そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

畜産物が健全であるためには、安価な穀物の給与を止めさせるべきである

2023-06-08 | 農業と食

肉食は悪であり環境破壊をするという人たちがいる。特に牛肉を食べると地球温暖化に貢献し、極めて不健康な食料を生産することになるというのである。多くの牛肉は彼らの指摘通りである。安価な穀物を大量に与えて、高価な牛肉や卵を生産するのである。牛たちにとって、”甘い”穀物は嗜好性が高く、死ぬことを恐れずどんどん食べてしまう。畜産農家は、発病寸止めで穀物給与の制限の限界を見極めるのが技術である。
大学時代の恩師は、大型の近代経営の畜産を「まるで発病試験をしているようだ」と述べられたが、全くその通りである。こうした工業型畜産で、出来上がった牛肉は、オメガ不飽和脂肪酸6が異常に高くなる。正常値の数倍になる。オメガ3とオメガ6の比率が、自然界では1:1であるが、1:10~16程度まで上がる。オメガ6は血管を硬直させる。動脈硬化や多くの心臓病や脳梗塞などの、直接的な原因にもなる。
ところが困ったことには、こ。うして生産された牛肉は美味しい。サシが入った赤身の肉は市場では極めて効果である。
日本はこうした赤身のサシが入った牛肉を基準に、Aランクにと位置付ける。不健康になる赤身の牛肉を基準にした評価を見直すように、草(粗飼料)中心に健康な牛の牛肉の評価を見直そうとする運動がようやく始まった。
現行のサシが入った赤身を高評価すシステムは、健全な牛肉を駆逐することにもなる。
穀物生産の場は最悪である。遺伝子組み換えされたトウモロコシ種に、化学肥料に農薬がたっぷりかけられ、生態系を無視し開発された農場で、生産されるのである。
牛肉は世界を潰すと、批判する人の声は正しいが、まともな牛肉生産に戻せばいいのである。穀物メジャーを喜ばすような、大量穀物投与を止めれば済むことである。
牛肉が世界を壊すと、一切の動物食を止めようという方々がいる。ヴィーガンという人たちである。狩りをしていたホモ・サピエンスには犬歯が残っているように、肉食は必要である。忌み嫌うことは逆に人類の否定にもつながる。
肉も牛乳も玉子も、工業型生産方式を止めれば、彼らも納得してくれるであろう。
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