増税法案を巡って、極めて難解な多次元方程式にょるドタバタ劇が展開している。剛腕小沢は、困ったことに政治家の本質である、政策についてはあまり多くを語っていないが、今回は彼の主張が一応正しい。
国民との約束が、民主党が掲げたマニフェストである以上、これを軸に論議するのが筋である。ましてや与党内の取りまとめが不調のままで、先に野党と政策一致をするなどは、禁じ手以外の何物でもない。このことに関しては、小沢と中間派の意見がどう見ても正しい。
増税内容についても大いに疑問が残る。一体改革といいながらも、増税優先の財務省主導と言われても仕方ない。民主党税制会長の藤井は旧大蔵省出身の、財政規律優先の人物である。
今回のドタバタの仕掛け人は、自民党の谷垣総裁であり最大派閥の町村が仕掛けた、民主党崩壊仕掛けにまんまと野田が載せられたとみるべきである。
野田は、選挙基盤の薄い国会議員を多く抱えるため、小沢は解散権を持つ首相に最後まで抵抗はしないとみていた節がある。
小沢は、野田は最後まで消費増税を言い続けると、思っていなかった節がある。小沢の読み違いは、ましては野党と先に組むとも考えかなかった。
小沢はやむなく、党を割ることで自らの支持者の結集を図っている。彼に残された当然の方法であるが、展望がない。
刑事被告人のレッテルを背負った、今や政界の長老にまでなった人物が、これから先どれほどのことができるか見通しはたたないが、少なくともこれまでのようなキーマンにはなれないだろう。
何よりも、してやったりの自民党が、民主党を最も近いところで観察する喜びを味わうことになる。サイコパスの野田は、まんまと嵌められたことになる。公明党も甘い汁を吸うことになる。当分民主党の再生はないことになる。
数年経ってみると、この国には増税された現実だけが残るいことになる。まさしく政治の貧困そのものである。
結果、税収は変わらないのではないか?
先送りをしない決断する政治をと、ドジョウは力説するが、肝心の使い道の議論は先送りだ。
毎日、テレビや新聞は政局絡みの報道で大騒ぎだが、よく考えてみると政界のゴタゴタを尻目に財務省の思惑どおりに事は進んでいる。
天下りや無駄の削減、生活保護の不正受給の洗い出し。国の保有資産の活用もせず、不安だけを煽って増税だけを一番にやる、これほど情けない政治はない。