仏教国ミャンマー北部のベンガル系のイスラム教徒、”ロヒンジャ”が、アウンサンスー・チー率いるミャンマー政府に弾圧されている。住宅などが焼き討ちされ、追われてバングラデッシュに12万人も逃げ込んでいるという報道がある。これに対して、ノーベル平和賞受賞者のアウンサンスー・チーは黙したままで、最年少のノーベル平和賞受賞者のマララ氏は激しく非難している。奇妙な構図であるが、これは西側の報道に過ぎない。日本の多く報道もこれに倣っているかに見える。
古都は極めて複雑である。インドを植民地としていたイギリスに追われたイスラム教徒存在がある。彼らは東西に分かれて、パキスタンという国家を独立させたが、東はバングラデッシュとして新たに独立したが、その過程でミャンマーに流れてきた難民がロヒンジャの主体となっている。圧倒的な仏教国のミャンマーで、少数のイスラム教徒の悲劇は絶え間ない。軍事政権下では略奪や暴行事件は日常的であった。被抑圧者のイスラム教徒はタリバンなどの支持を仰ぐことになる。軍事政権下ではアウンサンスー・チーを支持し、彼女の民主化に期待をかけていた。又軍事政権下では、中東の石油資源を陸路得たい中国が、この地を求め政権はこれに応じている。
政府から抑圧されて、ロヒンジャにイスラム過激主義に走り武力抵抗をするものが出現し、これに軍事政権は激しく弾圧したのである。現在の紛争も、過激派が同じロヒンジャの家々を焼き払って、政権側を挑発しているというのである。
真実は解らない。が、言えることは大国が支配してきたことによる、小国・途上国の傷が年を追って次第に拡大してきたという事である。そしてこのことに、暴力的に抵抗しようとする人たちとそれを支援する過激派の集団と、暴力的に抑え込もうとする権力者側の構図は変わらないのである。過激派・暴力的抵抗を唱える集団に共感する人たちを醸成するのも、アメリカなどによる暴力的な支配、経済的な詐取が止まない限り、ロヒンジャのような悲劇は絶えることがない。
北米先住民もインカアステカの人々も白人をその未曾有の残虐性や貪欲さゆえに「白い悪魔」と呼び、驚き畏れたそうだ。北米では結核菌さえ使って平和に暮らしていた先住民部族を滅ぼしたりしている。平原部族を飢え死にさせるためにバイソンを滅ぼし、またある農耕部族に対してはやっと実ったばかりの桃の木を全て伐採するなどという蛮行さえしたのが白人だ。
けっして白人を敵視するわけではないが、白人の意識観念方法などには「目的のためには異民族異人種に対しどんな非道でもする」というのが事実であることを特に今やアメリカに懐柔し骨抜きされた我々日本人は知るべきなのである。