隠し玉


~感想~
作者のデビュー作だが、新人賞の応募時点でこのまますぐ出版できると太鼓判を押され、しかも容易にシリーズ化できるからあえて大賞ではなく隠し玉(次点)で出されたという破格の経緯で、目論見通りにシリーズは11作を数えドラマ化も果たした。
読めば納得の面白さで、タイムスリップは制約なしに自由、肝の科学捜査も「何も詮索しない分析オタクの知り合いがいる」という一点突破で強引に突き進める。
江戸の事件を指紋や盗聴器や成分分析で捜査するのが単純に面白く、異世界転生・チート物の要素も強くこのアイデアを思いついた時点で勝利確定である。
さらに事件自体も二転三転して裏の裏があり、脇を八丁堀のイケメン岡っ引きとの恋愛要素で固め、いくらなんでも都合の良すぎる分析オタクも早々に…と徹底して盤石の布陣を敷いており、作者の筆の上手さが光る。

唯一、講評で「最後に明かされる真相が蛇足」と言われていたが、ミステリにおいてサービス精神等でやりすぎることはあっても蛇足はそうそう無いはずと思っていたら、仰る通り完全に蛇足なのは笑った。
今後のシリーズ展開で必要にはなるのだろうが本作の時点ではマジでいらなかったよね…。


24.11.5
評価:★★★ 6
コメント    この記事についてブログを書く
« 今週のキン肉マン #471 勝利... | トップ | ミステリ感想-『潮首岬に郭... »

コメントを投稿