安倍一次内閣で拙速に作り上げ宿題を残したままの国民投票法が、具体的に動き出している。憲法改正に意欲を見せている、安倍首相の執念でもある。
巷間この法律は3つの宿題を残していると言われている。投票権を18歳以上にする、公務員の参加の規制をどうするか、憲法以外にも適用するのかということである。この3つに限っての論議は、この法律の本質から目をそらすものである。
① 提案の仕方が不明である。一括によるものか個別かということである。提案の仕方でどうにでもなるといういうことである。例えば、改正憲法の全てを賛成するのか反対かという提案と、一づつの条文の可否を問うかということであるが、提案者の意図で大きく変わってしまう。
② 周知期間が60日以降から180日以内ということであるが、これはいかにも短い。憲法などの重要課題を、僅か半年足らずの期間で論議せよ、判断を下せよというのは無理がある。
③ 過半数の規定が曖昧である。個人や政党を相対的に選ぶ、比較優位の選挙とは全く異なる。当然有効投票数ではなく、有権者の半数なり3分の2なりにするべきである。仮に投票者数を基準にするなら、少なくとも最低投票率を設定するべきである。
④ 同法は報道や運動の規制を厳しく規制している。公務員や投票関係者の運動を禁止している。どちらかに偏った報道はしてはならない、中立になれというのであるが、難しい問題である。報道や表現の自由は投票期間だけ制限するのはおかしい。公布後の幅広い論戦を認めていないのである。
同法は、カッコ付きで「憲法改正改正に関する法」と明記されている。憲法改正に向けた前のめりの、欠陥だらけの法律である。
自民党は公明党はもちろんのこと、維新の会にも同法の徹底の協力を呼び掛けている。また一つ右傾化の足音が大きくなったと言える。