そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

健康な家畜から生産された畜産物を食卓に

2016-09-23 | アニマルウエルフェアー
本ブログで何度も紹介しているマイペース酪農と、今年立ち上げた一般社会法人「アニマルウエルフェア畜産協会」との現地交流会を開催しました。
EUでは採卵鶏のケージで飼うことが禁止されました。ブタもストールに閉じ込めて飼うことも禁止されています。
そして、市場に出される畜産物にはどういう飼い方をしている家畜が生産したものか解るようにされるようになっています。消費者はそれを確認してから、購入できるようになり始めています。

現在消費者の方々が口にされる牛乳の90%は、閉塞された空間で固いコンクリートの上で、地球の裏側から運ばれた穀物を大量に与えられてた大規模な農場から生産されたものです。そのため乳牛の寿命は極めて短く、私たち獣医師は大変忙しくて単なる修理師になっています。
殆どの牛乳を生産している大規模農家、個体は大量の牛乳を泌乳することになります。経営効率も悪く環境について深刻な問題もあり、何よりも酪農家は多大な設備投資と、大量の穀物を購入し食べさせなければなりません。これは世界的な食料問題にも直結していることでもあります。
消耗する乳牛(早期の淘汰)、高価な機械や設備費と高度な技術、人と競合する穀物の大量給与、糞尿の処理が追い付かない、極めて非効率な経営の中で、ひたすら労働時間が増え新しい技術を勉強しなければならない酪農家たち。働けば働くほど、生産量は増えますが負債が増高するジレンマの中で、一番の犠牲者は乳牛たちです。酪農家は乳牛に愛情を注がなくなり、ひたすら生産量ばかりを追い続け、乳牛は単なる搾乳マシーンになっているのです。
その一方で、規模拡大を唱える政府からの補助金の大半は、周辺産業を潤すばかりです。ある農業機械販売業者は、昨年かってない賞与を職員に与えています。

アニマルウェルフェア畜産協会は、「畜産動物は感受性をもった生命存在です」という言葉合言葉に、小規模ながら家畜を大切に扱う畜産農家を100点以上の項目で評価して認証する制度を立ち上げました。
道東で小規模ながら牛を大事に扱い、経営も安定しているマイペース酪農との交流を今回行いました。多くの関係機関の方や酪農家が集まり、討論を重ねました。
私たちは、アニマルウェルフェア認証商品を食卓に届けるための第一歩を踏み出したところです。
コメント (1)
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