路上には開けた新年を喜ぶ笑顔の人々が集っていた
明るく幸せな時間、新しい年を寿ぎ祝っていた
わずか二か月後、東の大国の空から無数の爆弾が降ってきた
華やかだった町は、激しく燃え黒焦げになる
人々は逃げまどう
見慣れた屍に涙も涸れ尽きる
家を焼かれた幼子は
恐怖に言葉も表情もなく
たった一つ黒ずんだぬいぐるみを胸に抱く
真っ黒になった無機質の瓦礫の中に無感情に佇む女
共に住む部屋で目の前で親を亡くした娘は
無言の憎悪で今を凝視する
彼らは屈したわけでもない
彼らは彼の大国を畏怖したわけでもない
彼らは人の愚かさに言葉を失っているに過ぎない