そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

北海道の広域停電で根室管内では日量約2000トンが廃棄されている

2018-09-07 | 地方自治
北海道の内陸型の地震としては最大級になる、震度7を超える地震が胆振の安平町あたりを震源地として、6日午前3時8分頃発生した。「北海道胆振東部地震」と命名されたこの地震は、内陸型の割には人災はそれほどでもなかったのは過疎地であるからであろう。山の土砂崩れも尋常ではない。
当地(根室地方)は直線距離でも450キロほどであり、地震の揺れも被害もほとんどなかった。ところが地震と同時に停電してしまった。遠隔地のものからすれば、一時的な停電と単純に思ってみた。ところがマル2日になろうというのに、根室地方の酪農家にはほとんど電力が供給されていない。生乳は冷却されて、多くの農家は2日に1回のペースで集荷される。朝夕搾乳の4回分ということになる。この間の牛乳は約4度程度に冷却することになる。停電でそれもかなわない。自家発電機を緊急用として所有する酪農家も少なくはない。しかしながら乳業会社の方も停電しているため、生乳を処理も加工もできないために、受け入れることもできない状態である。
一方、乳牛は何としてでも搾乳してあげなけれれば、乳房炎などの病気になったりするし、乳量の少ない牛はそのまま上がってしまう。したがって、何とか搾乳はしてあげても、その牛乳は捨てなければならなくなる。当地の年間出荷乳量は78万トンである。単純計算で、毎日2000トンが廃棄されることになる。農家手取りから算出する金額は、損害額は乳代だけで毎日2億円程にもなる。

しかし、何とも理解できないのがこの地震による、北海道全域に及ぶ長期の停電である。震源地に近い北海道最大の、火力の苫東厚真発電所(165万キロワット)が被害を受けて発電能力を喪失したのは理解できる。この発電所は北海道電力需要のほぼ半量を供給していた。他に、火力の苫小牧(25万キロワット・以下同)、伊達(70万)、知内(70万)、奈井江(35万)、砂川(25万)、それに水力として京極(70万)、新冠(20万)、高見(20万)といった内容である。すべてが、北海道の西に位置している。高圧線で何百キロも道東には、送られてくることになる。
最大発電所がダウンしたことで、電力要求システムが一気に他の小さな電力に負担がかかり、一気に停止したとのことである。

電力が典型であるが、近代化に伴って日本は巨大な資本で、先行的に産業を振興させる手法をとってきた。ところがそれが定着しだすと、独占化することになり長い時間の経過の中で権力と癒着する。本来は、電力は消費地に生産し供給させるものである。巨大な発電施設を建設するために、僻地や遠隔地に建設されることになる。原発に危機感を持たないのは、都会の人が知らないだけである。危機を感じる現地には金をばら撒き黙らせる手法をとってきた。
電力輸送のロスもばかにならない。高圧線を指さしドイツの学者が、「あれは何ですか」と質問されたことが忘れられない。本来電力などのエネルギーは、最小限の地域で賄うべきである。その中で相互の保管があってこそ、現在はうまく拾うことのできない風力や波力や水力や地熱などを電力に変えることができる。発電施設の巨大化思想が生んだ原子力発電であり、今回の巨大火力発電なのである。
それにしてもあと何日停電が僻地には課せられるのだろうか。
コメント (15)
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