そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

福島原発事故の影響か、ツバメの異変

2013-07-27 | 政治と金

福島原発事故では、どうにかした放射能汚染を過小評価したい東電と、再稼働のスケジュールをテーブルに上げたい自民党が、いま起きている現実からなんとか国民を遠避けるようとするばかりである。

日本野鳥の会は、事故が起きた一カ月あとから野鳥の調査を行っている。野鳥はせいぜい5年生きればいいところである。毎年子育てを春に行う。世代交代が人間の数十倍分で行われる。遺伝子上の変化などが現れやすく、研究者たちの観察対象になっている。

ツバメの尾羽の片方が短いのが複数いるとは、事故直後の報告であった。今年になって、白化した個体の数がかなり増えているとのことである。巣の周辺からも個体からも高い放射線が確認されている。白化とは、頭部の赤い部分などに白い斑点などが入る状態のことを言う。

ツバメの鮮やかな赤い色の元になり、免疫機能も高める「カロチノイド」が、放射線量の高い個体ほど少ないというのである。これは、チェルノイブリで観察されたことである。このことが、福島ではもう始まっているというのである。

放射能の影響は種によって異なる。留鳥よりも長い距離を飛んでくる渡り鳥の方が、影響が大きいと言われてもいる。渡りによって体力を使い、カロチノイドなどを消耗するなどして、放射能の影響を大きくけると思われる。

最近日本全国で減少傾向にあり、そうしたことでも問題になっているツバメではあるが、ツバメは泥や藁で巣をつくる。泥や藁は放射能汚染をまともに受けているところである。それを集めて、唾液で固める習性上、より一層影響を受けやすいと思われる。

生涯年数の短い動物の観察は、放射能の影響を人より早く教えてくれることになる。放射能の影響は不特定の遺伝子上に現るために、断定できないことが多い。チェルノブイリの観察は、社会体制のことなどもあって、事故後数年たってからの観察である。福島ではそれがすでに始まっているのである。

福島原発の放射能汚染は、地下水の汚染や海洋汚染が継続している。古里に帰りたい人たちの心情は判らなくもないが、野生動物たちの奇形化が始まっているのを見るだけでも、帰還は非現実的選択と言えると思われる。

コメント (2)
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