今回の選挙で唯一、原発再稼働を唱えていたのが自民党である。原子力規制委員会判断に丸投げのように見せかけているが、結局は段階的に再稼働を認めて行くためのセレモニーに過ぎない。
他の政党は多少のニアンスの差はあるものの、原発再稼働を公約したところがない。そして、周知のごとこ自民党が圧勝した参議院選挙である。東京都では、反原発を唯一の公約にしていた、タレントで無政党の山本太郎が早々と当選を決めている。
様々な世論調査でも、八割程度の人が原発の再稼働不安を抱き反対している。自民党の圧勝とが原発に関する限り、国民は再稼働を認めたことを意味している。原発の他に、憲法改正やTPPや消費税も過半数の国民が反対である。
民主主義とは民意が政治に反映されることではないか。国民が自民党を選択した
理由の大半は、経済対策であるとのようである。原発もTPPも消費税も、当面の見せかけの経済対策のアベノミックスの猫騙しのような政策に翻弄され、選択したことになる。
さらに、北海道のみんなの党以外の候補者はこぞって、TPP反対を打ち出していた。沖縄では普天間移転を掲げていた糸数さんが当選している。沖縄県自民党も普天間の県外移転を公約に掲げていた。福島の自民党県連も脱原発を掲げていた。
これらの候補者の公約(と言えるか危ういものであるが)は、当選すると尽く実行されないのは解っている。民意最初から裏切られるのである。
政権交代を果たした民主党が、掲げていた公約を実行できなかったのならまだしも、破棄してしまって真逆のことを平然とやってしまった。国民の怒りと失望は大きなものがある。
民主党の何も国民に謝罪することにない裏切り行為が、今回の選挙の公約と実効性に責任感を持たない候補者が出てくることになった背景にある。選挙さえ乗り切れば何とかなる、という思いである。
さらに選挙公約が意味を持たなくなってきた背景には、民主主義の制度上の問題もある。衆議院の小選挙区制や、参議院の一人区は、大半が死に票になる。それが与党の恫喝にもなっている。あるいは選挙民の諦めにもなっている。
民意が反映されない国会が、自民党の独壇場になってしまっている。